「本当にそれでやる気が出るの?」確実かつ手っ取り早い2つの方法があまりに簡単すぎて「本当かよ」と思ってしまう件

こんにちは、心理学者の内藤誼人です。私たちの生きる社会とは私たち個々人の主観で構成されており、心の動きと社会は切り離して考えることのできない表裏一体の存在です。働く女性の皆さんに、仕事、家庭、自分時間の3つの視点から、「知っておくと人生がスムーズに動き出す」心理学の知恵をお伝えします。

今回編集部からいただいた悩みは「やらないとならないことは山積みなのに、どうしてもやる気が出ない」。

前編記事『「やる気が出なくて今日もお片付けできなかった」…ダラダラ寝てしまう私たちが「これを知っておくだけでキビキビできる」たった一つのコツ』に続く後編です。

【心理学者が教える「8割がんばらない」生き方】#2後編

「あんなふうだったらいいのに」と思う人がいるなら、何も考えずにやり方をコピー・ペースト

やる気を出したいのなら、いつでも精力的で、やる気に満ち溢れている人がやっていることを、そのまま盗んでしまうのが一番。なぜなら他人のやり方を盗むのは悪いことでも何でもないからです。食習慣もそうです。美容習慣もそうです。参考になりそうなものはどんどん真似をしましょう。

 

学校ではダメです。他人の答案をそのまま書き写すのはカンニングになりますし、他人のレポートをそのまま丸写しして提出すると、バレたときには確実に単位を落としてしまいます。ところが、その他の点では他の人をそっくり真似するのはまったく問題がありません。

 

他人の方法をパクるやり方を、心理学では「コピー・ペースト法」と呼んでいます。

 

米ペンシルバニア大学のケイティ・メアは、1028名(平均38.30歳)を対象にして、運動習慣を身につけさせる上でのコピー・ペースト法の効果を検証しています。コピー・ペースト法に割り振った条件には、次のような指示を出しました。

 

「あなたの知り合いで、運動習慣のある人が、どんなやり方でやる気を出しているのかを思い出してください。もしわからないときには、運動習慣のある人に直接聞いて教えてもらってもかまいません。そしてその人がやっていることを、自分でもそっくり真似をして運動してみましょう」

 

コントロール条件に割り振った人たちには、このような指示は出さず、普通に自分で運動をしてもらいました。それから1週間後にもう一度実験参加者に連絡をとり、この1週間でどれくらい運動をしたのかを教えてもらいました。

 

すると、コピー・ペースト条件では平均4.32時間、コントロール条件では平均3.37時間という結果になりました。他人のやり方をそのままパクってしまうコピー・ペースト法は、とても効果的であることがわかりました。

 

というわけで、いつもやる気が出なくて困っている人は、まず自分の知り合いにやる気の出し方を聞いてみましょう。そして「それなら私にもできそう!」という方法を、そっくりコピー・ペーストしてみるのです。

 

知り合いにやる気のある人がいないのなら、アスリートの人がやっているような方法をインターネットで検索し、それを自分でも真似してみるのもいいかもしれませんね。

 

“今すぐ”やる気を出したい人が試すべき「奥の手」が意外すぎる!

まったくやる気はないものの、「どうしても今すぐに何とかしたい!」という切羽詰まった状態に陥ってしまったとしましょう。とにかく今すぐやる気を出さないとどうにもならない状況だとします。こんなときには悠長なやり方をしていたらとても間に合いませんので、禁断の奥の手を使いましょう。その方法とは、自分の大好きな甘いお菓子、たとえばチョコレートやキャラメルを口に放り込むという方法です。

 

どうしてこれが「禁断」なのかというと、やる気を出すために頻繁にこの方法に頼っていると太ってしまう可能性があるからです。「なんだ、体重が増えるくらいなら」と思うのなら、別に奥の手にしなくともかまいませんが。

 

スロバキアにあるトルナヴァ大学のピーター・グロペルは、オンラインで募集した9351名(男性5938名、女性3413名)を対象にした調査で、エネルギー不足の人ほど、物事に取りかかるのが遅く、先延ばしする傾向があることを突き止めました。

 

燃料の切れた機械はまったく動かなくなりますが、人間も同じ。エネルギーが切れたら、やる気も出ませんし、身体も動かなくなるのは当然ですよね。では、人間にとってのエネルギーとは何なのでしょう。

 

オハイオ州立大学のブラッド・ブッシュマンによりますと、それはグルコース(ブドウ糖)。特に、頭を使って仕事をしている人には有効です。私たちの脳にとっては、グルコースが唯一かつ主要なエネルギー源なのです。

 

グルコースが足りなくなると、集中力や判断力も低下しますし、脳が疲労を感じるためにやる気も出ません。ですので、甘いお菓子を口に入れて、エネルギー補給をするのが一番効果的なのです。

 

いつでもバッグの中にはお守り代わりに携帯できるお菓子を入れておきましょう。どうにもやる気が出ないときには、そのお菓子を口に放り込めばやる気も復活しますので、念のために携帯するようにしておくと万全です。

 

つづき>>>「やる気が出なくて今日もお片付けできなかった」…ダラダラ寝てしまう私たちが「これを知っておくだけでキビキビできる」たった一つのコツ

(出典)

Bushman, B. J., DeWall, C. N., Pond, R. S. Jr., & Hanus, M. D.  2014  Low glucose relates to greater aggression in married couples.  Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America ,111, 6254-6257.

Gröpel, P. & Steel, P.  2008  A mega-trial investigation of goal setting, interest enhancement, and energy on procrastination.  Personality and Individual Differences ,45, 406-411.

Mehr, K. S., Geiser, A. E., Milkman, K. L., & Duckworth, A. L.  2020  Copy-paste prompts: A nudge to promote goal achievement.  Journal of the Association for Consumer Research, 5. Doi.org/10.1086/708880.

Rook, J. W. & Zijlstra, F. R. H.  2006  The contribution of various types of activities to recovery.  European Journal of Work and Organizational Psychology ,15, 218-240.

 

お話/内藤誼人先生

慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役。社会心理学の知見をベースに、ビジネスシーンを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。動物の飼育が趣味で、最近は人間よりも動物に好かれており、自然を愛するナチュラリストでもある。著書に、『すごい! モテ方』『すごい! ホメ方』『もっとすごい! ホメ方』(以上、廣済堂出版)、『ビビらない技法』『「人たらし」のブラック心理術』(以上、大和書房)、『裏社会の危険な心理交渉術』(総合法令出版)など多数。その数は200冊を超える。

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