【岩井志麻子】もう私は「誰からも必要とされない」のか
私は直接、会ったことはないのだが。なんでも四十代、五十代になった女性で、「私はもう、誰からも必要とされていないのかしら」みたいなことを思う人がいるらしい。
本当に必要とされていない?
もしそんな女性が目の前に来たら──、うん、必要ないねと冷たく突き放すかもしれない。いや実際には、小心者の私はそんなことできない。かなり頬がぴくぴくするかもしれないけど。
なぜかというとそういうことをいう女性は、職場においての立場だとか、人生全般の立ち位置をいっているのではない。だってたいていの四十代、五十代女性は何かしら誰かに必要とされ、あの人は全く誰からも不要、なんてありえないから。
いや、そういうことをウズウズいう女性達も、人生全般を真剣に悩んではいるものの、「四十代、五十代になったけど、まだ若い女として見られたい」というのを、何より本気で悩んでいたりするのではないか。いや、こんなふうにはっきりとはいわない。さすがに、自分が二十代に見えるとは勘違いしていないし。
客観性があるからこそ苦しい
口にしたら笑われる、あきれられる、ともわかってはいる。そういうまともさ、客観性も残しているからこそ苦しいんだな。
でもなぁ、相手の立場にもなってみなさいよ。どうして四十代、五十代の女を二十代として見なきゃならんのよ。男も悩むよ、どうやったらお母さんより年上の人を若い女として求めることができるんだろう、と。
そもそもきれいな四十代、素敵な五十代、として必要とされる場面はあるんだし。また、きれいでも素敵でもなくても、頼れる四十代、愛すべき五十代、尊敬できる六十代ってのは、求める男はいるっての。年齢関係なくあなた自身が必要、という男もいる。
自分で自分の首を絞め、自分で自分の価値や可能性を狭めたら、いかんな。きれいな二十代でなきゃ男は必要としない、なんてことはないって。それは男さんにも失礼。
でもって私も、仕事のできる四十代として頼りにしていたり、同世代だけどスタイルいいなぁ、おしゃれだし見習いたいなという女性に、若い女として男に見てもらえない、みたいなことをいわれたら、それまさに必要とされない悩みです、と答えるしかないよ。
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日本ホラー小説大賞、島清恋愛文学賞など数々の賞を受賞してきた作家・岩井志麻子先生が、あなただけのためにエロ小説を執筆します。小説の題材は “あなた”すべてを解放できる場所 “温泉”。
岩井志麻子先生と混浴をしながらあなたの話を聞かせてください。どんな話でも小説化してくださいます。
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