一夫一婦制が息苦しい…夫が提案した「妻以外との恋愛もOK」な結婚生活と、妻の苦悩とは?
それでも離婚しなかった理由。「結婚をやめたんじゃない。前提だけをやめた」
最後に、いちばん素朴な問いを投げかけました。「そこまで大変なら、別れたほうが楽だったのでは?」健太さんは、少し笑って首を振りました。
「楽、を選ぶなら、たぶんどっちも地獄です。離婚しても、自分の問題は残る。結婚を続けても、調整の地獄がある。だったら、僕は “妻と一緒に悩む地獄” を選びたかった」
ーーー奥さまは、いまどう言っていますか?
「最近、妻が言ったんです。『あなたの話を聞くのは辛かったけど、あなたが嘘をつく人にならなくてよかった』って。……その一言で、泣きました。僕は “自由” を欲しがっていた以上に、”嘘をつかずに生きる道” が欲しかったんだと思います」
夫婦でオープンリレーションシップを選ぶことは、誰にでも勧められる話ではありません。むしろ、多くの人にとっては向かないでしょう。合意形成の難度が高く、嫉妬や不安を”消す”ことはできません。周囲に説明もしにくい。孤独もあります。
「社会の目は怖いです。だから言えない人も多いと思う。でも僕は、”制度に合わせて自分を壊す” のが正解だとも思えなくて」
あなたにとって”結婚”って、いま何ですか?
「……生活の共同体です。それと、いちばん近くで “人生を見てくれる人” との関係。恋愛の形は変わっても、そこは変わらない。たぶん僕らは、結婚をやめたんじゃない。結婚の “前提” だけを、やめたんだと思います」
取材を終えたとき、窓の外は夕方の光に変わっていました。”結婚が合わない” という言葉は、乱暴に聞こえます。しかし健太さんが語ったのは、結婚を壊す話ではなく、結婚を作り直す話でした。正しさを語るより、合意を積む。理想を掲げるより、運用を続ける。派手さのない、地味で、痛くて、それでも誠実な選択です。
「一生ひとりだけ」は無理だった。でも、離婚もしなかった。その間にある無数の夜が、健太さんたちの夫婦を、別の形で支えているようです。
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