「俺、再婚して子ども産まれたから。もう養育費は無理」元夫から毎月6万円が振込まれなくなった41歳女性。約束したのに、諦めるしかないの?

今年は「離婚の法律」が大々的に変わることを知っていましたか?具体的には共同親権と法定養育費の導入ですが、筆者は行政書士、ファイナンシャルプランナーとして夫婦に悩み相談にのっているので、2026年は歴史的な一年になると考えています。

 

まず共同親権とは離婚しても元夫婦が一緒に子どもを育てるため、どちらか一人ではなく二人が親権を持つという制度です。一方、法定養育費とは夫婦間で養育費の約束がなくても、養育費を「毎月2万円」とし、相手の給料を差し押さえることができる制度です。

現状(2026年4月まで)の法律では未成年の子どもがいる場合、夫婦が離婚するにあたり、どちらが親権を持つのかを決めなければなりません(民法819条)。そして非親権者は親権者に対して子どもの養育費を支払う必要があります(民法766条)。ここでは妻が親権を持ち、夫が養育費を支払うという前提で話を進めます。

 

統計上(令和3年度全国ひとり親世帯等調査)母子家庭のうち、養育費を現在も受け取っているのは28%、一度でも受け取ったことがあるのは14%しかいません。一方、一度も受け取ったことがないのは57%に達しています。つまり、半分以上の父親は養育費を支払ったことがないことを意味します。そのため、法定養育費の導入で養育費の回収率が上がることが期待されています。

なぜ回収率の上昇が期待できるのでしょうか?例えば、夫が会社員の場合、会社が夫(従業員)に給料を支払う前に、会社が直接、母親の口座に養育費を振り込んでくれます。残った分は夫の口座に振り込まれますが、いわゆる給料の天引きが可能なのです。しかも一度、手続を踏めば最終回(子どもが成人年齢に達した時など)まで自動的に天引きされるため非常に便利だからです。(民事執行法151条)

 

 

どうして養育費を支払わない元夫が多いのか?

ところで養育費の支払が途中で止まる理由は何だと思いますか?上記の統計によると母子家庭のうち、養育費を受け取っていない理由として相手に支払う意思がないと思った(15%)、相手に支払う能力がないと思った(14%)以上に相手と関わりたくない(34%)が最多です。

 

ここで焦点を当てたいのは元夫が新しい家庭を築いた場合です。今回の相談者・蛯名陽子さん(契約社員、年収250万円)は離婚から3年間、毎月6万円の養育費を受け取っていました。しかし、ある日突然、元夫からの振込が止まったのです。元夫に連絡をとると「再婚して子どもが産まれた。今の家庭を大事にしたいから、もうお前たちに養育費を払えない」と言うのです。

実際のところ、結婚する夫婦の4組に1組は再婚です。厚生労働省の人口動態統計によると2023年の婚姻数は47万組。そのうち12万組はどちらか(もしくは両方)に離婚歴があるので全体の25%を占めています。では、元夫と現妻との間に子どもができた場合、元妻は養育費をあきらめるしかないのでしょうか?

 

なお、本人が特定されないように実例から大幅に変更しています。また夫婦や子どもの年齢、元夫と結婚する経緯、離婚の原因、養育費の振込が止まった理由、現時点での養育費の計算方法などは各々のケースで異なるのであくまで参考程度に考えてください。

<家族構成と登場人物、属性(すべて仮名。年齢は現在)>
元妻:蛯名陽子(42歳)契約社員(年収250万円)
長男:蛯名流星(3歳)陽子と隆哉との子
元夫:川田隆哉(34歳)会社員(年収850万円)
元夫の現妻:川田美穂子(28歳)職業不明
長女:川田紬(0歳)隆哉と美穂子の子

【行政書士がみた、夫婦問題と危機管理 #17】

 

 

GPSから判明した夫の裏切り

筆者が「どのような経緯で元夫と知り合ったのですか?」と尋ねると、陽子さんは照れながら「マチアプ(マッチングアプリ)です」と答えます。さらに「8つも年下なんですが、いろいろあって…」と奥歯にものが挟まったような言い方をします。

マッチングアプリとは住所地や出身地、年収や業種、趣味や好みのタイプなどを登録し、気になった相手を選びます。まずはアプリ上でやり取りをし、打ち解けたら連絡先(携帯番号、メールアドレス、LINEのIDなど)を交換して約束を取り付け、実際に会うという流れですが、当時の陽子さんは38歳。すでに70歳を過ぎた両親に孫の顔を見せてあげたいけれど、結婚相手が見つかるかどうか分からない。そんなふうに焦っていたため(元夫との婚前交渉(結婚する前に肉体関係を結びこと)を受け入れてしまったと回顧します。

リクルートブライダル総研の婚活実態調査(2023年9月)によると婚活サービスを通じて結婚した人の割合は15%に達しています。一方、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「マッチングアプリの利用状況に関するアンケート」(2021年12月)によると、マッチングアプリでトラブルにあった人のうち、10%は「(相手が)婚活ではなく性行為を目的としていた」と答えています。

その結果、陽子さんは妊娠。それをきっかけに結婚することになったのですが、幸せな結婚生活は長く続きませんでした。結婚2年目には夫の怪しい言動が目につくようになったのです。例えば、スマホの画面に「世界で一番、たいせつな人」「好き、好き、大好き!」「今度、いつ会えるの?」という通知が表示されているのを発見したそうです。

 

 

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