40代は「鉄」が足りない!検査はどう受ける?サプリは何を選べばいい?|医師に聞く更年期#2

なんだか漠然とした「更年期」をハッキリさせながら、更年期を楽に乗り切る為の5つの方法を、栄養療法や腸内フローラの最新情報も取り入れながら、医師で予防医療のスペシャリスト・桐村里紗が全6回シリーズでお伝えします。今回は「鉄」について。

【医師が教える「更年期の乗り切り方」 vol.2

閉経までは鉄不足のリスクあり

前回は更年期障害の概要と、現代型栄養失調の話をしました

「更年期」と呼ばれる年代になった時に、すぐに「更年期障害だわ!」と片付けず、基本的なライフスタイルを見直して整えることが先決です。
食生活やストレスによって、

・慢性的な栄養不足
・腸内環境の乱れ
・自律神経の乱れ

が起こることで、更年期と見分けのつかない不調が起きたり、更年期障害を悪化させたりしてしまいます。
案外、基本が盲点になっているものです。

 

今回も、現代型栄養失調の第2弾。
前回お話ししたタンパク質に続き、全く盲点になっているのが、鉄不足です。

 

月経が始まってから閉経するまで、ほとんどの女性は鉄不足を抱えながら生きていると言っても過言ではありません。

 

毎月の月経で出血するために、鉄を失い続けているのが男性との違いです。

 

それが、体だけでなく、メンタルの不調にも直結してしまうのですが、全く知られていないのです。

 

実は、産後うつや月経前の不調がひどい場合も、鉄不足を疑う必要があります。

 

何となくしんどいのが自分のスタンダードと考えている人であっても、鉄不足を解消することで、圧倒的に体と心が回り出し、自分でも驚くほど元気になることも少なくありません。

 

ついでに、シワやシミにも関係しますから、美容的にも絶対に解消しておくことをお勧めします。

 

鉄欠乏性貧血と診断されていなくても、隠れ貧血の可能性があり、鉄不足の症状はこの段階でも起こります。

 

鉄欠乏性貧血と診断されたなら、致命的な鉄不足と考えて絶対に治療する必要があります。

 

更年期に差し掛かり、月経量が減ってくれば、鉄不足は徐々に解消されていきますが、逆に1回の月経量が増えてしまうケースも少なくありません。閉経するまでは鉄不足に注意する必要があります。

 

鉄不足で起こるあらゆる心身の不調

鉄不足で起こりうる症状を見てみましょう。

 

立ちくらみ・めまいがしやすい

肩こり・頭痛・頭重になりやすい

すぐに疲れやすい

不安や抑うつ、イライラしがちだ

寝つきが悪い、眠りが浅い

力が弱く、よく物を落としやすい

シミやシワが多い

アザができやすい

喉につっかえ感がある(錠剤などが飲み込みにくい)

冷え性である

 

どうでしょう。

 

結構当てはまるのではないでしょうか。前回ご紹介した更年期症状のチェックリストともかぶっていますよね。更年期障害と見せかけて、実は鉄不足かも知れないというのは、こういう訳です。

 

鉄がないと体も心も回らず老ける

鉄不足といえば、「貧血」というイメージで、酸素を運搬する赤血球が上手く作られないことは知っておられると思います。

 

ただし、鉄の体の中での役割を侮ってはいけません。それ以外にもたくさんの働きをしているのです。

 

エネルギーを作る

メンタルや睡眠に関わるホルモンや物質の合成

コラーゲンの合成

肝臓での解毒

免疫の維持

筋肉の収縮

活性酸素の消去

 

これら全てに、鉄が関わっていますので、不足することで体も心もうまく回らなくなってしまってもおかしくありませんね。

 

そして、老ける!ということもポイントです。

 

シミやシワを作りやすくなってしまいますし、体のサビを引き起こして老化の原因になります。

 

見逃されがちな鉄不足を診断するには

鉄不足がなぜ見逃されてしまうのかというと、健診やドッグ、通常の病院受診では診断できる項目の検査をしないからです。

 

いわゆる「貧血」は、血液検査においてヘモグロビンという数値が低下していると診断されます。

 

「貧血」と診断された時に、次の段階の血液検査で、「フェリチン」という体の鉄の貯金を示す項目を測定し、これが低い場合に初めて、「鉄欠乏性貧血」という確定診断がつきます。

 

「鉄欠乏性貧血」と診断された場合は、一般的な病院で保険を使って治療ができます。

 

ですが、ヘモグロビンが低下するほどではないけれど、フェリチンだけが低下していて、鉄の貯金がない「隠れ貧血」は、診断されず、見逃されてしまいます。

 

疑わしい症状があるのであれば、分子整合栄養療法(オーソモレキュラー療法)という栄養療法を行なっているクリニックで、「フェリチン」を含む血液検査をしてもらいましょう。クリニック検索はこちら。

 

「ヘモグロビン」の数値が低く「貧血」の病名がつく際には、保険で検査が可能になる場合があります。

 

それ以外は、保険が効かず、自費検査になりますが、一般的には、1万円代で行うことができます。

 

食品の中の鉄の吸収率は全く違う

自宅でできる対処としては、まずは、食事から効果的に鉄を摂ることを意識してみましょう。

 

「ほうれん草やひじきを食べると良い」というイメージがあるかも知れませんが、これらの植物性の鉄は吸収率が悪く、工夫しないと9割以上はお通じに出て行ってしまうのです。

 

ちょっとしたポイントを押さえたら、毎日の食事で効率的に鉄を補給できます。

 

鉄には、二種類あります。

 

肉や魚、貝類などの動物性食品に含まれる鉄「ヘム鉄」。

野菜や海藻類、穀類などの植物性食品に含まれる鉄「非ヘム鉄」。

 

これらは吸収率が全く違います。

 

■動物性のヘム鉄

ヘム鉄は動物性たんぱくに包まれた状態の鉄で、吸収効率が比較的良いものです。
特に他の食品ととっても吸収を妨げることはありませんし、胃が弱くても吸収ができます。
赤身の肉やレバー、赤身の魚や血合い、貝類に多く含まれ、15〜25%が吸収されます。
たったそれだけ!?と思われるかも知れませんが、植物性の鉄はもっと少ないのです。

 

■植物性の非ヘム鉄

非ヘム鉄は、ほうれん草や小松菜、海藻類、プルーンなど、植物性食品に含まれる鉄ですが、吸収効率が悪く2〜5%です。
多くは、お通じの中に排泄されてしまうのですね。

 

さらに、吸収には胃酸が必須なので、ピロリ菌感染やストレスで胃酸分泌が低下している場合は、吸収率が低下してしまいます。

 

その上、非ヘム鉄は、食物繊維やお茶やコーヒーに含まれる色素成分・タンニンと一緒に摂ることで吸収が妨げられてしまいます。

 

吸収率を考慮すると、動物性食品の中の鉄の方が効率的ですね。

 

■吸収しづらい植物性の鉄の吸収をアップするには

吸収しづらい植物性の鉄は、少し工夫すると吸収率がアップします。

 

ビタミンCとタンパク質、動物性のヘム鉄と一緒に摂ることです。

 

つまり、柑橘類やブロッコリー、キャベツ、大根などビタミンCが豊富な食材。
そして、動物性のヘム鉄が含まれるタンパク質、赤身の肉や魚、レバー、貝類など。
これらと一緒に非ヘム鉄が豊富な食材を使ったメニューを、一食で摂ると効率的です。

 

鉄鍋・鉄玉子を活用すべし

さて、調理器具の工夫でも、簡単に食事中の鉄はアップします。

 

ショッキングなことに、鉄分が豊富と思われていたひじき。

 

現代のようにステンレス鍋で炊いて鉄分を測定してみると、何と以前に測定されていた数値より9分の1に減ってしまうということが判明しています。

 

以前は鉄鍋で炊いたひじきを測定していたので、鉄が多く含まれていたのでした。

 

鉄鍋、偉大です。

 

調理をするとスープの中にとても吸収の良い形で鉄が溶け出すため、日常の食事がサプリになります。

 

特に、トマトなど酸性の食材を調理すると鉄が溶け出しやすいので、ちょっと酸味のある食材やお酢を使った調理がお勧めです。

 

ただし、鍋を買い替えるのはハードルが高いですよね。

 

そんな時には、お鍋にポンっと入れるだけの鉄玉子をお勧めします。南部鉄器で作られた鉄の塊で、卵型だけでなくキャラクター型もあります。

 

サプリや医薬品の鉄の違い

病院で処方された鉄剤やドラッグストアで買った医薬品の鉄で胃が悪くなったという経験がある方も少なくないのではないでしょうか。

鉄は、細胞を傷つけてしまう可能性もある諸刃の剣。

摂り過ぎると毒にもなってしまうのです。

 

サプリで選ぶならヘム鉄を

食品についてでご紹介したように、サプリメントに含まれる鉄にもヘム鉄と非ヘム鉄があります。

 

ヘム鉄は、胃腸の粘膜を荒らしにくく、胃が弱いタイプでも吸収が低下することがありません。

 

サプリメントを選ぶなら、安全で吸収率の良いヘム鉄を選ぶ方が良いでしょう。

 

医薬品の鉄を飲む際には

 

病院で処方される鉄剤やドラッグストアで購入できる医薬品の鉄剤は、基本的には非ヘム鉄です。

 

「クエン酸第一鉄」や「ピロリン酸第二鉄」などと表示されていると思います。

 

そのままでは、胃腸の粘膜を荒らす上に、吸収率が悪いので、便に鉄が多く排泄されるために、「飲んだら便が黒くなる」という状態になります。

 

病院での処方薬は、特に高含有である為に、むかつきや下痢で飲めない場合も多いのですが、それを緩和する為に、ゆっくりと成分がリリースされる「徐放製剤(硫酸鉄・フマル酸第1鉄)」のタイプもありますので、医師と相談してみて下さい。

 

ただし、これらのデメリットは、小腸であらゆるミネラルが吸収されるゲートから吸収される為、鉄単独で高容量摂取してしまうと、その他の重要なミネラルの吸収を妨害してしまうということです。

 

これらの鉄剤を摂取する際は、その他のミネラルをマルチミネラルサプリメントなどで補うなどして複合的に摂取するように意識した方が無難です。

 

一方で、ヘム鉄は、専用のゲートを通る為、他のミネラルの吸収をジャマしません。

 

また、病院で処方薬をもらうメリットは、コストです。

 

「貧血」の確定診断がつく場合に限りますが、保険が効くと自己負担が非常に少なくすみます。

 

鉄剤は、非常に安価なのです。

 

ですから、費用面を考慮して、サプリメントでは継続が難しい場合には、「貧血」の状態が改善するまでは病院で処方を受けるのも1つの手かと思います。

 

 

治療が終わって継続的に鉄を維持する際には、安全性の高いヘム鉄に切り替える方が、体への負担がないので、患者さんにはそのようにお勧めしています。

 

「更年期かな?」の前にちょっと見直し

さて、「更年期かな?」と思う前に、ちょっとしたライフスタイルの見直しをしてみて頂きたいと思います。
連載1回目、2回目ははまず、栄養不足について考えてみました。

 

とても見分けがつきにくい症状でしたね。

 

まず、自分自身で、栄養不足が疑わしいと思ったら、まずは、そこを整えてみましょう。
すると、思いがけず不調が改善していくかも知れませんよ。

 

次回は、腸の腐敗について。
腸内環境が悪化すると、栄養の吸収を阻害し、自律神経を乱す原因になってしまいますから。

★シリーズ「医師に聞く更年期」★

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