元彼のモラハラでうつ病になって…絶対許せない!損害賠償請求は可能?

2018.11.25 LOVE

付き合った相手が「実はとんでもない奴だった」ということはよくありますよね。20代女性のAさんもその1人。Aさんの彼氏は嫉妬深く、何かにつけて干渉してくるモラハラ男でした。

Aさんが撮影してSNSに投稿した写真が「変」と感じれば「消せ」と迫る、Aさんの服が気に入らなければ叱りつける…。Aさんは執拗な干渉に耐えきれず、遂に別れることになったのですが、鬱状態になってしまいました。

人生を滅茶苦茶にされたと感じているAさんは、元彼に損害賠償を請求したいと考えています。医師から診断書を貰い、後は訴えるだけなのですが、主張が認められるかどうか不安に感じているそうです。

実際のところどうなのでしょうか? 秋葉原よすが法律事務所の近藤美香弁護士に見解をお伺いしました。

 

Q.モラハラ元彼のせいで鬱に… 損害賠償を要求することはできる?

 

A.認められない可能性が高い

「損害賠償請求が認められるためには、民法709条の定める要件に該当することが必要です。具体的には、

  1. 権利ないし法律上保護される利益を侵害するような加害行為があった
  2. 相手に故意・過失があった
  3. 損害が発生した
  4. 侵害行為と損害との間に因果関係があった

の4点です。

ご質問のケースでまず問題となるのは、『①権利ないし法律上保護される利益を侵害する加害行為があった』に当てはまるかどうかでしょう。

つまり、『元彼の言動が、他人を鬱病にさせることがある程度確実なほど悪質なものだったかどうか』という点です。

元彼の言動が、写真を消すことを要求したり、衣服などのセンスについて小言を言う程度でしたら、残念ながら、権利ないし法律上保護される利益を侵害する加害行為があったとまでは言えないでしょう。

全ての人には、憲法で「表現の自由」が保障されていますので、元彼にも、他人の権利を侵害しない範囲で好きな言葉を発する権利があるのです。

今回の元彼の発言は、道徳的な問題はあるのかもしれませんが、法的に人の権利などを侵害するものとまでは言えないでしょう。元彼の言動が気に入らなかったのであれば、即別れを告げて今後会わないようにする、という選択肢もあったはずです。

そのような選択をせず、敢えて交際を続けた結果として鬱病になってしまったとしても、元彼に対する損害賠償請求は認められないと考えられます」

Aさんが不憫に感じられるかもしれませんが、元彼にも権利があります。損害賠償は、認められません。

 

*取材協力弁護士:  近藤美香(秋葉原よすが法律事務所。家事事件を専門的に取り扱い、500件以上の家事事件を取り扱った経験を持つ。JADP認定の夫婦カウンセラーの資格を保持している。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

 

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