「娘が合格したら、離婚を切り出すつもり」レス10年の46歳夫。受験を前に、誰にも言えずに決めた「期限」

2026.11.06 LOVE

夫婦間の断絶に苦しむ夫の多くは、離婚を口にしないまま暮らし続けています。子どもがいて、住宅ローンがあり、家計を自分が支えている。そうした条件がそろうと、夫婦の関係性の問題は「家族を壊してまで言うことなのか」という問いの前で、行き場を失います。

 

日本家族計画協会が実施した『ジャパン・セックスサーベイ2020』によると、婚姻関係にあるカップルでひと月以上触れ合っていない割合は51.9%にのぼります。夫婦の半数以上が、そうした関係にあるのです。

こうした夫婦関係の不和は、離婚の理由にもなり得ます。家庭裁判所の司法統計で離婚調停などの申し立ての動機を見ると、夫からの申し立てでは約1割が「夫婦関係の不和」を挙げており、その割合は妻からの申し立てを上回ります。

 

マサノリさん(仮名・46歳)は、娘さんの中学受験が終わったら、奥さまに離婚を切り出すつもりでいました。奥さまはそのことを知りません。受験本番まで3か月となったいま、その胸の内を聞きました。

【無子社会を考える #37】

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※写真はイメージです

 

 

妊活をやめた月から、一度もありません

マサノリさんは都内のメーカーに勤める会社員です。奥さまは2歳下で、近所のクリニックで週3日、受付のパートをしています。小学6年生の娘さんが1人。8年前に35年ローンで購入したマンションは、マサノリさんの名義で、返済があと27年残っています。

 

夫婦の関係が途絶えたのは10年前のこと。2人目の妊活をやめて以来、一度もないといいます。「娘が1歳を過ぎたころ、年齢のこともあって、早めに2人目をと妊活を始めたんです。排卵日に合わせて、という生活を1年くらい続けました。でも、うまくいかなかった。妻が『もうやめよう』と言って、やめました。その月から、一度もありません」

 

妊活のあいだ、夫婦の営みは「予定」になっていたとマサノリさんは振り返ります。「アプリが日にちを教えてくれて、その日にする。正直、僕も途中から義務みたいに感じていました。だから、やめようと言われたときは少しほっとしたんです。まさかそのまま10年続くとは思っていませんでした」

 

 

誘わなくなったのは、断られたからだけじゃない

妊活をやめてから半年ほどのあいだに、マサノリさんは何度か奥さまを誘いましたが、返ってくるのは「疲れてる」「また今度」という言葉でした。「強く拒まれたわけじゃないんです。でも、3回、4回と続くと、こっちも声をかけられなくなる。娘はまだ小さくて、夜は妻と一緒に寝ていました。僕は夜中に起こさないようにと、別の部屋で寝るようになった。それがそのまま、いまも続いています。誰が決めたわけでもなく、そうなっていった」

 

ただ、マサノリさんは「断られたから諦めた」とだけ話すことには抵抗があると言います。「あの頃、僕は仕事が忙しいのを言い訳に、家のことをほとんど妻に任せていました。妻はパートをして、保育園の送り迎えをして、家事も全部やっていた。そういう相手から誘われて、その気になれるかというと、たぶんなれないですよね。それに気づいたのは、ずっとあとになってからです」

 

なぜ応じてもらえないのか、マサノリさんはそれを奥さまに一度も聞いたことがありません。「聞いたら、自分のだめなところを全部言われる気がしたんです。だから聞かなかった。聞かないまま、勝手に傷ついて、勝手に諦めた。そこは自分でも誠実じゃなかったと思います」

 

いまの夫婦の会話はほとんどが娘さんのことで、マサノリさんは「業務連絡ですよね」と話します。「LINEを見返すと、塾の迎えの時間、模試の申し込み、今日の夕飯いる? そういうのばかりです。でも、それで家はちゃんと回っているんです。回っているから、立ち止まって考えていませんでした」

 

 

10年経っても、妻を女性として見ています

触れ合わない時間が10年続いても、マサノリさんの奥さまへの気持ちが消えたわけではありません。「風呂上がりの妻と廊下ですれ違うと、いまでも意識するんです。髪をタオルで拭きながら歩いている姿とか。40代になって白髪を染めるようになって、体つきも変わりました。でも、それで気持ちが冷めたことは一度もない。むしろ、年を重ねた妻のほうがきれいだと思うことがあります」

 

なぜ、ほかの誰かではなく奥さまなのか。マサノリさんは少し言葉を探してから、こう話しました。「妻は、僕のいちばんだめなところを全部知っている人なんです。仕事で失敗して落ち込んでいた時期も、家のことを放り出していた時期も見てきた。その人に、それでも求められたい。体を重ねるというのは、僕にとっては、父親でも同居人でもなく、夫として受け入れてもらうことなんだと思います」

 

ただ、その気持ちが純粋なものかどうか、本人にも自信はないといいます。「抱きたいのか、触れられなかった10年を取り返したいのか、分からなくなるときがあります。応じてもらえれば、自分は間違っていなかったと思える。そういう気持ちが混じっていないとは言えません。それでも、触れたいと思う相手は、この10年ずっと妻だけでした」

 

 

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