「この先、一生ないんだな」レスになってから3年。43歳の夫が悟った「寂しいまま普通に暮らす」という確信

2026.09.24 LOVE

このまま年を取るのだと覚悟しています

取材時点で、夫婦の性生活は3年近く途絶えています。受診したことも診断も、妻には話していません。今後も話すつもりはないといいます。妻はいまも、原因は自分の身体にあると考えている節があります。筋トレは続いているそうです。

「言えないですよ。『それは関係ない』と言うには、じゃあ何が原因なのかを説明しないといけないので。処方された薬は、もう手元にありません。妻との関係について結論を出したあと、全て処分しました。持っていても使わないので。捨てるとき、これといった感慨はなかったです」

 

では、外に相手を求めようと思ったことはないのか。ケンサクさんは、はっきり否定しました。ただ、それで気持ちが収まっているわけではないといいます。

「ないです。そもそも相手がいたところで、同じことになるので。それに、そこまでして確かめたいことがもうないんです。子どももいるし、生活も壊したくない。寂しくないかと言われたら、寂しいです。誰かに触られることが、この先、一生ないんだなと思うと。でも、だからどうするという話でもない。寂しいまま、普通に暮らしてます。今後、特にどうするつもりもないです。妻は妻で、もう期待していないと思うし、僕も言わない。このまま年を取るのだと思います」

 

その状態でいいのでしょうか、と重ねて聞くと、少し黙ってからこう答えました。

「よくはないです。ただ、よくない状態が3年続くと、それが普通になるんですよ。最初の1年はずっと考えていました。今は、月に1回思い出すかどうかです。あれ以来、保育園のお迎えの時間をずらしたまま、例のママ友とはほとんど話していません。あの人が悪いわけじゃないんですけど、顔を見ると、あの日のことを思い出すので」

 

最後に、原因は何だったと思うかを、もう一度聞きました。取材の冒頭では「寝てなかったのと、太ったのが大きいと思う」と答えていた質問です。

「……それも、後から思いついた理由かもしれないです。医者にもいろいろ言われましたけど、じゃあ痩せて寝たら戻るのかというと、たぶんそうじゃない気もする。分からないです、本当に。一生ないと決めたのだって、本当に決めたのか、決めたことにして楽になりたかっただけなのか、自分でも分からない。でも、そう思った日のことだけは、はっきり覚えています」

 

 

3人に1人の問題を、ずっと抱えるということ

40代のEDは、加齢や生活習慣、血管や神経の状態、精神的な要因が重なって起きることが多いとされています。裏を返せば、多くは治療や生活改善の対象になるということです。ケンサクさんが医師から示されたのも「治らない」ではなく「原因が複数ある」という説明でした。

それでも彼は、受診を1回でやめ、薬を捨て、妻に何も言わないまま3年を過ごしました。医学的な問題としてではなく、口に出せない恥として抱え込んだからです。

 

産後の夫婦関係をめぐる情報は、そのほとんどが妻の身体と心をどう気遣うかという形で発信されています。夫自身の身体に何が起きうるのか、起きたときにどうすればいいのか。そこに答える情報は、ほとんど流通していません。

この取材に、解決の場面は出てきません。妻は原因を自分の身体だと思い、夫は診断を伏せたまま、この状態を問題として扱うことをやめている。同じ家に暮らしながら、二人が見ている状況はまったく違っているのです。

同じ家に暮らす二人が、別々の理由で自分を責めている。それが、いまの日本のレスのひとつの形なのかもしれません。

 

 

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