このコロナ禍で意外に売れたもの、なぜか売れなかったもの
コロナ禍で一変した私たちの日常の行動。
この半年でガラリと変わった「買い物」の動向と実感を、ものづくりの側から見ると?
医薬・衛生・家庭アイテムを幅広く手がける小林製薬の広報・IR部 佐野さんに聞きました。
■除菌衛生分野は急伸長、今や必須のアイテムに
マスク、除菌殺菌など、コロナ禍では各社とも除菌衛生分野が急激な伸長を見せました。小林製薬で伸長した代表的なアイテムは、のどを殺菌・消毒する「のどぬ~るスプレー」や鼻うがいの「ハナノア」でした。
また、在宅時間が増え家でトイレを使う回数が増えたことから、トイレ用芳香洗浄剤「液体ブルーレットおくだけ」の除菌タイプの需要も増加したそうです。
いっぽう、外出自粛期間は車での移動をしなくなったので、車用の芳香消臭剤は伸び悩み傾向に。かわりに家庭での料理の機会が増え、「生ゴミ用ゴミサワデー」や無香タイプでキッチンでも使いやすい「無香空間™」は好調が続きました。
「まさに新しい行動様式に沿い、需要の拡縮が起きた感があります」(小林製薬 佐野さん)。
■ニキビ対策が必要になる一方、シミはそこまで気にならない?
スキンケア分野ではニキビ対策が顕著に伸びました。マスクの長時間着用で摩擦によって肌が刺激を受けたりマスク内がムレたりすることでニキビに悩む人が増えたのでしょう、ニキビの原因菌を殺菌するふきとりタイプの化粧水「オードムーゲ薬用ローション」が好調。
「ニキビ、肌荒れのような、自分の悩み事を解消するアイテムへの関心が高まるいっぽう、シミ対策は外出自粛で日に当たる機会が減ったことと、他人の目が気にならずケアが後回しになるのでしょうか、そこまで伸びなかったのが印象的です」(佐野さん)。
■関心が増えた「自分ごとの悩み」、ナイシトールや痔も
意外なところで、いぼ痔の内服薬「ヘモリンド舌下錠」のニーズが増えたそう。「在宅勤務での座り仕事が増えたため、痔に悩む方が増えたことも要因の1つにあるのではと考えられます」(佐野さん)
また、運動不足で、肥満対策薬類を手にとる人も増加しました。サプリメント分野では、健康に対する意識が高まり、ビタミン類が好調です。
■秋冬も引き続き「マスク」「除菌」に注目
秋冬の大プッシュ新製品の中にも、新しい生活様式のお困りごとに合った注目アイテムが。
まず、マスクのゴムなどで荒れてしまう耳まわりの治療薬「ミーミエイド」。
「小林製薬が今年の7月に実施したマスクの使用実態調査※でも耳が痛いという悩みが顕在化しており、抗炎症・殺菌・かゆみ止めの3つの成分で繰り返す症状を和らげます」(佐野さん)
続いて、マスク装着とセットになってしまった悩み、マスクムレの対策スプレー「のどぬ~るマスク ムレ感対策」。l-メントールによる冷感とアルコール成分の揮発でマスク内部のムレ感を軽減させるアイテムです。
また、衛生意識の高まりに合わせたアイテムが「スマートフォンふきふき」。
「小林製薬がある家庭でおこなった試験では、トイレや玄関、リビングなどのあらゆる生活空間の中でも、スマートフォンに多くの菌が付着していることが確認されました。手洗い後に汚れたスマートフォンに触れてしまっては再び菌が手に付着してしまいますので、“スマホ除菌”が新たな生活習慣となるよう開発した製品です」(佐野さん)。
これから秋冬の感染症ピークを迎え、再び生活習慣は変化していきます。
「生まれる新たなお困りごとをいち早く見つけ、暮らしの“あったらいいな”をカタチにする製品を鋭意開発していきます。ご期待ください!」(佐野さん)
※小林製薬調査(2020年7月 N=1,000 20~60代男女)
(2020/9/29談)
スポンサーリンク