そんなにいいの?「不倫をやめないオンナ」の隠された本音とは

後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。

不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。

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【不倫の精算#26後編】

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それは不倫オトコの常套句…「不仲アピール」が始まった

妻との不仲を強調することで、肉体関係を結ぶことの罪悪感を薄めようとする既婚男性の話は、飽きるほど聞いている。

Iさんのケースも典型的な不倫相手探しの手段だなと感じたが、それを当人に伝えるのは気が引けた。

 

その日は、彼について話したいと、Iさんからいつものカフェに呼び出された。彼女は物憂げな表情でカップに視線を落としていた。

 

「前は別れ方がわからないって言ってたけど、今はどうなの?

やっぱり続けるの?」

そう尋ねると、Iさんはしばらく顔を上げななかった。

 

「別れたほうがいいっていうのはわかっているの。

でも……今さら彼を突き放すのはかわいそうというか……」

 

下を向いたまま、小さな声で答える。

 

かわいそう、という言葉は別れられない自分への言い訳だ。

そう思ったが、あえて言わずにいた。

 

「じゃあどうするの、彼が奥さんと前のような仲良しに戻るまで、カラダの相手をするの?」

言い方は残酷かもしれないが、不倫はこれが現実だ。

 

本当にIさんを友達として尊重しているなら、不倫なんて不毛な関係に引きずり込むはずはないのだ。

「妻に理解されないかわいそうな自分」を押し付け、Iさんの同情心につけこみ、都合のいいつながりを当たり前にしているだけだ。

 

「そんな、それだけの関係じゃないし」

Iさんはやっとこちらを向き、力のこもった声で否定する。

落ち着かなく動く瞳には、動揺と焦りと、そしてわずかな怒りが見えた。

 

悪いのは奥さんではない。あなた達ふたりの過ちでしかない

不倫している男女は、のめり込むほど「カラダだけのつながりじゃない」「大事な人」と、精神的な結びつきを強調する。

 

ただアレをするだけの仲、とみなされるのは自尊心が傷つくし、人の道に外れた関係を続ける自分の愚かさを目の当たりにしたくないからだ。

 

Iさんもまさに“渦中にいる人”の言葉を吐いた。

 

「最初から不倫が目当てで近づいたわけじゃないと思うし、そりゃシテる私は確かに良くないけど、奥さんだってひどくない?

不倫される側にも問題があるというか……」

 

私は口元まで出かけた言葉をぐっと飲み込んだ。

ホテルに行く選択をしているのは自分でしょう。

その責任は奥さんにはない。どこまでもあなた達の過ちでしかない。

 

Iさんは続けた。

「まあ、いつまでもは続かないし……」

自分へ言い聞かせるような言葉。

 

「そうね、バレないといいね」

そう返すと、Iさんの顔に怯えの表情が走った。

 

本音はそれだよね…不倫が悪いという意識って、持てないよね

「あなたはいっぱい不倫を見てきているし、記事も書いているし、いろいろ知っているのよね」

Iさんはこちらを見ずに言う。

 

「……」

何も答えずにIさんの瞳を見つめる。

 

「わかっているの。

軽蔑するだろうし、私だって友達が不倫なんてしてたら、絶対止める」

Iさんの声が徐々に元のトーンに戻りはじめる。

 

「でも、あのね。

彼と会うと楽しくて幸せなの。

別れなくちゃって思うんだけど、一緒にいたい気持ちもあるの」

 

これが本音だ。

やっと、彼女はこちらの目を見返した。

 

「うん、だって最初はランニングを楽しんでいたんだもんね。

趣味を共有できる人って貴重だと私も思う。

彼と別れたらこの楽しみも捨てないといけない、そういう葛藤はあるよね」

 

そう言うと、安堵したようにIさんの肩から力が抜けた。

「そうなの。

本当はね、別れたあとも一緒にランニングできるような仲でいたいけど、さすがにそれは無理だよなって思うし」

 

趣味と不倫、その2つで天秤が釣り合うわけがない。Iさんは想像以上にこの恋愛と身体の関係に溺れている。

 

繰り返すけど、不倫される側じゃないの。する側の問題なの

どんな言い訳をしても、関係を切れない以上、その責任はIさん自身が引き受けることになる。

「気をつけてね」

返せる言葉はこれしかなかった。

 

Iさんは無言だった。

さっき自分が口にした奥さんへの責任転嫁について、後味の悪い思いをしているのかもしれなかった。

 

賛同されない関係。

自分が選択している関係は“そういうもの”なのだと、こんな瞬間に知るのだ。

 

 

「また、相談に乗ってくれる?」

別れ際、Iさんはおずおずといった感じで聞いてきた。

「もちろん。

何かあったらすぐに連絡してね」

 

 

答えながら、次は彼が離婚してくれないことへの愚痴かもな、とふと頭をよぎった。

 

 

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