実家のお雑煮、どんなでした?あなたの知らない雑煮の世界

2016.12.07 FOOD

突然ですが、みなさんのご実家ではどのようなお雑煮を食べていましたか? 地方独自どころか、峠を1つ越えたら別の料理なケースもあるのがお雑煮の世界。おせちのようなできあい品の販売も(従来は)なく、また、よそのご家庭でいただく機会もめったにないので、自分の家のお雑煮がどのくらい「普通」かがわかりにくい! では、「よそのお雑煮」はどういう姿なのか、日本の実態に迫る!

お正月のごちそうは日本最後のガラパゴス文化かも

年の瀬が近づくと、書店には「家計簿や付録がたくさんついた主婦誌」が積まれます。弊社も11月末に主婦の友Deluxe 2017新年特大号』を発売しました。この、年に1度の「新年号」に必須なのが、巻頭を盛り上げるおせち料理の記事。編集部の記者は毎年、総出で全国各地のご家庭へとおせち取材にうかがいます。

お正月のごちそうはとっても地域差が大きく、「うちの常識はよその非常識」と心得て、先入観なく取材すべし、というのが先輩の教えです。

たとえば、北海道では元旦ではなく大晦日の年越しを祝うもので、おせちは大晦日から食べ始めるのだそう。

……まさか祝うタイミングまで違うとは!と軽く驚いていると、そもそも「おせち」と呼ばれるあの四角いお重はごく最近になってスーパーや百貨店が広めたもので、北海道では大皿に盛大にお刺身ややきとり、ザンギを盛り合わせた「オードブル」を食べるんだ、という話が追い打ちをかけてきます。えっ、お重ではない?マジですか?(念のため、ご家庭やエリアの違いもあり、全北海道がこうだという話でもありません)

毎年、私たちはこうした文化に感嘆しながら記事を作ります。こんなに小さな国土なのに、すぐ近くの別の地域ではまったく別の料理を作ってるんです。お隣だってたぶん、結構違うお雑煮です。

雑煮はただ作ってみるだけでも楽しい

個人的には、中でもいちばんシンプルなお雑煮にとっても興味があり、今年の年頭には「自分の実家のお雑煮を作って他人にドヤ顔で食べさせる」、ただそれだけの「お雑煮会」を開きました。

お雑煮は普段全く料理をしない一人暮らしの理系男子でも挑みやすいようで、危なっかしい手つきで必死でにんじんを切るほほえましい光景が見られます。東京は思った以上に自分または両親が地方出身の人たちが多いので、数人集まるだけでも「地元のお雑煮」のバリエが出ます。ぜひお試しください。

というわけで、「こんなお雑煮がありました」という一部をご紹介します。

京都の人ならこれでしょう、ザ・白みそ丸もち

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京都府出身・男性(独身)作、白みそ丸もちの京都風。大根、にんじん、みつば、ゆず。肉や魚を入れない精進スタイルで、上にはゆずをのせるのが絶対的にマストだそうでした。

関西以西の人からすると「そもそも白みそではないお雑煮があるの?」という話でしょうが、関東人の私はこのときはじめて食べました。このように「姿自体が違う」のがお雑煮なのです。さて、友人の作り方を見て驚愕したのですが、白みそって小鍋で4杯分程度を作るだけでも猛烈にドカドカと、200~300gくらい入れるんですね! いやいやそれは入れすぎではと止めたところ、「こうして味みながら足してくんやで?」と言われました。

ザ・関東風、人口的に日本で最も多くの人が食べているお雑煮

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千葉県出身・男性(独身)作、角もち、すまし汁の関東風。さといも、にんじん、大根、鶏肉、小松菜、かまぼこ。

神奈川県の実家では、上に青菜の乗った「典型的な関東風」のお雑煮が出ていました。この写真は千葉出身の友人作。お正月に実家の母親(管理栄養士)にわけてもらってきたというお出汁がとっても美味しかったです。関東風のお雑煮の角もちは、トースターなどで焼いてから入れるお家と、そのまま煮るお家、そのときの気分なお家(ウチです)があるようですが、このときは焼かずに煮て食べました。かまぼこが入っていますが、なるとを入れるご家庭も多いと聞いています。

石油ストーブの上でコトコト煮るそうです、南魚沼(新潟)風

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東京都出身・女性(既婚)作、母親実家(南魚沼)の「雑煮の子」。鮭、大根、にんじん、こんにゃく、なると、かんぴょう、焼き豆腐、しいたけをすまし汁で煮込んだもの。

本当にお正月のありかたは土地それぞれだなと思ったのがこの「雑煮の子」。これは新潟県の米どころ南魚沼郡のもの。友人が実家に分けてもらってきました。いちばん色が茶色い部分は鮭ですが、こうして鮭が入っている点が魚介王国たる新潟感高め。

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友人が実家で撮ってきた調理風景。お正月の間はこうしてずっと石油ストーブの上にコトコトと「雑煮の子」がかかっており、おなかがすいた人はここからすくって、そのまま食べたり、ごはんにかけたり、もちにかけたりして食べるんだそう。米どころらしく、もちも水から弱火でゆっくり煮て、ふわふわにしていただくんですって!

 

これを食べていたらレア!変わりお雑煮ベスト3

以上の3つは、メディアで見たり、旅行先でたまたま食べたりと、「触れる」機会が比較的高いお雑煮。特に、関東風は神奈川から栃木群馬までをカバーしますから、おそらく全国でいちばん食べている人数が多いお雑煮でしょう。では、逆に「レア雑煮」ってどんなものなんでしょう? 全国のお雑煮を食べ歩いて研究し、ついにはお雑煮で世界進出をもくろむようになったという、株式会社お雑煮やさんの代表・粕谷さんに、「これは驚いた」という3つを教えてもらいます。

マイレア雑煮1位/筑前「朝倉蒸し雑煮」

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「とうとう蒸しちゃう雑煮が出てきたか、とこの雑煮の存在を知った時には狂喜乱舞してしまいました。茶碗蒸しのように卵液の中で蒸されたお餅は柔らかく、幸せな気分になる雑煮です。筑前煮のようなレンコンなどの具材」

 

マイレア雑煮2位/香川「あん餅雑煮」

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「これは私的には出身地の雑煮なので変わり種でも何でもなくごく普通のものなんですが、周囲の方々は一度は食べてみたい!と言われますので2位に。いりこだしの白みそ仕立ての中に甘いあんこ餅が入って、これまた良いバランスなんです。白みそとあんこは合うのですよ」

マイレア雑煮3位/茨城常陸太田市「真っ白雑煮」

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「この雑煮は、お雑煮やさんのお客様から教えていただいた雑煮だったのですが、えぇ?豆腐をすり鉢であたって砂糖を加えるの?とビックリ仰天しました。でも、これが女子受けするに違いない豆腐スイーツのような美味しさなのです」

 

人気の高いお雑煮はコレ!

粕谷さんの「お雑煮やさん」では、お雑煮のお取り寄せ販売も行っています(お取り寄せ情報はこちら)。自分の家以外のお雑煮を食べてみたいという人には、いったいどんなお雑煮が人気なのでしょうか?

女性にいちばん人気のお雑煮・岩手宮古くるみ雑煮

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「煮干しだしにごぼうや大根、人参、凍み豆腐等具だくさんの雑煮なのに、餅はわざわざ取り出して、甘く香ばしいくるみだれにつけて食べるスタイル。岩手県内では、正月の餅にくるみだれをつけて食べるのは定番。一度に二つの味が楽しめるお雑煮です」

男性にいちばん人気のお雑煮・博多ぶり雑煮

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「品良いあごだし(トビウオ)に出世魚のブリがどんと乗った贅沢雑煮。しみじみ美味しく、お魚好きにはたまらない。お酒の後の〆にもぴったりなお雑煮です」

 

なんと無料で!「リアル雑煮会」も開催

これら全国のご当地雑煮全80バリエをまとめた粕谷さんの本、『dancyuムック お雑煮マニアックス』がプレジデント社から発売されました。12月14日(水曜日)18:30~、東京・市ヶ谷駅から徒歩1分のDNPプラザで発売記念イベントも開催されます。

当日は粕谷さんが開発したお雑煮(レトルト)「博多ブリ雑煮」「奈良きなこ雑煮」「会津こづゆ雑煮」から1つ選んで試食できるんだそう。個人的には「奈良きなこ」にとっても期待しています!

このイベント、事前申し込み制でなんと無料。申し込みは下のリンクから、ぜひ今すぐチェックしてみて!

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【無料・試食あり】 hontoプレゼンツ 『dancyuムック お雑煮マニアックス』発売記念イベント についてはこちらから

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お話し・粕谷浩子さん

1972年生まれ。幼少期より、転勤族の家庭に育ち、全国各地のお雑煮を知っており、興味を持って調べ ていた。特に女子栄養大学に入学した頃から本格的に学び始め、半ばお雑煮マニアに。 中小機構で食品加工会社等の支援をしながら、週末には三軒茶屋のバーのアイドルタイ ムにお雑煮を提供し始め、お雑煮のマーケットの可能性を実感する。起業支援に携わっ た後、今度は自分自身が起業をしてみようと会社を立ち上げるに至った。お雑煮やさん http://company.zouni.jp/

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