突然の「親の葬儀」。私の家族に起きたこと、かかった費用
考えたくないけれど、いつかやって来る親との別れ。残される家族としては、葬儀の費用のことも気になります。そこで、葬儀とその費用について調べてみました。
葬儀は突然やってくる
親との別れはある日突然やってきます。ちなみに私も最近、父を送りました。89歳の父は肺炎で入院し、3週間で逝去しました。亡くなる3日前には、「持ち直してきましたよ」と医師から説明があったばかりだったのですが・・・。
高齢の親がどうなるか、医師にも予測がつかないことがしばしば。親がある程度の年齢になったら、「その日」のことを考え始めたほうがいいかもしれません。実は、私は「その日」のことを事前に考えていたため、いざという時にあわてないですんだのです。
霊安室にいられるのは2時間前後
病院は生きている人のためのもの。亡くなった人は、いつまでも院内にいることができません。病院によって異なると思いますが、一般的には霊安室にいられるのは2時間前後だと言われています。たとえ深夜に親が亡くなったとしても、家族は霊柩車を手配するよう病院から求められます。
以下が我が家の実例。医師に「ご臨終です」と宣告されたのちロビーで待機をするように促され、その5分後には看護婦さんから「葬儀社さんはお決まりですか?」。実は、父の容態が安定していた2日間に「すぐには必要なさそうだけれど、万一に備えて」と複数の葬儀社の見積もりをとっていたのです。病院から連絡があったとき、その中でも信頼できそうな葬儀社の担当者の名刺を持っていたため、すぐに電話することができました。あの2日間に何もしないでいたら・・・。私は一人っ子で高齢の母は要介護4、その夜夫は仕事で不在。たった一人で病院に駆け付けざるをえなかった私は、なすすべがなかったと思います。
<我が家の臨終当日の流れ>
危篤の連絡(20時半)
↓
私一人で病院に到着。父はすでに亡くなっていました(22時15分)
↓
医師による臨終の宣告(22時20分)
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私が霊柩車手配(22時25分)
↓
霊柩車到着(23時15分)
生前に葬儀社を決めておきたい3つの理由
葬儀社を事前に決めておきたい理由は以下の通り。
①葬儀は突然やってくる
②逝去したら、即、霊柩車の手配が必要
③葬儀の見積書は、わかりづらい
肉親を喪い気が動転している時に、病院のロビーでスマホで検索しながら葬儀社を一から探すのは至難の業。葬儀社が決まっていなければ病院が紹介してくれますが、いきなりその葬儀社に決めてしまっていいの? 費用は? 葬儀の内容は? 遺体の安置場所はどうする?
病院が紹介してくれる葬儀社に、葬儀はまかせずに病院からご遺体の搬送だけをお願いすることも可能です。その場合は葬儀をお願いする葬祭業者と、病院からの搬送をお願いした業者双方への支払いが発生します。遺体の安置場所として、搬送をお願いした業者の安置所を利用した場合、途中で安置所を変える必要が出てくるかもしれません(再搬送代も発生)。
できるだけ後悔が残らないよう、親を送りたい。そう考えるなら、親が元気な内から少しずつ葬儀について考え始め、リサーチも開始したほうがいいでしょう。私の場合も、まさか2日後に父が亡くなるとは思ってもみませんでしたので、目を通していない見積書も多数ありました。
葬儀費用の全国平均は190万円
日本消費者協会のアンケート調査結果によると、葬儀費用の全国平均額は約190万円。その内訳はというと…
葬儀費用
葬儀一式費用 122.2万円
寺院への費用(読経・戒名など) 44 .6万円
参列者への飲食費用 33.9万円
合計 188.9万円
<日本消費者協会「第10回『葬儀についてのアンケート調査』報告書」/2014年>
これはあくまで平均値。お通夜を行わない一日葬、葬儀を行わない直葬ならもっと値段が下がりますし、反対にお金をかけようと思えばいくらでも高額になります。
ちなみに我が家の葬儀費用の合計額は77万円。全国平均の半分以下でした。
葬儀一式費用 43万円
寺院への費用 30万円
お清めの飲食費用 4万円
合計 77万円
全国平均よりも、父の葬儀費用が少なかった理由は
- 通夜と葬儀を同じ日に続けて行う一日葬だった
- 比較的リーズナブルに葬儀を行える市民葬を選択した
- 利用できた火葬場が80歳以上は使用料が発生しなかった
- 参列者の人数が13名と少人数だった(少人数用の会場を使用でき、飲食代や返礼品の金額が少なくてすんだ)
からです。
親の人間関係や土地柄などもあるので一概には言えないと思いますが、高齢の親の葬儀は規模が小さめ。全国平均ほどはお金が発生しない気がします。
葬儀社とは直接会って相談を
霊柩車、ドライアイス代、棺代、安置代、遺体に着せる装束代、ホール代、飲食費、お花、返礼品、お寺へのお布施…。葬儀にはさまざまな費用がかかります。葬儀社によってプランの内容もさまざま。 葬儀プランもA社ではプランに含まれているものが、B社ではオプション扱いになっていることも。霊柩車も、どんな風に利用できるのか(病院→安置所→葬儀会場→火葬場の3回OKとか、など)、距離による追加料金の有無など、葬儀社によって内容が異なります。
メールや電話だけではわかりづらいので、数社の担当者と会い「これ以外に発生する費用はないか」「あるとしたら、何か」など、詳しく説明をしてもらうことをおすすめします。
我が家の場合も、ネットで検索した業者や市の「市民葬対応業者」のリストに載っていた業者など、何社もの葬儀社にコンタクト。そのうち、数社とは実際に会って話を聞きました。そうすることで、どんな葬儀を行いたいかが自分の考えもまとまりました。そうそう、市のリストに載っていた業者の中には「費用の目安?そんなもん、そちらさんがいくら払えるかですよ!」と電話口で怒鳴りだすわけのわからん業者も。電話で話したり、実際に会うことで、その葬儀社の質も判断できると思います。
地域で費用に差がでることも
私の父は、70代後半までA市で暮らしてきました。ところが、認知症を発症したため当時のケアマネの手配でB市のグループホームへ入居。息を引き取ったのもB市内の病院でした。
父は住民票こそB市に移していましたが、A市内には家も菩提寺もあること、母がA市内の老人ホームに入居していることなどから、当然、A市内で葬儀を執り行うつもりでいました。
ところがです。見積もりを取った葬儀社のうち、数社が「B市で葬儀を行うことをおすすめします」。理由は、B市は80歳以上の場合、火葬代が0円! 対するA市は約6万円の費用が発生します。また、葬儀を行うホールも、B市内には家族葬対応の小さな部屋(使用料安め)があるのに対し、A市のホールには大き目の部屋(使用料高め)しかないとのこと。
参列者10数名の葬儀に大きな部屋でのガラーンとした葬儀では、かえって父が気の毒。また、親類の多くがB市のほうがアクセスしやすいこともあり、我が家はB市で父を送ることに決定しました。
兄弟姉妹がいる人こそ、早めに見積もりを
こんな風にサクサク決められたのは、私が「一人トップダウン方式」を取れたから。
- 私が一人っ子である
- 母は要介護4で、私に一任
- 夫は葬儀を出した経験がなく、実子の私の方針を支持
- 親戚への相談が必要ない家風
兄弟姉妹がいる場合や、亡くなった親の配偶者の意向が強い場合などは葬儀の内容を決定するのにより時間がかかるはず。生前契約といって、生前に葬儀の内容も含めて契約する人もいます。そこまでしないまでも、「将来、どんな葬儀で親を送りたいか」「どの葬儀社に頼むか」をざっくりと考えたり、兄弟姉妹と意見をすり合わせておくといいかもしれません。
また、葬儀が終わるや否や葬儀社への支払いが発生。お布施は葬儀当日にお寺に支払わなければなりません。あらかじめ、その分のお金を確保しておくと一層安心です。
親の葬儀の算段をするというと、親に申しわけない気がするかもしれません。でも、最近は葬儀のスタイルもさまざま。通夜を行う・行わない、家族だけの密葬にする、葬儀は行わず直葬にするなどいろいろな選択肢が増えています。悔いを残さずに親を送るためにいざという時の想定をしておくのは、決して親不孝ではないと思います。
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