「50代・貯金なし」からプラス1000万の老後資金は作れる?何から始めればいいですか?答えは意外な
コロナ禍に突入する半年少々前、2019年6月に「老後資金2000万円問題」が公表され、またたく間に話題をさらいました。当時48歳だった筆者は解説記事を書いたものの、自分自身は「老後……?」とまったくピンときませんでした。
でもそれはきっと、子ども小2の時点で小6の夏期講習の話を聞いてもまったく具体感がなかったのと同じことなのだと思います。その後50代に入り、定年までの残り期間が10年を切ったころから急に「老後資金」という言葉が現実味を帯び、ついには「不安で不安で仕方がない」状態で52歳を迎えました。
そんな私に、同じ年の友人から寄せられた悩みがこちら。
「パート勤務の私が50代に入ってから、プラス1000万円の老後資金準備って無理だよね……?」
いやどうだろうね、ごめん、普通に考えたら難しそうだよね。
「いえ、そんなこともないですよ」と断言するのは、更年期世代女性のマネー相談を専門とするFP集団・FPウェルのアイ所長です。
「私のところに相談にやってくる女性のお客様には、学校卒業、企業に勤務して25歳ごろ結婚、いちどは専業主婦を選んで育児に専念し、40歳前後で下の子が手を離れたタイミングでパートに復帰。10年以上たったいまでは扶養内マックスまで働くという50代の女性が多くいらっしゃいます」
わかります、私の友人にもこのパターンの人たちがめっちゃ多いです。
「これらの女性はご主人が安定した会社に勤務していることが多いため、自分のパート給与はお小遣いとして推し活や美容、旅行、習い事に全額使っているパターンが多いのですが、これらの使途をいちど考えてみるだけでクリアできる可能性があります」
耳よりなお話! ぜひ詳しくお聞かせください!
【50歳からでも手遅れにしない!FPウェルのお金悩み相談】#6
新NISAは私には関係ないと思っている人。関係ない人は「いません」よ!
一般的に、妻が国民年金の第3号被保険者である夫婦の平均的な老齢年金は月額約22万円(夫婦での額)。いっぽうで「老後のゆとりある生活」には月額36万円が必要とされ、14万円ものギャップがあると言われます。
「推し活や旅行などいまの楽しみにお金を使うのはもちろん素敵なことですが、万が一のことはどうお考えなのかな?とは常づね感じています」とアイ所長。どういう意味ですか?
「脅すわけではないのですが、突然ご主人の身に何かが起きたらどうするか、考えたことはありますか? 確かに遺族年金は支給されますが、22万円満額がもらえるわけではありません。ご自身にしても、いまのように元気なままずっと働けるとも限りません。50歳を過ぎたらほんの少しずつでもいいから自分のためにも積み立てていくことが将来の大きな支えになるのです」
新NISAが騒がれていますが、「関係ないわ」と素通りはもったいない。子どもが独立して手元の資金繰りに余裕が出た50代の、特にパート勤務の人こそが新NISAを活用してほしいと愛所長はいいます。もちろん夫婦サラリーマン世帯でも活用は当然のこと。
とはいえ、今まで避けて通ってきた分野なので、何から手を付ければいいかがわからないという声も多々あります。どうすれば?
老後資金準備はまず何から始めればいいの?
「いちばん大事なのは、現在地を把握すること。つまり、生涯にかかるお金がどのくらいで、いま何ができるのかを、いったんは客観視することです」
そうアイ所長はいいますが、うーん、どうすればいいのでしょうか?
「お手元に届くねんきん定期便はチェックしていますか? いちどは自分自身の年金額を把握し、もしご主人に何かがあった場合の遺族年金も同時に把握。これは年齢差など条件ごとに割合が違うので一概に言えず、算出する必要があります。その上で、ご自身の65歳からのライフプランをいちどはシミュレーションすることをお勧めします」
でも、この先何年生きるかもわからないし、親の介護もあるかもしれないから、プランを立ててもその通りにはいかないと思うんですが……。
「漠然と遠い未来の不安に立ち向かおうとしていませんか? たとえば、恐怖感が大きな病気や介護、相続などから想像しているケース。そこで考えるのがイヤになって手が止まるんですよね」
あ、言われてみればその通り。私の場合は実家の相続と介護のしんどさがひたすら恐怖で、そこを考えるのがイヤで先延ばしにしています。
「そんな方に対しては、例えばですが『65歳で熟年離婚した場合の90歳までの私の生活はどうなる?』という、現実的なシミュレーションを立ててお見せすることがあります。『これしかもらえないの??やばい、急いでがんばらなきゃ』という声もあれば、『思ったよりイケる、離婚も検討します(笑)』という方もいます(笑)」
そのほか、アンケートによれば「資産運用は夫がやってるはずなので任せていて、私は無関心です」という声も結構あるそう。でも、老後資金はなるべく大きな額をなるべく長期で運用して育てるのが第一セオリー。そのため2人で協力したほうが資金の上昇カーブも期待できるそうです。
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