更年期やセックスレスを「女性だけの悩み事」にしないために

2020.11.15 LOVE

オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。そんな中、日本初の更年期に特化したオンライン相談サービス『TRULY』がスタートしました。

 

中でも注目は女性医師が悩みに応えるオンライン相談サービス。みんなが何に悩んでいるのか、なぜそのサービスを作ったのか、同社CEOの二宮未摩子さん(38)に聞きました。

 

壮絶なつわりが「女性ホルモン」と向き合うきっかけだった

–私は新卒から広告代理店に勤務してきました。現在10歳の息子を妊娠したときはまだ入社3年目。でも、壮絶なつわりに襲われ、3年目といういちばん働かねばならない年齢なのに水すら飲めなくなりました。

 

当時はまだ働くママも少ない時代、私も周囲も「女性ホルモン」の知識がなく、私がどうして辛いのか、どれだけ辛いのか、周囲やパートナーにうまく伝えることができませんでした。

 

これが私が「女性ホルモン」と向き合うようになったきっかけ。もっと知識があればよかったのにという思いが根底にあります。

 

日本は性教育の後進国ですが、私も含めて周囲も、知識と理解が少ない。女性ホルモンの正しい知識を持って更年期を迎える、女性に寄り添うサービスがほしいと思ったのです。

 

フェムテックと呼ばれるこの分野は、若手の女性も開発に関わることが多く、これから進展していく分野です。当事者だから解決したいだけではなく、誰しもが平等に訪れるライフステージに応じた課題を解決していきたいと考えています。

 

女性ホルモンのトラブルを「抱え込んで我慢している」人があまりに多い

実際、更年期世代にインタビューしてみると、産婦人科に行くことに抵抗を示す方がかなりの割合いらっしゃいます。「なんとか毎日耐えて我慢している」という人がとても多いのです。

 

女性の悩みって、他の人に話して共感を得ると緩和する部分が男性と比べて、とてもありますよね。まず、ぐちを吐きだせる場所、安心して話せる場所が誰にでも必要です。

 

また、自分のホルモン値を把握している人は少ないと思います。そこで、ホルモン値をセルフで検査できるキットや、ピルやジェルを使ったホルモン補充療法の手前で整える方法など、病院に行く手前のトラブル解消も重視しています。

 

フタを開けたらセックスレス、コミュニケーション問題が可視化された

『TRULY』の屋台骨は「オンラインメディア」「セルフチェック」「オンライン相談」です。

 

オンラインメディアは、女性ホルモンの変化による更年期、膣ケア、性の悩みといった女性のお悩みや疑問に対し、医師や専門家による信頼性の高い情報を発信しています。専門家の手による正しい情報を届けることにこだわっています。

 

また、「更年期度」「デリケートゾーン・膣トラブル度」「セックスのお悩み度」など、人に言いにくい悩みはセルフチェックが可能。「はい/いいえ」だけでチェックできます。

オンライン相談では、更年期や女性ホルモンの悩みを、女性医師にチャット形式で相談できます。

 

現在、サイト内には更年期や骨ケアなどカテゴリが7つ設けられていますが、実は「膣ケア・膣トレ」「セックスレスの悩み」が非常に反応が高いんです。

 

これまで、たとえば更年期に伴う膣萎縮は女性だけの問題と捉えられてきました。それどころか女性同士でもなかなか悩みを話せず、一人で抱え込みがち。まだまだ情報が足りない分野の代表格です。セックスレスもそうです。なぜだか女性だけが抱え込まされがちな悩みになっています。

 

本人同士が幸福ならばセックスレスもいいのですが、そんなことはない。自分を責めて不安を感じている女性が圧倒的に多いのです。

 

なのに、ネットで出てくる知識は「旦那をその気にさせる方法」など、科学的根拠のない抽象的な煽り。そもそも、女性ばかりが解決させられる、女性に負担をかける内容なんです。

 

これからの時代において必要なのは、具体的で誠実な解決策だと私たちは考えています。そのために必須なのが、自分の置かれている状態を他者に説明するための語彙、基礎知識。

 

たとえば性交痛は、痛みがあることそのものを我慢してパートナーに言えないままでは問題が大きくなるだけです。パートナーだってわざと痛くしているわけではなく、ただ気づいていないだけ。

 

自分の身体の状態をきちんとありのままに表現できること、その上でパートナーシップを築くことが大事なのだと思います。

 

女性だけでなく、誰もが当事者として知っておくべきこと

私自身、つわりの症状や、ホルモンの影響による不調をきちんとパートナーに言語化して伝えられず、喧嘩や別れにまで発展したこともあります。

 

理解してもらえなかった辛さを分解すると「自分が自分のことを知らなかったから、相手にも伝えられなかったんだ」と、今となっては考えています

 

私の気持ちを理解してもらえなかったという悲しさを分解すると、「自分が自分のことを知らなかったから相手に伝えられなかった」のだとも考えられます。

 

自分だけが我慢した結果、うまくいかなくなる関係性もあるでしょう。どちらにせよ、女性自身が自分の身体を理解することで、相手に理解してもらえるようになるチャンスははるかに増えるはずです。

 

ですが、「女性ホルモン」の悩みを聞いて聞いてと大声で迫ると男性は身構えてしまいます(笑)。

 

これまで男性にこの状態を共有できる仕組みがこれまでなかったのです。月経アプリなどもスタンドアローンですよね。でも、わかってね、ではなく、女性にはこういう特徴があると解説すれば、ロジックの部分は必ず男性にも伝わります。

 

社会が全員で問題を共有し、解決していく時代がきた

セックスレスも、更年期も、これから先の時代は女性だけの問題にしたくない。更年期は男性にもあります。性差の壁や思い込み、自分で抱え込んで我慢するのが当たり前になっている現実を変えていきたい。

 

私は女性の社会参加、女性ホルモンの理解、よりよりパートナーシップのために、『TRULY』がコミュニケーションツールになるといいなと思っています。

 

こうした問題を、誰かが自分の切実な悩みとして語るとかなり重たくなりますが、サービスを通して伝えると軽くなるから。

 

『TRULY』のチャット相談は、現在は法人向けで、女性社員に利用していただくものとしてご案内をしていますが、この導入判断をする際に必ず男性は関わります。

 

彼らに悲鳴をあげて伝えるのではなく、一緒に解決していきたい、コミュニケーションしたいんです、とお互いがわかりやすい言葉で伝える姿勢が大切だと思っています。

 

更年期世代も、これからの世代も、当事者だけの問題にせず「関わる人達が一緒に考えていく」女性ホルモンについてのサービスとして、今後も私たちが解決できることを考えていきたいと思っています。

TRULY:https://truly-japan.com/

TRULY Inc.

CEO 二宮 未摩子

2007年に大手広告代理店に入社。営業職として通信キャリア、大手エステティックサロン等を担当。

入社3年目の妊娠時働くことが困難なほどの激しいつわりを経験し女性の心と体は女性ホルモンの影響を強く受けることを痛感。

職場復帰後、社内の開発部門を経て、女性向けの商品開発プロジェクトを発足。

2020年6月、女性の更年期や閉経に寄り添うフェムテックサービス「TRULY」を立ち上げる。10歳男児の母。