【40女の恋愛事情】story1 私はいつか結婚できますか?-39歳・恭子の場合(3)-

2016.08.02 LOVE

Two vintage golden wedding rings close-up on a white decorated pillow in little girl's hands

ずっと胸につかえていた言葉が、飛び出してきた。

もう40歳なのに、結婚を夢見ている。あきらめきれない。

「このまま一生結婚できないんじゃないかって、時々、怖くなるんです」

 

「大丈夫よ」

リリサラさんは、子守唄のように優しく語りかけてくる。

「その恋人といい関係を築けば、きっと、そう遠くない未来に結婚もできるはずよ」

「……やっぱり私が努力しなくちゃならないんですね」

 

童話のお姫様のように、王子様に一目惚れされて、その場で求婚されるような、そんな美味しい話が転がってるわけはないのに、なんとなく、何もしなくても予言された時期にゴールが用意されている気がしていた。

自分の愚かさに、涙が溢れてくる。

もっと早く、自分の人生を自分で切り開いていけば、よかった。

 

「大丈夫よ、人生には、遅いなんてことはないの。あなたは今、はっきりと気持ちを切り替えることができたわ。気持ちが変化しただけでも、運気の流れは変わるものなの。きっとこれからは、いいことがたくさん起きるわよ」

「そうだといいですね」

もう、この占い師のことを口から出まかせばかり言っているとは思えなくなっていた。彼女が言っていることは、間違っていない。何もしていなかった私こそが、いけないんだと思う。

 

「明日から、少しずつ、イベントとか探してみることにします」

「そうね。情報を得ることから始めていきましょう。また何か迷うことがあったら、いつでも声をかけてちょうだいね」

「はい。嘘つきなんて言ってしまって、すみませんでした」

「いいのよ」

リリサラさんは笑った。

「イライラをぶつけていただくのも占い師の仕事のひとつだと思ってるから、私は大丈夫よ」

「ありがとうございます」

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