年収500万より300万のほうが「貯めやすい」?手取り額からわかる意外な理由って

年収が高ければ貯金できるのは当たり前だと思いますか?

年間500回以上マネー相談で相談を受けていると、実は年収500万円の人より300万の人のほうが貯めやすい傾向にあると気づきます。

その理由はなぜか? 「手取り額」とライフスタイルにスポットを当てて考えてみます。

■年収が少なくても貯められる!?

給料が少ないから、貯金ができないのは仕方ないと諦めていませんか?

 

確かに、家賃・光熱費などの固定費は収入にかかわらずある程度一定です。なので、収入が多ければ使わないお金も多くなり、自然と貯まっていくイメージです。

 

しかし300万円と500万円で年収が1.6倍であるにも関わらず、貯蓄額は年収300万円のほうが多いケースも珍しくありません。

 

■年収500万円の手取りは?

年収500万円というと40代女性でも高収入。薬剤師や医療関係、大手保険会社など働く女性の1割に満たないでしょう。多くの女性が「生活をエンジョイして貯金も1000万以上普通にあるでしょ?」と妄想しそうな年収です。

 

ところが、年収は実は手取り額と異なります。

 

年収とは、年金保険料や健康保険料、所得税・住民税などがひかれる前のいわゆる「額面」の数字の1年分のことをいいます。

 

給与明細の振込金額しか見ない人の場合、その「額面」給与やボーナスからいかに大きな金額が引かれているか気が付かないかもしれませんが、「額面」から引かれる金額はおおよそ2割。手取りはざっくり400万円となるのです。

 

毎月25万円、ボーナス50万円×2回あると年間の手取りが400万円となります。

 

■年収500万円の生活・貯金傾向は?

シングルの場合、月の手取りが25万円だと暮らしに余裕があるので、いい部屋に住みたくなります。

 

首都圏以外でも、7万円ほどの家賃を払い、駅近、なぜか無駄に広い2LDKで一人暮らしということも。この場合、働いている自分のご褒美にと買ったブランド品や、いつかやろうと用意したゴルフバッグなど、普段あまり使わないもので1部屋溢れてしまっているのが定石です。

 

仕事がキツイので食事はほぼ外食で自宅キッチンは使わないまま。飲み会の誘いも断らず二次会もたまには行っている。ボーナスがでると海外旅行に行き、高級店でディナーも。貯金?忙しくてする暇もないわ…。

 

ちょっと大げさな例ではありますが、手取りに余裕があるため金銭管理をする意識が薄く「宵越しのお金はもたない」男気溢れるタイプが多いようです。

 

安定した職につき、将来への不安感がさほど大きくないともいえますね。もちろん着実に貯金している人も沢山いますが、そうでない人も結構多いのです。

 

■いっぽう、年収300万円の手取りは?

年収300万円は額面給与20万円でボーナスは年間3か月分30万円×2回=60万円、ボーナスなしで毎月25万円の額面給与というイメージです。若い女性や派遣社員であればこれくらいの年収になる人も多いでしょう。

 

年収500万円のケースと同様に「額面」かれ引かれる金額はおおよそ2割なので手取りはざっくり240万円となります。毎月16万円、ボーナ24万円×2回あると年間の手取りが240万円となります。

 

■年収300万円の生活・貯金傾向は?

たとえシングル女性でも手取り16万円で生活するのはけっこう大変。支出をしっかりコントロールする必要があります。

 

実家で暮らしていれば家賃として2~3万円納める程度でしょうが、ひとり暮らしとなると家賃と水道光熱費・食費もすべて自分もち。生活する固定費だけでも8~10万円かかってしまいます。そこから趣味や保険料などを支払うとほとんど貯金はできないような気がします。

 

しかし、年収300万円女子はやはり将来が不安です。毎月2万円、プラスしてボーナスはほぼ全額を貯金するなど、ルールを決めて着々と貯金額を増やしている人が多いようです。

 

年収が低いと老後もらえる厚生年金も10万円前後と低いため、貯めるお金もiDeCoやつみたてNISAを使うなど税金面や運用面で知識を深めて採用している人も。

 

年収が多めでないからこそ日々の支出を見直し貯金の必要性を感じている傾向にあるため、年収500万円より年収300万円のほうが貯めやすいと言えるのです。

 

■まとめ

振り返って考えてみてください。毎日使うお金ですが、学校で教えてもらった記憶はありますか?

 

おこづかい帳のつけ方すら習った記憶がありませんので、もっと煩雑な家計簿をつけろと言われても断念しがちになるのです。

 

お金のやりくりについてもしかり。いくらの収入があるからどれくらいの貯金をすればいいか、支出をどう抑えてやりくりすればいいか、実際に社会にでて自分で考える必要があるので難しいのも当然です。

 

年収が少ないから貯金を諦めずにやりくりする、また年収がある程度あるから何とかなると貯金ややりくりから現実逃避せず計画的に貯める習慣をつけていきましょう。

 

稲村優貴子
ファイナンシャルプランナー(CFP🄬)、心理カウンセラー、ジュニア野菜ソムリエ
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆活動を行っている。日経ウーマン、北海道新聞などへの記事提供、テレビへの取材協力など各メディアでも活躍中。著書『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』河出書房新社。趣味は、旅行・ホットヨガ・食べ歩き・お得情報収集。FP Cafe登録パートナー。

スポンサーリンク