
「子どもにマネー教育するどころか、私に知識がなさすぎてヤバい…」パックンさん、親としてどうしたらいい!?
【 Q3 】
便利なキャッシュレス決済。でも子どもがそればかりだと何か弊害がありそうな気も。気をつけるべきポイントは?
「大人もキャッシュレスの便利さを少しだけガマンして、子どもの前では現金で支払う様子を見せるようにするといいですよ」とパックンさん。
『こども投資』では、お小遣いは現金で!とおすすめしています。というのも、もらう/使う感覚が身につきやすいから。
たとえばあなたは、現在の電車の初乗り運賃はいくらか、すぐ答えられますか? JR東日本の場合、初乗り運賃は150円です(切符の場合)。ちなみに、僕が来日した頃は130円でした。お財布から慣れない小銭を取り出して券売機に投入していたあの頃の僕……懐かしいですね……。キャッシュレス決済では、こういう相場感が圧倒的につかみにくいんですよ。しかも、値上げなどの価格変動にも気づきにくい点も、マネー教育上では気になります。
ですから、親がキャッシュレス決済を活用していても、マネーリテラシーを磨いている真っ最中の子どもには、現金を使わせてほしい。それでも子どもがキャッシュレス決済を利用するなら、お小遣い帳のように記録をつけさせて、金額を意識する仕組みをセットで準備するのがよいのではないでしょうか。
【 Q4 】
『こども投資』でも重要性が説かれている「節約」。日頃の生活に特に不自由していない我が子の「節約意識」を育むいい方法は?
これは、悩ましい現実ですよね。
かつての僕は本当に貧乏でしたが、その逆境があったからこそ頭を使う生き方が磨かれたし、マネーに対する工夫も生まれました。そんな経験があるから、我が子にも経済的な余裕を見せたくなかったのですが……親が我慢できなくなるんですよね(笑)。節約の重要性が身に沁みている僕でさえ、ピザをデリバリーするし、タクシーにだって乗る。「子どもがその贅沢を見て、これが普通だと思うようになったら困るな」と、僕も悩みました。
そこで辿り着いたのが、「やりたいことを全部やらせない」という方針。習い事などは別ですが、遊びに関しては取捨選択させるんです。「先週に続いて、今週もボウリングに行きたい」と言われたら、「お金のかからない過ごし方を考えて」と断ります。すると、本書でも紹介したような「ホームパーティー」や「お泊り会」を企画し始める。実際やってみると何年も記憶に残るような思い出までできるし、一石二鳥ですよね。
「日常生活」が「チャンス」に変わる、問いの立て方
では、そういう企画力や、人を巻き込む力、思いを形にするヒントをどう手に入れるか。これは、日常生活で積極的に問いを立てながら、考えさせたり、観察させたりするように仕向けるんです。
たとえば、真剣にバレーボールに打ち込む僕の娘が、夏休みにアメリカのバレーボールキャンプに参加したときのこと。キャンプ後に、「大学のスポーツリクルートに関する会議がしたい」と電話会議の依頼があったんです。「我々のサイトを使えば、全大学のコーチと繋がれて、あなたのプロフィールをみんなに見てもらえるよ」という営業ですね。
その電話会議の前に、娘には「これから僕らは、セールスを受けます。相手は僕らを説得して、商品を売り込もうとするはず。そのテクニックに注目してみよう」と伝えました。そして会議終了後に娘と振り返ってみると、多くの気付きを得ていましたよ!
まず、「私のプレーを一度も見ていないのに、ものすごく褒めてくれた」と言っていましたね(笑)。「なぜバレーが好きなの?」「どれくらいやってるの?」「パパから見た評価は?」と様々な質問をして、その答えを繰り返した上で、「だから、きっとあなたは素質がある!」「いろんな大学の先生があなたに会いたがるに違いない!」と、感情を高めてきたよね、と。
他にも、最初から価格はオープンにしないこと、いざ契約を渋ると「アメリカ国外在住のあなた向けの、特別なディスカウントがありますよ!」と、特別感を煽って後出しで割引価格を提示してきたこと……。普段なら受け身で過ごす時間も、こうすれば観察の機会に代えられるし、その学びを自分の武器に変換することもできるわけです。
マネー教育にもっと直結した問いだったら、「イーロン・マスク氏が手掛けるテスラ社は、なぜ時価総額がこんなに高いんだろう? 乗用車の生産台数はトヨタのほうがうんと多いのに……」なんていうのもいいですね。この正解は、僕もわかっていませんよ。でも、聞いてみるんです。まずは子どもと親、それぞれで考えてみて、お互いの考えを発表し合う。その後に、答えをみんなで調べてみる。大人がわかっていることを教えるのではなく、わからないまま一緒に知り、気づいていけばいいんです。
お金に限らず、広い視野でアンテナを立てる。世界や人を観察する。それが生きる力を磨く一助になります。お金について考えたり、親からのお小遣いや自らの我慢に頼るだけではなく、工夫しながらやりたいことを実現したり、お金をやりくりするための着眼点を磨くことにも通じるはずです。
profile
パトリック・ハーラン
1970年11月14日生まれ。アメリカ・コロラド州出身。投資歴約30年。日本人の妻との間に2人の子どもを持つパパ。10才の誕生日の翌日から新聞配達をして家計を助け、93年ハーバード大学比較宗教学部を卒業。同年来日。97年、吉田眞とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成。NHK「英語でしゃべらナイト」「爆笑オンエアバトル」をはじめ、多くのテレビ番組に出演し、注目を集める。現在は情報番組、報道番組にも多数出演。著書に『無理なく貯めて賢く増やす パックン式お金の育て方』(朝日新聞出版)、『ハーバード流「聞く」技術』(角川新書)、『パックンの「伝え方・話し方」の教科書』(大和書房)などがある。
『パックンの森のお金塾 こども投資』(パトリック・ハーラン 著/主婦の友社刊)
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