まさか自分が「モラハラ夫」に?結婚10年目の筆者が失敗を経て「セックスレスなし」円満な夫婦関係にたどりつけた理由とは【後編】

2024.09.10 LIFE

では、残り2つの課題について解説いたします。

2.コンディション(自分の状態を管理する)

お恥ずかしい話ですが、ママ友やパパ友から夫や家庭人としてしばしばお褒めいただく筆者ですが、実は過去に一度だけいわゆるモラ夫化したことがあります。

 

1年にも満たない短い期間ですが、当時の私は「文句を言うなら俺と同じだけ稼いでみろ」と妻に言ったことがあるのです。この時期は夫婦関係があまりうまくいっておらず、連れ添ってきた長い期間の中で、唯一我々夫婦が小さな危機を迎えた局面でした。

 

当時、私は「自分にはモラハラの気があったんだ……」と思い、自分自身に失望しました。そしてそんな自分を改善するために、モラハラをする人間の心理などについて勉強しました。

ところが最終的にわかったのは、私にモラハラの気質があったのではなく「当時はモラ夫化しやすい状態にあった」ということでした。

 

人格や性格など「性質」の問題でなく、状況や境遇など「状態」による問題であることに気付いたのです。「もともとモラハラ気質だった」のでなく、「モラ夫というバッドステイタス(ドラクエでいうところの「毒」や「呪い」のような)が付与されている状態だった」といえばわかりやすいでしょうか。

 

私がモラ夫化したのは、仕事のストレスが原因でした。

ですから、私がモラ夫をやめるのに必要だったのは「仕事のストレスの原因を解消すること」だったわけです。それを理解したとき、私はストレスから解放されるための手を打ちました。そしてようやくモラ夫という名のバットステイタスから解放されたのです。

こうして、妻との良好な関係を取り戻すことができました。

 

モラハラ行為を咎めるのは簡単です。でも、実はモラハラ行為をしているそのお相手は実はモラハラ気質というわけでなく、モラハラ行為に転じてしまうほどのストレスや攻撃性を発露するような状況や境遇に置かれているのではないか──?

 

こういう視点を持つと、お相手への人格否定という不毛な選択をせず、「自分たちの課題を克服するには自分ないしお相手あるいは我々の状況を変えた方がいいかもしれない」という建設的な発想を持ちやすくなる気がします。

 

さて、特に女性はホルモンバランスの変化に伴う気分の浮き沈みなど、フィジカル的なコンディションと併せてメンタル的なコンディションが不安定になるのを感じたことがある方が多いと思います。

 

女性の体調が周期的に変わるのは、ホルモンや体質など「性質」の問題。

体調の変化によりイライラしやすくなったりふさぎ込んだりするのは「状態」の問題です。

 

「状態」が原因で生じている不具合に対し、「これは性質が原因で起きているに違いない」と誤解した結果の悲しい夫婦のすれ違いは、実は世の中にとてもたくさんあります。

もし妻がモラ夫だった私を「あなたは最低の人間だ」のように人格(性質)を否定していたら、問題は解決に向かうどころかむしろこじれていたに違いありません。

 

「性質」は変えられませんが「状態」は変えられますし、調整や管理もできます。

両者の分離が妻と夫双方にとっての岐路であり、心身のコンディションを上手に管理する第一歩といえるでしょう。

 

3.自己受容(ありのままの自分を受け入れる)

自己受容をわかりやすく説明すると、「ありのままの自分自身を認め、受け入れてあげること」です。

自分の長所も短所も成功も失敗も、すべて等しく認めて受け入れるようなイメージです。

 

言葉で言うのは簡単ですが、実際にはかなり難しい作業でもあります。なぜなら誰もが必ずしも高い自己肯定感を持っているわけではありませんし、生育環境やトラウマ、脳の特性(感性や思考の癖のようなもの)により自己受容が困難なケースも少なくないからです。

 

コンプレックスや虚栄心などの自己顕示欲、「他人より優位でありたい」という社会的欲求や支配欲求、「あの人ばかりずるい!」という嫉妬や処罰欲求といった課題もあります。

 

人生経験や年齢や立場などの社会的ステージにより、達成の難易度が変わる側面もあります。

自分と他人を見比べてつい「自分はダメな人間だ……」と卑下してしまったことはありませんか?

 

ダメな結果になってしまうのは、あなた自身の人格や性格や能力が原因ではなく、生まれた環境や今置かれている境遇などの「状態」が原因かもしれません。

 

自己受容を達成するためにまず、自分の人格を自分で否定するような思考を改める必要があります。「自分は十分なパフォーマンスを発揮できない状況や状態にあるのではないか?」「毒や呪いなどのバットステイタスが付与されている状態ではないか?」という視点に切り替えるのです。

 

「ダメな自分でもいい」
「短所も自分の長所のうち」
「ありのままの自分が好き」

 

最終的にこのように思えるようになったとき、人に対して素直に謝れるようになりますし、素直な気持ちで感謝の言葉を口にできるようにもなるはずです。

良好な夫婦関係、ひいてはあらゆる良好な人間関係を築く上で欠かせない姿勢です。

 

>>モラハラ期も乗り越えた。筆者夫婦の“いま”