実は10万使ってなくても「医療費控除」ができる?1円でも使ったら絶対知っておくべき知恵

元国税局職員さんきゅう倉田です。

中小企業の経営者向けの講演会をしたり、大企業の従業員向けのセミナーをしたりして、たのしく生きています。

 

副業・兼業が国から推奨される時代です。本業以外でお仕事をされる方が増えると、確定申告人口も増えていきます。1億総確定申告時代がやってくるかもしれません。

会社員やパート・アルバイトといった給与所得者が、確定申告をすることはほとんどありません。一生に2~3回でしょうか。でも、社会の経済規模がシュリンクし、高齢化していくこれからの時代は違います。

 

会社員でも、主婦でも、学生でも、確定申告について、少しでも理解しておけば、いざというときのために、安心です。

給与所得者が確定申告をする理由は、限られています。その中で、今回は、「医療費控除」について。

 

医療費の支払いがない人はいません。すべての人に、医療費控除が受けられる可能性があるし、働いていなくとも、収入が少なくとも、絶対に無視はできない制度です。

 

そもそも「控除」とは何なのか。知っているようで知らない基本

医療費控除の説明の前に、「控除」について説明します。

 

控除は、あなたの所得から引けるものです。

 

所得は、収入から経費を引いたもの。所得が少なければ少ないほど、納める所得税は少なくなります。

 

その所得から、引くことができるのが控除です。控除がたくさんあれば、所得税は少なくなります。

 

でも、控除は種類が多くありません。確定申告をする必要がある控除に限れば、給与所得者が使うのは、おもに「医療費控除」「ふるさと納税」「雑損控除」の3つでしょうか。

 

3大控除(?)のうちの1つ「医療費控除」のしくみ

医療費が年間10万円以上あると、医療費控除が受けられます。

 

医療費は、自分の分だけではありません。同じお財布で生活する家族の分も含まれます。

 

一人分の医療費が10万円を超えていなくとも、みんなの力を合わせれば、達成できるかもしれません。

 

とりあえず、医療費の領収証は保管しておいて、1月になったら、前年の分を合計してみましょう。10万円を超えていたら、確定申告をします。

 

ただ、10万円を超えた部分しか、控除できません。年間の医療費が12万円なら、2万円を所得から引くことができます。なお、保険で補填された分は、医療費から除かれます。

 

意外に知らない!「10万円なくても医療費控除」できる例

収入が少なかった人は、10万円分の医療費がなくとも、医療費控除を受けることができます。

 

具体的には、所得が200万円未満なら、所得の5%を超えた部分を、所得から控除できます。

 

例えば、パートとして働いていて、年収が150万円なら、給与所得は85万円になります(給与所得の計算は、やや難しいので、割愛)。

 

85万円の5%は、4万2500円です。医療費が4万円2500円以上あれば、医療費控除が受けられます。医療費が10万円あれば、5万7500円を給与所得から控除できます。

 

「医療費が10万越えていないから申告できない」わけではないのです。「所得が少ない場合は、もっと少ない医療費でも申告できる」点を覚えてください。

 

もし、収入が少なければ、勤務先から1月にもらえる源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を見て(これが給与所得になります)、その5%と医療費の合計を比較してみましょう。医療費のほうが多ければ、確定申告で所得税が還付になります。

 

確定申告のときの手続き

「医療費控除の明細書」に記入して、確定申告書と一緒に提出します。このとき、医療費の領収書を見る必要があるので、税務署で申告する場合は、持っていきましょう。

 

医療費の通知がある場合は、「医療費控除の明細書」の記入が楽になります。合わせて、持っていきましょう。確定申告が終わっても、医療費の領収証は捨ててはいけません。自宅で保管します。

 

なかなか受けられない医療費控除、11月くらいになったら、家族の医療費がどのくらいたまっているのか、確認してみてください。

 

 

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