近視ですと言い張る私に医師は…「遠近両用コンタクト」はどうだった?|100人の老眼#4
40歳くらいを境に、周囲から急激に「困る」と声が上がりはじめること。
典型が白髪と老眼ではないでしょうか。
最近なんだか目が見えにくいけど。認めたくないけれど。もしかして、これが老眼?
オトナサローネでは「老眼」にまつわる40代のリアルな声に向き合います。
今回はエッセイストの近藤ともさんのお話です。
【100人の老眼#4】
もう「老眼」のことを笑えない
目がよく見えなくなったのはいつのことだっただろうか。
30代の後半くらいから、「もう老眼だよ」という友人もちらほらいたが、「まさかそんなことはないでしょ」と思っていたのだ。
思えば「老眼」って名前がよくない。ぜったい認めたくない意思を持ってしまって対処が遅れる。
最近はやりの「スマホ老眼」だってもっと言い方を変えればよいと思うのだ。
まあ、「スマホ老眼」にかかるような若者は「老眼」もまたキャッチ―な言葉として、楽しめるのかもしれない。
コンビニで目を細めてカロリー表示を確かめていたら「明らかに老眼の人だよ」と言われたのがまだ一昨年くらいだ。
気がついたら読みたいものを遠くに置いていた
そこからは転がるように目が悪くなった。
目が悪いのだ。老眼じゃないのだ。近視が進んだのだ。
そう思ってコンタクトレンズを新しくしに出かけた。
バイト眼科医のようなお兄さんに「遠くは見えますか?」「近くは見えますか?」と矢継ぎ早に聞かれ、
「はあ」「見えるような」「見えないような」……そんなサンプル文字を掲げられても、特に読みたくないしなあ、気分がのらないから意識が散漫になる。
すると今度はメニュー表のようなものを手元に持ってこられて、「見えますか?」と問われる。
「このくらい見えたらいいんじゃないですか?」とほとんど誘導されている。
手元近くが見えるかどうかなんて、考えたことなかったの!
初の「遠近両用コンタクト」に困惑
困惑しているうちに、「クーポンでお安くなりますし」と買うことになった「遠近両用コンタクト」。
お会計は……驚きの金額!
1枚の値段じゃないんだ!
「遠視用」1枚分と「近視用」1枚分なのね!
ワンデーなのも割高なのかしら?
違うメーカーさんのはもっとお安いのかなあ。迷う暇もなく渡され、なんとなく「遠近両用」にショックを受けたけど、老化にはあらがえない。
きっとあちこちよく見えるだろうなあ。
そんな期待もつかの間、あのこれ、遠くも見えないし近くもそんなに見えないし、なんなの?
しかも微妙にベースカーブがあってなくて痛いんですけど……。
お会計でビビって1月分しか買わなくて正解だった~!
その後は普通のコンタクトに戻した。
やはりこちらのほうが安心。小さい文字、読みづらいけど。
左目は純粋に近視がひどくなって、眼精疲労がすごいけど。
それでもまだ普通のコンタクトでいいと思った。
サングラスの「カチューシャ遣い」みたいでしょ
若いころ、サングラスをカチューシャのように頭の上に掲げている人を見て、
わーイケイケだなあなんて思っていたけれど、
いまは自宅で近視用メガネを頭の上に掲げている毎日である。
いまのところ、鼻先にずらす方式はまだ採用していない。
そして、真の老眼鏡をお試ししても、まだちょっとぼんやりする。
まだ猶予はある。
しかし確実に、わたしの眼はむしばまれている。
眼鏡をかけたとき、自分の部屋の散らかりように愕然とする。
若い人にしか聞こえないモスキート音があるように、
きっと老人にしかわからないワームの存在があり、
その姿を見つけるために、我々は老眼鏡を装着する日を迎えるのである(まるで着裳だ)。
【編集部より】
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