
「なんとなく怖い」から「新NISAもやってない」人へ。放っておくと損するかもしれない、50代からのお金のリアル
実は投資は「避けて通れない」。たとえば、身近なところで言えば国民年金も投資
ところで、先ほど千田さんが「日本だと投資がギャンブルと思われがち」と言われましたが、実は私たちの身近にも「ちゃんと運用されている事例」があるんですよね?
「そうなんです。たとえば国民年金です。国民年金って、私たちが毎月支払っている保険料を単に貯めておいているわけではないんです。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)という機関が、皆さんから預かったお金を運用して増やしているですよ」
GPIFってニュースで聞いたことがあります!そこが運用してるんですね!国民年金って、「納めた保険料を今の高齢者に払っている」という仕組みが中心かと思っていましたが、それとは別に積立金もあって、それを運用しているんですね。
「はい。GPIFは、世界最大級の資産運用機関とも呼ばれていて、運用成績は年平均4.4%(※2001年度~2024年度第3四半期)という実績があるんですよ。
それだけにとどまらず、海外の公的年金や大学の基金などにおいても、投資を通じて運用益を上げている例は少なくありません。こうした運用スタイルは、保有資産のうち現金の比率が高い傾向にある日本の大学とは大きく異なる点としてしばしば注目されています」
アメリカって投資に関してもすごいんですね!つまり「大事なお金を増やす」ための手段として、投資が当たり前に活用されている事例があるわけですね。
「年金って絶対に減っちゃダメですよね?」それはその通りなのですが、ひとつ考え方に前提があって
ところで年金って、人生の保証として絶対に減らしてはいけないものというイメージが強いじゃないですか。減ってはいけないものを「投資で増やす」って、なんだか矛盾しているようにも思えてしまうんですが……。どう考えたら良いです??
「鵜飼さん、良い質問です! だからこそ、GPIFの運用って『最も安全なやり方』を追求しているんですね。そもそも年金は多くの人にとって「終身保険」のような側面がありますよね。長生きリスクに対する公的保険として一生涯給付される。だからこそ、『絶対に減らしちゃいけない資金をどう運用するか』という視点で、長期的・分散的・低コスト、そして安定的な運用をしているわけです。
これは、よく『投資』と『投機(ギャンブル)』を混同しがちな方に知っていただきたい部分です。日々の値動きを見て短期で売買して大きなリターンを狙いに行く“投機的”な行為と、年金のように長期的な視点で分散しながらコツコツ運用する“投資”はまったく違うんですよ」
それとてもわかりやすいです!でも疑問もあります。「運用成績が悪くなる=バカなことをしている」という印象をニュースでもたまに聞くことがあるなぁという印象なんです。
「確かに、大きな市況変動などで運用がマイナスになった期に『日本の年金は失敗だ!』なんて煽る人がいますよね。でも、運用というのは長期的な評価が前提ですし、国内外の株式や債券、不動産など複数の資産に分散していますから、仮に一時的に下がったとしても、長期で見れば年平均4%前後のリターンを出している。その仕組みを知らないまま『年金運用=ギャンブル』と思ってしまうと、ニュースの一部だけを見て不安にかられてしまうわけです」
本編では、「投資が怖い」と感じるのは、“よく知らない”ことへの不安が原因。でも実は、国民年金をはじめ、身近なお金もすでに“投資で運用”されているという事実についてお届けしました。
続いての>>>「投資と投機は違う」と言うけれど、インフレで毎日の買い物すら苦しい今、本当に投資なんてして大丈夫?
では、「投資=ギャンブル」と思いがちだけれど、実は年金やiDeCoも“投資で運用”されている。インフレが進む今、投資をしないこと自体がリスクになる可能性についてお伝えします。
お話/千田愛さん
IFA・ファイナンシャルプランナー。製薬会社MR、広告会社営業を経て投資運用会社で運用の基礎を学ぶ。育児による専業主婦時代を経てふたたび金融の世界に戻り、FPとして主に女性のライフプラン設計に寄り添う。IFAの資格取得後は人生トータルでのお金の使い方を主眼に、貯めるだけでなく「お金をよりよく使って生きていく」人生設計に寄り添う。
(取材・文/ライター・鵜飼慎太郎)
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