「もう一度、夫婦としてやり直したい」“触らない夫”になって気づいたこととは
すれ違いには、家庭環境の影響があった
なぜ、タカシさんは自分の行為が奥さまを苦しめていたことに、あれほど気づけなかったのか。
その背景には、夫婦それぞれが育った家庭環境や、性格的な価値観の違いが大きく影響していました。
「僕の実家では、父が母にちょっかいを出すのが日常でした。お尻を叩いたり、ハグしたり……。ふざけ合いながら笑っていたふたりの姿が、“仲の良い夫婦”として焼きついていたんです。だから、自分にとって“スキンシップは当たり前の愛情表現”という意識がずっとあって」
一方、奥さまは「人前でのスキンシップが苦手」な家庭で育ったそうです。
体調不良のときにマッサージする程度はあっても、ハグやボディタッチといった日常的なふれあいは少なかったといいます。
加えて奥さま本人も、「プライベートとパブリックはきっちり分けたい」タイプ。家の中でも、突然の接触には抵抗感が強かったのかもしれません。
「僕が“当たり前”だと思っていたことは、妻にとっては“侵害”だった。それを理解しないまま距離を詰めていたのは、思いやりがなかったと反省しています」
夫婦といえども、「当たり前」が一致しているとは限りません。
すれ違いが生まれたとき、どちらかが丁寧に説明し、歩み寄る必要がある。
それができなかったタカシさん夫婦には、静かに誤解が積もっていったのです。
再出発のために「ちゃんと話す時間」をつくろうとしている
現在、タカシさんは「今度こそ、きちんと話し合いたい」と考えています。
一方的に謝罪文を渡すだけ、スキンシップを我慢するだけでは、何も解決しなかった。
ならば、お互いがどうしたいのか、今後どんな関係を築きたいのかを、言葉にして伝え合う必要があると痛感しているのです。
「もう一度、夫婦としてスタートラインに立ちたい」
それが、今のタカシさんの率直な願いです。
もちろん、すぐに元通りになれる保証はありません。
一度爆発した怒りと不信感を乗り越えるには、相当な時間と誠意が必要です。
それでもタカシさんは、「愛情表現は、相手の気持ちを汲み取ってこそ意味がある」という教訓を得たと語ります。
過去の自分を悔やみながらも、同じ失敗を繰り返さないために、ようやく前を向こうとしているのです。
おわりに
無神経なスキンシップが引き起こした、夫婦の深い溝。「愛情表現のつもりだったのに」「自分の家庭では当たり前だったのに」――そんな思い込みが、奥さまを押しつけがましさと絶望へと追い込んでしまいました。
夫婦といえども、育った環境も感覚も価値観も違います。それを“察してくれるだろう”と甘えるのではなく、「ちゃんと伝える」「違いを認める」「すり合わせる」ことが大切なのです。
関係が歪んでしまったあとでも、修復の道はあります。タカシさんのように、自分の非を認め、具体的な対話の努力を始めることが、失われた信頼を取り戻す第一歩になるかもしれません。
「触れる」という行為は、時に安心を、時に圧力をもたらします。だからこそ、その“距離感”には思いやりが必要です。
ふたりが再び「おかえり」「ただいま」と、心から交わせる日が来るように……。読者の皆さんも、このストーリーをきっかけに、ご自身の愛情表現について、少し立ち止まって見つめ直してみてはいかがでしょうか。
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