閉経の平均年齢は?月経はどんなふうに減っていきますか?【医師に聞く】

40代女性がひそかに悩む身体のこと。さまざまな分野に関して、医師に教えてもらいます。さて、アンケートでも特に目立つのが「更年期」についての悩み事。更年期に出てくる症状は? 対策法はある? そんな婦人科分野について、山王病院の婦人科医である黒澤貴子先生に聞きました。第1回めのお悩みは『閉経までの生理の状態』。

 

【質問】これから閉経に向かって「生理」はどう変わる?

「今45歳です。この1年くらいで、めっきりと生理の期間や量に変化がありました。以前は5日くらいあったのが3日で終わったり、逆に7日続いたり。そして量自体が減っている印象です。 生理および女性ホルモンが、終わりにむかって駆け抜けていっているような……。これから閉経にむかっていく途中の生理はどんな感じなのか、量・周期・日程、その状態を今から知っておきたいです」(45歳・会社員・女性)

閉経の平均年齢は50歳。中にはもっと早い方も。

今まで順調だった月経周期が乱れたり、出血量が変化したり。心配になると思いますが、これは多くの中年女性が経験することです。女性の卵巣機能は40代以降、徐々に低下していきます。卵巣では定期的に排卵が起きていますが、年齢とともに卵子の数が減っていき、排卵が起こりにくくなってしまう。これまでは卵巣では毎月順調に排卵が起こり、子宮では毎月きちんと月経が起きていたのに、排卵が不定期になると月経も不定期になってしまうのです。閉経を迎える平均年齢はおよそ50歳と言われていますが、卵巣の卵子がなくなると閉経ですから、閉経年齢は個人差があります。たとえば喫煙する女性はしない女性より閉経が早いといわれていますし、母親の閉経が早かった人は早いこともあります。稀に40歳未満で閉経してしまう「早発閉経」の方もいます。また卵巣の手術を受けた場合も卵巣機能は低下しやすい傾向があります。

 

閉経前、最初は月経周期が短くなることも

卵巣機能が低下すると、脳下垂体から分泌される「卵胞刺激ホルモン(FSH)」が徐々に上昇していきます。20~30代で月経が順調な女性の月経中のFSHは10mIU/ml未満のことが多いのですが、40代になるとその数値は2桁に。FSHは卵巣に作用して卵胞を育てる役割をしているホルモンですので、数値が高くなると排卵が早まることがあります。それに伴って月経が起こるのも早まり、例えば今まで28-30日周期だったのが25日周期などに短くなることがあります。その後、卵巣機能がさらに低下するとFSHに対する卵巣の反応がにぶくなり、排卵が起こりにくくなっていきます。すると1ヶ月に1回だった排卵と月経が2ヶ月に1回になり、3ヶ月に1回になり…やがて閉経を迎えるのです。また、閉経期には出血の量や期間も変化することがあり、個人差はありますが、短い周期の月経では出血は少なめだったり短期間で終わったり、一方久しぶりの月経では出血が多かったり長く続いたりする傾向はあるでしょう。

 

月経ではなく更年期出血(機能性出血)の場合も

「今月生理が2回来た」「生理がなかなか終わらない」「生理なのか不正出血なのかわからない」というのも更年期女性によくある訴えです。卵巣機能が低下し、排卵が不定期になると、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌のしかたも変化し、その結果、子宮内膜の周期にも変化が起こり、不規則な出血(機能性出血)が起こりやすくなるのです。このような更年期によくみられる不正出血はあまり深刻に考えなくてよいことが多いのですが、不正出血が頻繁だったり、長く続いたり、量が多い場合には治療が必要なこともありますし、子宮の病気が見つかることもありますので、婦人科を受診してみてください。

閉経はいつか必ず訪れます。卵巣機能の低下や女性ホルモンの変化は目に見えないため、自分ではわかりにくく不安になるかもしれませんし、「私もいよいよそういう年齢か…」と落ちこむかもしれません。でも閉経は病気ではなく、卵巣がその役割を終えたという自然な現象です。元気に閉経を迎えるためには40代以降に起こる体の変化を理解し、規則正しい生活や十分な栄養と睡眠、そして適度な運動で心身の健康を維持していくことが大切です。もちろん必要に応じて女性ホルモンを内服薬や貼り薬で補充する治療もあります。


(記者より)

悲しいけれど閉経は女性なら誰もが迎えること。突然その日がやって来るのと、前もって覚悟しているのでは気持ちの沈み方も違うはず。落ち込んでストレスを溜めるより「煩わしさから開放される!」くらいに楽観視するのがいいのかな、なんて思ったりした今回のお話でした。オトナサローネでは今後も黒澤先生に更年期についてのお悩みを相談していきます。

 

お話・黒澤貴子先生

山王病院 リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター 医長

東京大学医学部附属病院などで技術・知識を研鑽の後、当院では不妊検査および人工授精や体外受精などの不妊治療、そして不妊の原因となる婦人科良性腫瘍(子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫など)に対する内視鏡手術に取り組む。不妊の悩み、不妊検査や治療に対する不安、また内視鏡手術の相談相手として、同性の立場で丁寧に接している。

(取材・文/根本聡子)

 

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