【総資産300億円!】もしもあなたがジャニーさんの娘だったら、遺産はいくら?相続税は?

ジャニーズ事務所の社長、ジャニー喜多川さんの訃報が届いたのは2019年7月9日のこと。日が経つにつれ、各メディアからはさまざまな報道がなされているように感じます。

そこでふと気になったのが、ジャニーさんの遺産。

生涯独身だったジャニーさんの遺産は、誰が受け取ることになるのでしょうか。

 

ジャニーさんの遺産、だいたいこのぐらい

1960年代に創業したジャニーズ事務所は、多くの男性アイドルを世に送り出してきました。シブがき隊、少年隊、SMAP、嵐…、ぱっと思いつくだけでも、こんなにたくさんいます。

彼らアイドル達が稼ぎ出す売り上げは相当な額になり、ジャニーズ事務所を大きく、そしてジャニーさんの財産も大きくしていったのではないでしょうか。

 

たとえば、嵐のファンクラブは約300万人ですが、入会金は1000円、年会費は4000円。つまり、年会費だけで実に120億円もの収入になっているわけです。

コンサートツアーをすれば100万人は集まるので、チケット代が9000円として90億円です。しかも、グッズ販売をするのでさらに売り上げは大きくなります。その他にCMやテレビやラジオでも活躍しているので、嵐だけで年間300億円以上にもなるとか。

ジャニーズのアイドルは嵐だけではありませんので、グループ全体で1000億円を軽く稼げるようです。

 

また、都内に不動産を数多く所有しているとのこと。東京の赤坂や渋谷などの一等地にビル、スタジオ、劇場などを10件以上は所有しており、合計で500億円と推定されています。

もちろん、会社名義の不動産もあることでしょうが、経営者であるジャニーさんもまた、大きな財産を築いていることでしょう。

ジャニーさんは海外に預金口座を持っているとも囁かれ、その貯蓄も合計すると、総資産は300億円にも達するとも言われています。

 

もしもあなたが、ジャニーさんの一人娘だったら?

ジャニーさんは生涯独身で、配偶者も子どももいませんでした。そうすると、法定相続人は姉で副社長のメリーさん。

相続の手続きのためには、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本が必要です。それも、生まれた時から亡くなるまでの、連続したすべての戸籍謄本です。

 

戸籍謄本を確認することで、相続人が誰であるかが明らかになります。

法定相続人とは、民法で定められた相続人のこと。配偶者は常に相続人です。

第一順位の相続人は、子ども。子どもがすでに亡くなっていたら、その子どもの子どもや孫が相続人になります。

第一順位の相続人がいない場合、第二順位の相続人は父母や祖父母になります。

第二順位の相続人がいないと、第三順位の相続人は兄弟姉妹になります。

 

戸籍謄本には、両親と兄弟姉妹、結婚歴、子どもの有無が記録されています。一連の確認作業によって、思わぬ相続人の存在が分かることもあります。たとえば、隠し子です。

もしもあなたがジャニーさんの一人娘だとわかったら、配偶者がいなければあなたが財産を相続することになります。

 

下位順位の人は、上位順位の人が死亡や相続を放棄する等をしない限り、相続権はありません。つまり一人娘がいたことがわかり、財産を相続するならば、メリーさんには相続権がないということになります。

では、300億円もの財産を相続することになったら、相続税はいくら必要なのでしょうか。

 

相続税は、課税遺産にかかります。課税遺産は、遺産総額から基礎控除を差し引いたものです。

基礎控除は、3000万円+(600万円×法定相続人)ですから、式に表すと、

課税遺産=遺産総額300億円-(3000万円+(600万円×1人))

=299億6400万円

 

課税遺産が計算できたら、相続税の速算表で税額が分かります。

 

相続税の速算表

課税遺産 税率 差し引く金額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

 

計算してみると、

(299億6400万円×55%)-7200万円=164億820万円

なんと、約165億円も税金がかかることがわかります。

相続税は、相続が発生してから10カ月以内に申告し納税しなくてはいけません。

現金で用意できなければ、不動産を売却して現金を用意したり、物納(不動産で納税する方法)を検討したりしなくてはならなくなります。

 

もしもジャニーさんの遺言に、「遺産はすべてあなたに」とあったら

ではもしも、あなたがジャニーさんの一人娘ではなく、血縁がないにもかかわらず、「遺産はすべてあなたに」という遺言があったらどうなるでしょう。

その場合、相続はできますが、相続税は2割増しになります。

 

相続によって財産を受取った人が、被相続人(亡くなった人)の一親等の血族、もしくは配偶者以外だった場合には、相続税額の2割に相当する金額が加算されることになっています。

一親等の血族とは、父母、子どもです。子どもがすでに亡くなっていれば、その子どもが相続した場合には2割の加算はありません。

 

ということは、相続税は196億8984万円もの金額になります。

本当に納税できるのか、心配になってきますね。

 

自分の親に万一のことがあったら、相続税って発生するの?

ジャニーさんのように大きな財産を築いた人であれば、相続税が高額になることは誰しも思うところです。

しかし、一般的な家庭の場合、親に万一のことがあっても財産というほどのものはないので、相続税も関係ないと考えている人が多いようです。

 

ところが、相続税を払う人は増えています。亡くなった人のうち、相続税がかかるのは従来4%台でしたが、2015年の改正の後は8%台に上昇しています。

原因は、基礎控除額が小さくなったこと。

現在の基礎控除は、3000万円+(600万円×法定相続人)で計算されますので、たとえば配偶者と子どもが2人いた場合は次のようになります。

 

基礎控除=3000万円+(600万円×3人)=4800万円

 

基礎控除を差し引いた課税遺産がゼロなら、相続税はかかりません。

改正前は、法定相続人3人の場合で基礎控除は8000万円だったので、土地、建物、預貯金を合計してもそこまでの財産がなければ、遺族は相続税を払う必要がなかったのです。

 

しかし、2015年以降は基礎控除が小さくなったため、それまでは相続税がかからなかった人にも、納税する必要が出てきているのです。

2017年の統計によれば、相続財産に占める土地の割合は37%、預貯金が32%、株などの有価証券が15%です。

「うちは財産といっても、自宅の建物とその土地だけ」という家庭でも、相続税が必要になることが増えていることには注意しておきたいですね。

 

親が元気なうちにしておきたいことって?

 

土地と建物が主な相続財産になり、相続人が複数いた場合に困るのが分け方です。

相続が争続にならないように、とはよく言われますが、そのような事態を避けるには、まずは親の希望をしっかり確認し、家族で共有しておくことが大切です。

 

夏休みに帰省した時などに、万が一の時にどうしたいのか、聞いておけるといいですね。

自宅は配偶者、預貯金は配偶者と子ども達で分けて欲しい、など具体的に聞けるとベストですが、親のほうでも、あまり考えていなければなかなか難しいでしょう。

 

そんな時は、ジャニーさんのことや、知り合いの親御さんが亡くなったことなどを話のきっかけにしてみるといいかもしれません。

遺産だけではなく、終末期の医療や介護に関する希望、お葬式やお墓、お寺との付き合い方、万が一の場合の連絡先など、聞きにくくても聞いておきたいことは数多くあります。

 

今年の夏休みには、親子でゆっくりと話し合ってみてはいかがでしょうか。

 

 

タケイ啓子

ファイナンシャルプランナー(AFP)。36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録FPパートナー

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