結婚7年目。子育て中の妻から「シンママ」に乗り換えた不倫夫。離婚後、住宅ローンは夫が返済して妻が住み続けられる?【行政書士が解説】
今回は、多くの夫婦から相談を受ける行政書士、ファイナンシャルプランナーの露木幸彦が「離婚と住宅ローン」について迫ります。
突然ですが、質問です。住宅展示場に足を運んだことはありますか? 住宅展示場とは複数の住宅メーカーが同じ敷地内にモデルルームを用意しており、一度に多くの物件を見学することができる場所のことです。そこで待っているのは大きな窓から差し込む光、広くて緑が優しい庭、そして開放感のある高い吹き抜け…思わず目移りしますね。
さらに子ども向けのショー、綿菓子の実演、そしてアウトドアグッズのプレゼントなど…メーカーは見学者を楽しませてくれますが、営業マンに「毎月の住宅ローンって今の家賃とほとんど変わらないんですよ」と囁かれたら、誰だって生唾をゴクンと飲み込むでしょう。
【行政書士がみた、夫婦問題と危機管理 #13 住宅ローン編】
行政書士からみた住宅ローンのリスク
統計上、不動産購入者の返済比率(収入に占める住宅ローンの割合)は平均で23.2%(2024年、住宅金融支援機構のフラット35利用者調査)。例えば、毎月の手取りが25万円ならローンは5.8万円なので現実味を帯びてくるでしょう。この程度の負担で借家住まいから抜け出し、夢のマイホームが手に入るのだから。
もちろん、頭金を入れず、すべてローンでまかなう「フルローン」の人もいますが、「実は…家を買おうと思っているんだ」と言えば、親が援助してくれる家庭も多いのではないでしょうか?実際のところ、親が子に住宅取得資金を贈与した場合、省エネ住宅なら1,000万円まで、それ以外の住宅は500万円まで贈与税が免除される制度があります。将来的には相続税の節税対策にもなるので親を説得しやすいです。前述の統計によると不動産を購入する際、用意する頭金の平均は486万円です。一方、住宅ローン(融資額)の平均は3,868万円です。
筆者は行政書士、ファイナンシャルプランナーとして夫婦の悩み相談にのっていますが、両親が頭金を用立ててあげるのは、息子の結婚生活がずっと続くと信じているからでしょう。まさか途中で離婚するなんて露ほども思っていないはずです。その「まさか」が本当に起こってしまったのが今回の相談者・伊東綾香さん(仮名、42歳、会社員で年収250万円)
離婚したいけど、月8.5万円のローンは厳しい
彼女は長男出産をきっかけに持ち家を購入。夫の父(義父)が500万円の頭金を援助し、残りは夫が住宅ローン(毎月返済額8.5万円)を組んだのですが、結婚7年目に夫の女性問題が発覚。そのまま夫が出て行ったので離婚は避けられそうにありません。
綾香さんはこのまま長男と一緒に、この家に住み続けたいのですが、問題になるのは夫が組んだ住宅ローンと、義父が出した頭金です。綾香さんに500万円の貯金はなく、また長男を女手一つで育てながら、毎月8.5万円のローンを返済するのは厳しい状況。どうすれば、住宅ローンや頭金を負担せずに離婚できるでしょうか?
なお、本人が特定されないように実例から大幅に変更しています。また夫婦や子どもの年齢、築年数や頭金や住宅ローンの金額、夫の不倫が発覚するきっかけ、養育費や財産分与、慰謝料などの離婚条件などは各々のケースで異なるのであくまで参考程度に考えてください。
<登場人物(相談時点。名前は仮>
夫:伊東優斗(40歳。会社員。年収600万円)
妻:伊東綾香(42歳。会社員。年収250万円)☆今回の相談者
長男:伊東啓斗(5歳。優斗と綾香の長男)
夫の父:伊東貫太郎(70歳。無職)
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