迷い悩み、立ち止まる私たちに「ことば」はいつも寄り添う【覚 和歌子エッセイ】
『千と千尋の神隠し』の主題歌『いつも何度でも』の作詞でも知られる、詩人の覚 和歌子(かく わかこ)さん。
彼女があるとき偶然の出会いを得て作り上げたのが、「ポエム」+「タロット」の「ポエタロ」です。
空から降りてきた光のような言葉をすくいとり、映した47枚のカード。これから週1話ずつ「詩人とその言葉」にまつわるエッセイをご紹介します。
第1回目は、「序」。なぜ、詩人である彼女が『ポエタロ』を作ることになったのでしょう。
【序】なぜ詩人の私がポエタロを作ろうと思ったか
オラクルカードというものに出会ったのは数年前
久しぶりに会う友人が、おしゃべりのネタにと持ってきてくれたものだった。
直感とつながるとされる左手で、カードの山の中から一枚を引く。
その一枚との出会いは
「引く理由があってのこと=必然」である。
そこからカードが意味するメッセージを読み取る(リーディングする)。
やってみて驚いた。
目下の心の葛藤や気になっている事柄に、つながり響くこと甚だしいのである。
つくづく感心して、ともあれ感心し購入した。
心身ともにわけもなくへこんでいた時期
カードと親しむ就寝前は救いのひとときだった。
オラクルカードがこんなに人の心を励ます力を持っているなら
私にも作れないだろうか。
そもそも「詩/詞」は祝詞(のりと)が起源だ。
神さまからいただき神さまに捧げる言葉、つまり
ご神託(オラクル)そのものなのだから。
ポエトリータロット「ポエタロ」はそうして誕生した。
47枚のカードそれぞれには
「火」「海」「花」といったエレメントを設け、
デナリさんのチャーミングなイラストともに数行の詩を施した。
縄文のパワースポット、八ヶ岳での原稿書きは
ふりそそがれるインスピレーションとダンスしているような
よろこびの奉納創作だった。
2016年春に産声を上げてから、
「ポエタロ」は生き生きとその役割を果たしているようで
ほんとうにうれしい。
覚 和歌子
詩人・作詞家
山梨県生れ/千葉県育ち。早大一文卒。平原綾香、smap、新垣勉、夏川りみ、クミコ、ムーンライダーズなどの作詞で、多くの作品をCD化。NHK全国学校音楽コンクール課題曲、校歌、合唱組曲等の作詞なども多く手がける。01年『千と千尋の神隠し』主題歌『いつも何度でも(曲・歌唱/木村弓)』の作詞でレコード大賞金賞。詩集『ゼロになるからだ』(徳間書店)、『はじまりはひとつのことば』(ポエタロ,コラム,占い港の人)、『2馬力』(ナナロク社)など。エッセイ、絵本、翻訳など著作多数。映画監督、脚本、舞台演出、朗読、自らのバンドを率いてのソロライブ、米国ミドルベリー大学日本語学特別講師など。詩作を軸足にマルチな活動を展開。
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「ポエタロ」について
「ポエムタロットカード」を縮めた名前、『ポエタロ』。
47枚のカードにはそれぞれ、美しくやわらかい日本語の詩と、かわいらしくも不思議な魅力のあるイラストが描かれています。
使い方はいたって簡単。シャッフルしたカードの中から、その時の直感で1枚、あなた自身のためにカードを引いてみてください。1日のはじまりにその日の指針を得てもいいし、なにか大きなチャレンジの前や、なかなか超えられない壁に直面しているときに。
そのときの気持ちや環境にリンクした、やさしい詩とメッセージが、次の1歩を踏み出す勇気や確信を与えてくれる不思議なカードです。あなたの心強い味方になってくれるはず。
『ポエタロ いのちの車輪をまわす言葉』
覚 和歌子・著 石川 勇一(相模女子教授)・監修 大野 舞(Denali)・画 カード47枚 ガイドブック付き 3,780円(税込)/地湧社
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