「ないん」ではない!「捺印」、正しく読めていますか?
仕事でよく用いられている言葉の中で、「意味はなんとなく分かるけれど、正しい読み方かどうかは自信がない」なんて言葉に出会ったことはありませんか?
本記事では、意外と読めない漢字のクイズを出題します。
本記事でご紹介するのは「捺印」。意味はなんとなく分かるけれど、読み方に自信がない人も少なくないのでは?
「捺印」の読み方は?
「捺印」は
印判をおすこと。また、おした印影。押印。
出典元:小学館 デジタル大辞泉
を意味します。
意味はなんとなく分かっていても、「捺印」の「捺」をこの言葉以外にあまり見かけないことから、読み方に自信がない人もいるのではないでしょうか。
まずは正解を見てみましょう。
正解は…
正解は「なついん」です。
「捺」の読みは
音読み ナツ・ダツ
訓読み お(す)出典元:捺|漢字一字|漢字ペディア
で、この漢字そのもので“おす。おさえつける。”の意味があります。
なお「捺印」の意味に“押印”とありますが、「押印」の読み方はわかりますか?「押す」でおなじみの「押」ですが、「おしいん」ではありませんよ。「押印」は「おういん」と読みます。
「捺印」と「押印」の違い
「捺印」と「押印」には違いがあるのでしょうか。
「押印」の意味を調べてみると
印を押すこと。捺印(なついん)。
出典元:小学館 デジタル大辞泉
とあり、「捺印」「押印」ともに意味には違いがありません。“判を押すこと”を表すのに「押捺(おうなつ)」という言葉もあります。しかも辞書で「押捺」を調べると、“捺印。押印。”と出てくることもあります。このことから「捺印」も「押印」も「押捺」も、同じ意味をもつことがわかります。
また辞書によると「押印」は、昭和21年(1946)、日常使用する漢字の範囲を示すものとして「当用漢字表」が制定されたとき、「捺」が当用漢字ではなかったことから使われるようになった、とあります。「押印」は、「捺」が当用漢字表に入らなかったことから登場した言葉だったんですね。
とはいえ、「捺印」が「署名捺印」、「押印」が「記名押印」の略語として扱われている場合には、以下のように使い分けることができます。
- 捺印 自筆による記名・サイン(自署)に印鑑を押すこと(署名は自署を指す)
- 押印 自署「以外」で記された名に印鑑を押すこと(記名は自署以外で記された名前を指す。一般的に、パソコンやゴム印等で予め印字されているもののこと)
そうは言っても、「捺印」も「押印」も意味は「ハンコを押すこと」。使い分けにはあまり神経質になりすぎず、「そんな意味があったのね」「そういう風に使い分けられるのね」と、奥深い日本語の知識として楽しんでいただけると幸いです。
参考文献
- 印鑑・はんこの疑問、質問、豆知識 – 知っておいて損はない!【はんこ豆辞典】
- 「押印」と「捺印」の違いは? – 明確な使い分け【ビジネス用語】|マイナビニュース
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