医師の夫が浮気して別居。「婚姻費用が振り込まれない!このままじゃ娘は私立小を退学に!?」夫から生活費を回収する方法とは【行政書士が解説】

24%…これはある職業の「離婚率」ですが、何の職業か分かりますか?それは「医師」です。これは日本ではなくアメリカ(2015年の国勢調査)の数字ですが、5人に1人は最後まで添い遂げられず、結婚生活が終わるのが現実です。

 

筆者は行政書士、ファイナンシャルプランナーとして20年間で2万人以上の夫婦の離婚相談にのってきましたが、実際のところ、離婚しやすい職業、しにくい職業があるのは事実です。経験上、「医師」がその上位に入るのは間違いありませんが、なぜでしょうか?
今回、紹介するのは医師の夫と籍を入れ続ける陣内美琴さん(40歳、仮名)。結婚当時、大学病院に勤めていた夫は結婚3年目に地元へ戻り、整形外科クリニックを開業。年々、実績を積み上げ、患者が増え続け、公私ともに右肩上がり。それなら良いのですが、「私」生活は壊れる寸前でした。

 

<家族構成と登場人物、属性(すべて仮名。年齢は現在)>

夫:陣内隼人(42歳)→整形外科クリニック経営(年収3,000万円)

妻:陣内美琴(40歳)→専業主婦 ☆今回の相談者

子:陣内真琴(9歳)

謎の女性:かおり→夫の大学病院時代の同僚のはずだが…

 

なお、本人が特定されないように実例から大幅に変更しています。また夫婦の年齢や夫の職業、年収、別居の経緯や年数、婚姻費用を取り立てる方法などは各々のケースで異なるのであくまで参考程度に考えてください。

 

【行政書士がみた、夫婦問題と危機管理 ♯6】前編

 

 

離婚成立まで、生活費として「婚姻費用」を渡す必要アリ

夫婦が別居をしても籍を入れている限り、夫は妻子に対して扶養義務を負っており、毎月の生活費を渡さなければなりません。これを婚姻費用といいますが(民法760条)、家庭裁判所が公表している婚姻費用算定表によると、夫の年収が600万円、妻が100万円、子どもが1人の場合、毎月13万円が妥当な金額です。また夫の年収が400万円、妻が300万円、子どもが2人の場合は毎月7万円です。実際のところ、婚姻費用で揉める夫婦は非常に多いです。司法統計(2020年)によると家庭裁判所へ新規申立するケースのうち(争いが当事者同士にある場合。別表第二調停といいます)28.4%は婚姻費用の争いが占めています。

 

 

浮気相手は夫と同じ医師。密会バレで別居が決定的に

美琴さんが夫との同居をあきらめたのは結婚7年目。夫が知らないところで女性医師と密会していたことが明らかになったのです。もちろん、密会をした方が悪いのですが、夫は女性と別れる気はなく、「そんなのは俺の自由だろ!」と開き直るばかり。女性の影を感じ、夫の一挙手一投足を疑いつつ、一つ屋根の下で一緒に暮らすのは精神的に無理なので、美琴さんは(当時)7歳の娘さんを連れて家を出たのです。

 

現在、別居を始めて2年目。夫は「お前が別れたいなら、(離婚)してやってもいいぞ」と迫るのです。別々に暮らし、連絡をとらず、夫との接点は毎月の生活費だけ。このような生活は離婚したも同然ですが、美琴さんはそれでも離婚に応じず、別居を続け、戸籍を守りたいそうです。筆者が「なぜですか?」と尋ねると、美琴さんは「こんなことを言うのも何ですが…お金のため、娘のためです」と答えます。

 

美琴さんが離婚に応じた場合、夫に払ってもらえるのは娘さんの養育費だけです。一方、離婚せずに別居を続けた場合、娘さんの養育費に加え、美琴さんの生活費も負担してもらうことが可能です。つまり、すでに夫に対して愛情はなく、欲しいのはお金だけという冷めきった関係になり下がったのです。

 

上記の通り。美琴さんは逃げるように夫のもとを離れたので、毎月いくら援助してくれるのかを約束する余裕はありませんでした。とはいえ、稼ぎのない美琴さんにとって夫からの生活費は頼みの綱なので「振り込んでください」と頼み続けました。夫からの振込は例えば、50万円、15万円、25万円という感じに不安定でした。いくら振り込むのかは夫の気分次第。

 

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