“たかが咀嚼音”で夜も拒否され、レス、離婚寸前……。そんな夫がふと気づいた“本当の問題”とは
完璧じゃなくていい。クチャラー克服から見えた夫婦の再出発
――ヨシヒサさんは今、離婚危機からどのくらい脱却できていると思いますか?
「完全に安心できる状態ではないですが、少なくとも『一緒に食事をしない』という最悪の事態は脱しました。最近では、妻の方から『今日は外食でも行ってみる?』と誘ってくれることもあるんです。もちろん、ときどき『ちょっと音立ってるよ』と言われることもあります。でも今の僕は、『ごめん、気をつける』と素直に受け止められるようになりました。
離婚話が出たときは、本当に自暴自棄になりそうでした。でも今では、妻に指摘されるまで自分の癖を放置していたこと、そしてそれがどれだけ妻にストレスを与えていたかをようやく理解できたと思います。これからは、食事の仕方だけでなく、日常生活のいろんな面で『相手が嫌がること』にもっと敏感でいたいです」
――同じように「クチャラー」を指摘されて悩んでいる人たちに向けて、何かメッセージはありますか?
「僕も偉そうなことは言えませんが、『自分はクチャラーじゃない』と否定する前に、一度冷静に確認してみるのが大事だと思います。録音するでも、動画を撮るでも、自分の食べ方を“客観視”する方法はあるはずです。
そして、ただ直そうとするのではなく、どう“意識し続けるか”に注目してほしい。僕は『箸を置く』『一口ごとに飲み込んでから次を食べる』という、ごく簡単な行動パターンから始めました。ポイントは『完璧を目指さないこと』。一気に全部を矯正しようとすると、かえってストレスになって挫折しやすいんです」
――完璧を求めず、でも続ける。その姿勢が大切ですね。
「はい。そしてもうひとつ、自戒を込めて言いたいのは『相手の注意を軽く受け流さないこと』です。僕は最初、『うるさいなあ』くらいに受け止めていました。でも、その態度が妻の不信感をどれだけ増幅させていたか…いまはよくわかります。
大切な人が何かを気にしているなら、その背景にある感情まで考えてみるべきです。そこを理解せずに『気をつけるよ』と口先だけで済ませてしまうと、根本的な解決にはなりません」
“たかが食べ方”と思わずに、相手の心に目を向けること。それが夫婦関係をこじらせない最大のポイントなのかもしれませんね。
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