42歳の専業主婦。モラハラ夫に提示した「離婚しないための3つの条件」とは【行政書士が解説】

離婚したくない夫と、したい妻の「落としどころ」は…

とはいえ本当に約束を守る気があるのなら、離婚したくないのなら、どんな条件を付けられても構わないはずです。

 

これらの条件は離婚した場合のみ効力が発生します。逆にいえば離婚しない限り、効力は発生せず、保留中のままです。夫が再度、約束を破った場合は離婚するという意味です。離婚届を提出するという意味です。夫が心から反省し、心を入れ替え、約束を守り続ければ、三つの条件は保留中のままです。そのため、由奈さんは「もしOKしてくれないなら、約束を守るつもりがないのだ、と思うしかありません。そうすると離婚するしかありませんね」と続けたのです。

しかし、夫にはまだ反撃の余地があったようで…「いろいろ御託を並べているけど、お前、本当は離婚したいんじゃないか?実際には結婚生活を続けていくつもりがあるのか?」と投げかけてきたのですが、これは由奈さんにとっても痛い質問です。なぜなら、本当は今すぐにでも離婚したいのだから。

 

そこで由奈さんは「私は康太のことを第一に考えています。今すぐ離婚しないのは康太にとってあなたが必要だからです。分かりました。康太が成人するまで仮面夫婦を続けましょう。成人したら離婚しても結構です。そのころにはお義母さん(現在76歳)も健在か分からないし」と返したそうです。

 

このように三つの条件は息子さんが成人するまで。あくまで期間限定だということを付け加えたのです。実際のところ、夫も母親に気兼ねしなくていいのなら、由奈さんを引き留めるつもりはなく、さっさと離婚に応じているでしょう。息子さんが成人するまであと4年。我慢するのは4年間でいいと安心したのか、ついに夫はこの条件に承諾したのです。

 

 

ここまでは由奈さんが17年間の夫婦関係で精神的に追い詰められたけれど、離婚を思いとどまり、結婚生活を続けるにあたり、何をすべきかについて紹介してきました。「離婚したい」と思って即、離婚できるのなら、統計上の離婚件数はもっと増えるでしょう。

 

しかし、実際には子どもが小さいから、経済的に不安だから、気持ちの整理ができないからなど、すぐに離婚できない事情を抱えていることが多いです。嫌々でも婚姻関係を継続する場合、「タダで」終わらせるのは危険です。何もしなければ、ますます夫との仲は険悪化し、心の傷は深まり、最悪の場合、由奈さんのように命の危険にさらされる恐れもあるからです。
夫への愛情がゼロになった場合の同様です。気持ちは冷めてしまっていたとしても籍だけ入れ続けるのなら、何をしたら良いのか? 由奈さんが辿った経緯を参考にしつつ、をご自身のケースに当てはめて考えてみてください。

 

<出典>
2024年の厚生労働省、人口動態統計
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai24/dl/gaikyouR6.pdf

2014年の厚生労働省、人口動態統計
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei14/dl/gaiyou.pdf

法務省の司法統計(2020年)
https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/toukei/toukei-pdf-12253.pdf

児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
https://www.mext.go.jp/content/20241031-mxt_jidou02-100002753_2_2.pdf

 

 

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