結婚前提の交際なのに「ほかに好きな人ができた」と捨てられた…慰謝料を請求することは可能?
適齢期の男女が「結婚を前提に」交際をスタートすることは多いと聞きます。お互いに早期のゴールインを望んでいる場合、結婚する気がない人とはつきあいたくないものですから、そう考えるのも当然のことでしょう。
しかし、すんなり結婚に至るかというと、そうもいかないのが人間関係。突然「ほかに好きな人ができた」と告げられ、別れを突きつけられたという人もいるようです。
このような身勝手な理由での別れとなれば、当然慰謝料などを請求したくなるもの。ですが結婚しているわけではないだけに、難しいように思えます。実際のところ、どうなのでしょうか?
秋葉原よすが法律事務所の近藤美香弁護士に見解をお伺いしました。
Q.結婚を前提とした交際相手から突然「ほかに好きな人ができた」と別れを切り出された…慰謝料などを取ることはできる?
A.交際の内情が内縁あるいは婚約に該当する場合には認められることもあります
近藤弁護士:「前提として、慰謝料が法律上認められるためには、民法上の『不法行為』が成立することが必要です。そして不法行為が成立するというためには、
①加害行為
②権利・法律上保護される利益の侵害
③相手方の故意・過失
④損害
⑤因果関係
を主張立証しなければなりません。
このケースではさまざまな問題点が考えられるようにも思いますが、特に問題となってくるのは、そもそも②権利・利益の侵害があるといえるかどうかでしょう。『別れを切り出されることで、切り出された側に何らかの権利・法律上保護される利益が侵害されたといえるのか?』ということです。もちろん気持ちは傷ついたでしょうが、裁判所は、それだけでただちに法律上保護される利益が侵害されたものとは考えていません。
裁判所の大まかな傾向を見る限り、ご質問のケースで慰謝料が認められるとするならば、それは内縁破棄あるいは婚約破棄に該当するような場合に限られてくるように思われます。簡単に言えば、内縁は『実質上夫婦なのに婚姻届を出していないだけ』の状態であり、婚約は『将来婚姻しようという誠心誠意の男女間の約束』のことです。
つまり、ご質問の『結婚を前提とした交際』の内情をみたとき、このような内縁あるいは婚約にあたるといえる場合であれば、権利・法律上保護された利益が侵害されたので慰謝料が認められる、という結論となる可能性もあるでしょう」
結婚を前提とした交際ならば、別れるにしても最後まで責任を持って行動するのは当然のこと。別れを突きつけられた側としては、やはりやりきれないものを抱えてしまいます。
慰謝料を請求できる場合もありますので、泣き寝入りせず離婚問題の解決実績がある弁護士に相談し、対応を協議してみてはいかがでしょうか。
*取材協力弁護士: 近藤美香(秋葉原よすが法律事務所。家事事件を専門的に取り扱い、500件以上の家事事件を取り扱った経験を持つ。JADP認定の夫婦カウンセラーの資格を保持している。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)
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