「もしかして不倫してるのかも」夫は隠しているつもりでも、妻はごまかせない。不倫の「証拠の見つけ方・やめさせ方」
夫の「疑惑」を立証できるものはないの⁉
「またあの女と会ったりしているの? まだ別れてなかったりして…私のことはどう思っているの!」
胡桃さんは何もしないと決めたものの、それでも夫への疑いが何十回も駆け巡り、頭がおかしくなりそうでした。居ても立ってもいられなくなり、また夫の部屋に入り、今度は机の引き出しを開け、中身を手探りしてしまったのです。
そこで発見したのはサッカーのチケット。今度はホームの試合ですが、アナログ人間の夫はいまだにEチケットではなく紙のチケット派。わざわざコンビニへ行き、チケットを発券するのですが、店員は紙のチケットホルダーに入れてくれます。
ホルダーを裏返すと手書きの文字が。「●●ホテル、アネックス館」と書かれていたのです。
胡桃さんが瞬時に勘が働きました。「今度はこのホテルで女の会うんじゃ!」と。
ところで、不倫の証拠とは何でしょうか? 二人の間に肉体関係があったことを証明する必要があります。とはいえ部屋のなかで何があったのかを証明するには例えば、前もって隠しカメラを取り付け、盗撮するなどしなければなりませんが、あまり現実的な方法ではありません。とはいえ、二人でホテルに出入りする写真や動画があれば、夫もしくは女性に白状させることは十分に可能でしょう。
つまり、胡桃さんの見立てが正しければ、夫と女性がホテルに入る瞬間、そして宿泊後に出てくる瞬間の写真等を撮れば良いのですが、素人の胡桃さんでは難易度が高いです。これは特殊な車両、専用の機材、十分な経験を持ち合わせた探偵や興信所に依頼するのが手堅いです。証拠の確保を第一に考えるのなら胡桃さんは待機した方が良いでしょう。
そのことを踏まえた上で筆者は「どうしますか?」と尋ねると、胡桃さんは首を振りながら「どういうつもりで夫と会っているのか。彼女の話を聞きたいんです!」と言います。
興信所等に依頼せず、自ら現場に向かい、この女性と直談判したい。それが胡桃さんの希望でした。あまりにも危険なやり方ですが、胡桃さんが望んでいる以上、その気持ちを尊重しなければなりません。
ついに、ガチンコ対決の日がやってきた
胡桃さんは当日、サッカーの試合が終了した21時からホテルのフロントに待機。夫や女性が現れるのを待ったのです。そして待つこと25分。夫は女性と手をつなぎ、のこのこと現れ、チェックインの手続を始めたのです。
まさに飛んで火にいる夏の虫。胡桃さんは「ちょっといい?」と話しかけると、夫は反射的につないでいた手を放し、Gパンで手をふき、「こんなところで何をやっているんだ!」と口走ったのです。胡桃さんは顔面蒼白の夫に対して「いや、それはこっちのセリフよ!」と言い返しました。
そうすると夫は「何を疑っているんだ? 何でもないよ…彼女はレッズのサポーター仲間でさ」ととぼけたのですが、筆者は事前にクレジットカードの明細、ドラレコの映像、そしてチケットホルダーの裏面をスマホで写真に撮るように指示しました。胡桃さんは「ごめん。全部知ってるんだ」と言い、それらを撮った写真をスマホの画面に映し、夫に見せたのです。
「お前、酷くないか? 俺の知らないところでこそこそと…うちはお互いに干渉しないのがルールだろ!」と逆ギレしたのですが、胡桃さんは「それは後ろめたいことがない場合でしょ?! 不倫していいなんて一言も言っていないし!」と怒りをぶつけたのです。
そんななか、ホテルのスタッフが「事情は存じ上げませんが…」と声をかけてきました。フロントでいつまでもチェックインせず、罵り合っている二人。周囲は明らかに変な目で見ていましたが、そのことに気付いていなかったのです。
胡桃さん、夫、そして女性は促される形でラウンジに移動。そうすると夫婦の喧嘩に女性が参戦。今まで心配そうな顔で見ていましたが、初めて口を開いたのです。「実は…彼が独身だと思っていました。本当にごめんなさい」と。
しかし、それは真っ赤な嘘でした。筆者は前もって「旦那さんはSNSをやっていますか?何か残っているかもしれませんよ」と聞くと、胡桃さんは「フェイスブックをやっています」と返しました。胡桃さんと夫は夫婦ですが、フェイスブック上では友達同士。胡桃さんは基本的に夫の投稿を自由に見ることができるのですが、不自然なコメントを発見。
「昨晩は泣いてないよ。寝不足だったかな」「早く一緒になりたいって、いつも思ってる」「一番愛してるって言ってくれたから、すぐに眠れたよ」と。投稿の主は「紗理奈 宮本」という女性。このページにアイコンと、この日に会った女性の顔は全く同じでした。
つまり、女性は夫に家庭があることを知っていたのです。胡桃さんはフェイスブックのコメントを写真に撮っており、それを見せた上で「まだ、そんなウソをつけるの!」と詰め寄ったのです。
しかし、彼女はさらに応戦。「でも…私も困っているんですよ。彼がしつこく誘うので断れなかったんです。悪いのは私だけはないですよね?」と弁明するのですが、隣にいる夫は首を横に振り続けるので、そんなことはなかったのでしょう。そこで胡桃さんは「誘ってきた主人にもそれなりの責任はあるでしょう。でも、何度誘われても断り続ければ良かったんじゃないの? 断らなかったから、こんなことになっているんでしょ!」と一蹴。
それなのに女性はまだ食らいついてきたのです。「彼はもう夫婦として終わっているって言っていたんです!」と。確かに夫婦の関係が破綻していれば、どこの誰と付き合おうが自由です。女性が責任を負うことはありません。
夫婦関係の終焉を決めるのは誰?
しかし、破綻の有無を決めるのは女性ではなく、裁判所です。
そこで筆者は「過去の裁判例によると破綻の認定には「別居6年以上」という要件が必要ですよ(東京高裁・平成14年6月26日判決など)」と前もってアドバイスしておきました。そもそも胡桃さん夫婦は同居したまま、一度も別居したことはないそう。つまり、夫婦の関係は破綻していません。それなのに付き合い始めることは許されませんが、女性は最後の悪あがきに走ったのです。
「でも、彼はそろそろ離婚できるって。妻とそういう話も進んでいるし、そろそろ説得できそうって」と。もはや夫との関係を続けられないと悟り、それならせめて一撃を食らわせたい。少しでも夫婦の関係に亀裂を入れてやりたいという感じで捨て台詞を吐いたのです。
しかし、夫が胡桃さんに離婚の話をしたことはなく、そもそもお互いに好き勝手、生きているので大きな喧嘩に発展したことすらありません。
不倫相手をつなぎとめるため、離婚の話をしたこともないのに「妻と別れる」と嘘をつくことを「離婚するする詐欺」といいます。
そこで胡桃さんは「私は主人と離婚するつもりはないし、そんな話をしたこともありません。こんなことになって、ただでさえ私は傷ついているのに、あなたの態度は何なの?」と叱責しました。
今回の件で、胡桃さんが精神的苦痛を強いられたのは事実です。そのため、女性は本来、苦痛の対価として慰謝料を払わなければなりません。(民法709条)。しかし、胡桃さんが望んでいるのは金銭よりも忘却。今回のことをできるだけ早く、忘れたいのです。
筆者は胡桃さんとの打ち合わせのなかで誓約書を作成し、それをスマホ上で署名できるように準備しておきました。なぜ電子かというと、紙の場合、いつ破かれるか分からないからです。具体的には今後一切、夫と連絡をとらないという内容です。「慰謝料を請求しない代わりに主人と別れてください」と伝え、女性はその契約書に納得。スマホ上に自分の名前を記入し、2時間にわたる直談判はようやく終結をむかえたのです。
このように不倫が発覚するのは、浮気当日から数週間~2ヵ月ほど先です。
今回、胡桃さんが気付いたのはクレジットカードの明細ですが、それ以外にも探偵や興信所の調査書、ホテルや旅館からのDMなどがあります。
前者の場合、当日に尾行、張り込みをして調査書を作成するまで数週間かかります。後者の場合、ラブホテルの会員登録をし、ホテルからDMが届き、それがスマホのロック画面に通知されてくるまで1,2ヵ月ほどかかります。つまり、これらの証拠を入手した時点で、女性との関係が初めてではなく、すでに数回の逢瀬を重ねていると考えた方が良いでしょう。
【編集部より】
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