2026年から「養育費」を受け取りやすくなる!? 子どもの成人までもらいそびれない、裁判所の「新・計算式」とは!?【行政書士が解説】
今年は「離婚の法律」が大々的に変わります。具体的には共同親権と法定養育費の導入です。筆者は行政書士、ファイナンシャルプランナーとして夫婦に悩み相談にのっているので、2026年は歴史的な一年になると考えています。
関連記事『「俺、再婚して子ども産まれたから。もう養育費は無理」元夫から毎月6万円が振込まれなくなった41歳女性。約束したのに、諦めるしかないの?』では、夫の不倫が原因で離婚をした陽子さんが、慰謝料支払いが終わったタイミングで養育費が振り込まれなくなったという経緯についてお話しました。
本記事では、養育費不払いの理由が元夫の再婚・子ども誕生だった場合、陽子さんは泣き寝入りするしかないのかを解説します。
養育費を復活させたいの元妻の交渉計画
今回の相談者・蛯名陽子(契約社員、年収250万円)さんは38歳のとき、夫と授かり婚したけれど、わずか3年で離婚。毎月6万円の養育費を約束し、きちんと振り込まれていたのですが、4年目に突然、振込が止まったのです。元夫に連絡をとると「再婚して子どもが産まれたから養育費はもう払えない」と言うのです。とはいえ、陽子さんは子どもを育てるため、養育費をあきらめるわけにはいきません。何とか振込を復活させるため、できる限りの手を尽くしたそうです。元夫をつかまえ、陽子さんは「誓約書に残したから、そこで決めた養育費の金額は何があっても変更できないでしょ?」と指摘したそうです。
ですが、本当にそうなのでしょうか?解説すると「法律(民法880条)で事情変更のよる見直しが認められています。この条文を読むと、元夫の再婚や子どもの誕生はこれに該当します。離婚時、誓約書を作成した場合も例外ではないのです。元夫が民法880条を知っていたかどうかは分かりませんが、「決して俺の思い付きで言っているわけじゃないんだ!」と反論してきたそうです。
陽子さんは筆者の事務所へ相談しにきたとき、すでに養育費の停止から半年が経過していました。統計上(令和3年度全国ひとり親世帯等調査)養育費のことで相談する相手は親族(21%)、弁護士(11%)、家庭裁判所(7%)の順です。条件を満たせば養育費の見直しは法律で認められている、と伝えたときの陽子さんの愕然とした表情を、筆者はよく覚えています。
まさか一度決めた養育費が変更可能だなんて…
陽子さんは「まだ3年しか養育費をもらっていないのに…」と肩を落とします。どうやら離婚するとき、最初から最後まで毎月6万円をもらえると信じていたようです。しかし、離婚から一定の期間は養育費を変更できないという別のルールはありません。どのタイミングでも事情変更が発生すれば見直すことは可能。残念ながら、それが現実なのです。
夫のほうが正しいことを知った陽子さんは、今度は感情的に訴える作戦に切り替えたのです。まずは「再婚したり子どもを作ったりしたら、養育費を満額払えないことくらい、最初から分かっていたよね!? それなのに勝手なことをして、『払えない』だなんて無責任すぎない?」と怒りをぶつけたのですが、元夫は全く動じません。「婚姻届にお前の許可を必要とする記入欄なんてなかったよ。それなら再婚するかどうかは俺の自由なんじゃないかな? 子どもを作るかどうかもお前が口を出す問題じゃないよ」と言い、元夫の再婚や子どもの誕生が無計画かどうかは、養育費とは直接の関係はないという態度をとったのです。
さらに陽子さんは「不倫で家庭を壊したのに、途中で養育費を減らしたいだなんて何様のつもり!と元夫の痛いところを突こうとしたのですが、当の元夫はまったく動じません。「今でも俺のことを恨んでいるのか…ちゃんと慰謝料を払っただろ? これ以上、何をしろって言うんだ。そのことと養育費は別に考えてくれよ」と返してきたのです。まさに「ああ言えば、こう言う」という感じで話し合いは牛歩のまま。全く前に進む気配がなかったのです。
元夫と再婚相手との間に子どもが産まれた場合、元妻の子の養育費は本当に免除(ゼロ)なのでしょうか? そんなことはありません。正しくは「減額」です。筆者は「金額を減らされても毎月、振り込んでもらうことは可能ですよ」とアドバイスしました。今回の場合はいくらなのでしょうか?
養育費の新しい算定方式は?
具体的には家庭裁判所が公表している「新しい算定方式」(判例タイムズ1111号291頁)を用いますが、算定方法は以下の通りです。
【家庭裁判所の算定方式】
- 算定方式における基礎年収(年収の0.4倍)を算出する
- 元夫は100、現妻は62、14歳未満の子どもは62、15歳以上の子どもは85とする。この場合の子どもは62とし、元妻の子÷元夫+現妻+元妻の子+現妻の子の係数を算出。元夫の年収に係数をかけると「子どもの生活費」になる
- 子どもの生活費×元夫の基礎年収÷元夫の基礎年収+元妻の基礎年収=妥当な養育費の金額
仮に元夫の年収が離婚時と変わらず850万円で、現妻を扶養に入れている場合、養育費は毎月4.5万円が妥当な金額です。
そのことを踏まえた上で陽子さんは「正式な計算方法だと毎月4.5万円になるそうよ!」と提示したのですが、それでも元夫は納得しない様子。「無理なものは無理」とダダをこねます。そこで陽子さんは「流星に愛情がないから平気でこんなことができるのね。それじゃ、流星に『パパが養育費を払ってくれないから、ママはお金に困っているの』って言うから!」と迫ったのです。
すると元夫は「そういうわけじゃない。お前たちのことがどうでもいいってわけじゃない!」と慌てた様子に変わったのです。そして「流星におかしなことを吹き込むなよ。誰のおかげでここまで大きくなったと思っているんだ!」と逆ギレ。そもそも元夫は、陽子さんの息子、そして現妻の娘の父親です。二人の子どもについて違うのは、あくまで産まれてきた順番だけ。新しい家庭を養うことで、陽子さんの息子さんに貧しい思いをさせるのはいかがなものでしょうか?
先に産まれたせいで不幸になるなんて酷すぎます。そこで陽子さんは「流星を優先して欲しいわけじゃない。せめて平等に扱って欲しいだけなのに…」と夫に懇願しました。実際のところ、産まれる順番が逆なら、現妻の子どもが同じ目に遭っていてもおかしくはありません。子どもに罪はありません。なぜなら、子どもはどの親のもとに産まれてくるのかを選ぶことはできないからです。最終的に元夫は「うるせーな! 分かったよ。毎月4.5万円だけ振り込めばいいんだろ?」と観念したのです。
今後、「法定養育費」の導入で変わること
ここまで陽子さんが一度、停止した養育費を復活させるまでの悪戦苦闘を見てきましたが、統計上(令和3年度全国ひとり親世帯等調査)養育費の取り決めをしたのは全体の46%、約束を書面化したのは35%、強制執行が可能な書面に残したのは28%です。強制執行というのは元夫が約束した養育費を支払わなかった場合、元夫の財産を差し押さえることができるという意味です。
陽子さんの場合、離婚時に取り交わしたのは誓約書。公正証書ではありませんでした。そのため、元夫が無断で振込を止めたとき、元夫の財産を差し押さえるという選択肢はありませんでした。
ところで冒頭で紹介した「法定養育費」ですが、元夫との間で養育費の取り決めがなくても養育費を「毎月2万円」とし、その金額を元夫の財産から差し押さえることができます。もちろん、1ヵ月につき2万円は十分な金額ではありませんが、ゼロ円よりはましでしょう。何より元夫と接点を持つことに躊躇している女性にとって朗報です。なぜなら、元夫と一切関わることなく養育費を回収することができるのですから。
<出典>
厚生労働省の人口動態統計(2023年)⇒再婚率
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003411838
リクルートブライダル総研の婚活実態調査(2023年9月)
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20230921_marriage_02.pdf
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「マッチングアプリの利用状況に関するアンケート」(2021年12月)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/internet/assets/caution_internet_220121_0002.pdf
一般社団法人・日本家族計画協会家族計画研究センターが2017年に調査した結果
https://www.jfpa.or.jp/pdf/sexservey2020/JexSexSurvey_p12.pdf
厚生労働省の人口動態統計(2024年)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei24/dl/03_h1.pdf
厚生労働省の人口動態統計(2014年)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei14/dl/03_h1.pdf
続きを読む
【注目の記事】
- 女性の多くが経験する「尿トラブル」、家庭で効率よく向き合うケアアイテムが新登場! 骨盤底筋専用EMS「SIXPAD ペリネフィット」
- 細リブニットで作る大人の甘辛モノトーンと体型カバー法【40代の毎日コーデ】
- 必要なのは「努力」ではなく「適切なギア」と「正しい数値化」でした! ゆらぎ時期の54歳がガーミンのスマートウォッチで「睡眠・生活の質」を爆上げした話
- 「勝手にトイレ入るな!」と連れ子をいじめる偏愛夫(38歳・公務員)。再婚→また離婚…夫の「仕事上の弱み」を把握すれば、実子の親権も養育費も得られる!?
- わずか小さじ1杯!女性ホルモンの“悪い代謝”を”よい代謝”へ導き、数日で細胞が1カ月で肌が若返るオイルとは?美人女医の実践方法も取材【消化器内科医監修】













