給付金は「もらったあとのコレ」に注意!知っておきたいお得な3つの制度【税理士監修】

日本国内に住民登録をしている全ての人が一律10万円受給できる『特別定額給付金』の申請が始まりました。

 

もしあなたが「委託で働く立場」ならば『新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)』を申請できるほか、地元自治体の給付や、現在政府が検討中の休業給付など、さまざまな給付があります。

 

また、あなたが個人事業主として仕事をしている、家族でお店を経営している、昇進して会社役員になっているなど「経営」する立場ならば、受けられる「給付金」や「貸付金」がより幅広く存在します。自分がどれに該当するのか探し出すのも一苦労との声も。

 

「経営側の人たちの多くは、すでに『持続化給付金』を申請していると思います。中小法人は200万円、個人事業者は100万円を、昨年1年間の売上からの減少分を上限として給付されるもので、該当するなら確実に利用していきたいものです。

 

が、この制度には盲点があります。上限100~200万の給付金は『所得』になるので、税金が上がってしまうことに気づいてない人が結構いるんです。

 

たとえば、家族経営のお店で、もともと利益を大きく出していなかったケースなどは該当しやすいでしょう。給付金が入ってトントンならいいのですが、決算で黒字化しそうなら要注意です」

 

若林丈師税理士事務所の若林丈師先生(税理士・特定社会保険労務士)に「持続化給付と同時に打つべき」主要な3つの回避策を聞きました。

 

■経営セーフティ共済→イチオシ!一気に前納して節税

経営セーフティ共済 https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/index.html

 

もともとの制度がとても優れているので、知らなかった方もぜひ利用してください。経営セーフティ共済というのは愛称で、『中小企業倒産防止共済制度』という倒産防止の仕組みです。

 

簡単に言うと、取引先が倒産してお金を払ってもらえずこちらも連鎖倒産してしまうのを防ぐ共済です。会社でも個人事業主でも加入することができます。

 

加入者は、毎月5,000円から20万円までを、数年かけて最大で800万円まで積み立てることができます。

 

仮に取引先が倒産して売掛金が回収できなくなった場合、これまで積み立てていた金額の10倍(仮に上限の800万円まで積み立てていたら、8,000万円)までを無利息・無担保・保証人不要でお金を借りることができます。

 

この方法でお金を借りると、借りた金額の10分の1(仮に5,000万円を借り入れたら、500万円)の積み立てが没収されてしまいます。が、こんな緊急時に無利息・無担保・保証人不要で確実にお金を借りることができる。これがどれだけありがたい制度であるかは、経営者ならわかると思います。

 

この経営セーフティ共済は、節税目的で加入する事業者が多数です。ポイントは以下の2つ。

 

■ポイント1

毎月の掛金、さらには1年以内の前納の掛金は、支払った時に全額損金にすることができます。しかも40ヶ月以上加入していれば、解約時にこれまでの掛金が「全額」返ってくるのです。

これ、積立預金と似ていませんか? ほぼ同じものなのに、こちらは積み立てた金額を全額損金にすることができますので、大変な節税効果があります。

 

40ヶ月未満で解約すると積み立ての一部または全部が没収されますが、急に資金が必要になった場合でも、これまでの積み立て額の一部を契約を継続したまま借りることができます。

 

■ポイント2

払った時に経費にした以上、解約してお金が返ってきたときには「雑収入」等として収入に計上しなければなりません。とはいえ自分で経営をしていると、業績の不振や退職金の支払い、店舗リフォームや設備投資など、大きな額が出ていくタイミングが予測できます。そういうときに合わせて解約すれば、この影響をカバーすることができます。

 

持続化給付金のおかげで黒字決算で終えられそうな場合には、決算日までに経営セーフティ共済に加入、掛金は1年分前納とすることで、連鎖倒産に備えつつ節税も検討してみてはいかがでしょうか。

 

■中退共→退職金を積み立てて節税

中小企業退職金共済 http://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/index.html

 

雇用した人材にはいつか退職金を払うことになります。例えば10年後に120万円を支払うとしたら、会社からお金が出ていくのも、経費として計上されるのも10年後に120万円ですよね。

 

この『中退共』は、事業者側が退職金を積み立てておくものです。一人あたり毎月5,000円(パートタイマー等は2,000円)から最大3万円まで任意に積み立てておくことができます。

 

仮に毎月1万円を積み立てる場合、最初の9年間は毎年12万円ずつを損金にすることができます。10年後も12万円しか損金にすることができないため、10年間通して見ればいってこいになりますが、

 

規模の小さい事業では最初に税が9年間安くなるのは資金繰り上とても有利です。

 

■小規模企業共済制度→経営者の退職金積立制度

小規模企業共済制度 https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/index.html

 

これは規模の小さい会社の役員や、個人事業主向けの、自分の退職金の積立制度です。医療費控除や生命保険料控除と同様に、小規模事業共済等掛金控除というのが効き、要するに払った分が全額所得控除になります。

 

例えばこの制度で月々3万円を積み立てると、年36万円。これがまるごと所得から控除されます。

 

ピンとこないかもしれませんが、日本の所得税率は一番低いところでも5%、別途住民税が10%かかりますので、最低でも15%にはなります(復興税等は無視します)。最低でも36万円の15%、つまり税額5万4000円分が戻ってくる。

 

税率最低の方が3万円でこれですので、税率最高の方が上限の7万円を掛けると 7万円×12ヶ月×(所得税45%+住民税10%)…84万円に対して46万2000円もの節税となります。

 

しかも、解約の際は退職金扱いです。日本の税制では退職金は非常に有利な扱いで、働いてた期間の1年につき40万円(21年目以降は1年につき70万円)までは税金がかからず、これを超える部分も特殊な計算方法で税金が安くなるようになっています。上限いっぱいまで積みましょう。

 

■情報はどう得ればいいのか?

「税制はその事業のスタイルによって選択できることが非常に多いのですが、税理士など専門家に相談する場合も、確定申告期の無料相談会場などではどうしても提出書類に間違いがないかのチェックに忙殺されてしまい、アドバイスをする余裕がありません。1月、2月の間は比較的余裕があるので、個人事業主の方は繁忙期を避けて相談するのがいいでしょう。

会社組織にしている場合は同じような業態の友人に紹介してもらい、相性のいい税理士を探して顧問契約を結んでおくと、新型コロナのような大事件が起きたときも積極的な提案をしてもらいやすくなるのではないでしょうか」(若林先生)

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク