ウクライナ侵攻、ごく普通のロシア人が考える「終わりの訪れ方」とは
前編『ロシア人「テレビはウクライナが悪いと言い続けている」恐るべきロシアの洗脳プロパガンダ』に続き、モスクワ在住のロシア人男性からごく一般的な市民が抱えるこの侵攻への思いを聞きました。後編です。
*この記事は可能な限り迅速に現状をお伝えするため、専門家による査読を経ていません。また、特定の思想や立場に対する意見、表現が公平ではない可能性もあります。趣旨ご理解の上お読みください。
プーチンは本気でウクライナが自分を歓迎すると思っていたと思う
――なんでみんなそんなプーチン嫌いなのに再選されちゃうんですか? 前回の選挙だってVKすごい荒れてましたよね?
ははは、ロシアでは選挙なんて冗談としか思われてない。あれは不正です。誰もあんなもの信じてない、プーチン支持の愛国者ですら公平性なんて信じてないよ。
*VK ロシアではFaceBookライクなSNS、VKontakte(フコンタクテ)がよく使われています。冷戦を経て、西側グローバル企業に依存しない独自の商圏が築き上げられているのがロシアの特徴です。
――プーチンは、本当に「ウクライナ人はロシアを解放者として歓迎してくれるはず」って信じてたと思う?
うん、彼は心からそう思い込んでたと思う。その証拠に、いまプロパガンダが「ウクライナ人は長い年月をかけて、アメリカからロシアを嫌うように洗脳を受けてきた! ウクライナ人を洗脳から救え!」になったもん(笑)。
きっとこんなに抵抗にあうとは思っていなかったんだと思う。なのにプーチンは「ほぼすべての作戦は予定通り遂行されている」と言っています。逆に言うと、その状況でそう言うということは、たとえばウクライナがNATOに加盟しないことなど、何かしらの合意を水面下で取ろうとしている可能性もぼく個人は感じています。
ロシア人が考える「この戦争の終わりはどう訪れるのか」
――正直、この戦争どうしたら終わるんでしょう? 極端な可能性だけを遠慮なく言うと、ウクライナが降伏する、プーチンが暗殺される?
正直に言うと、ぼくはまったく楽観視していません。悪くすれば、ウクライナが荒廃しつくし、ロシアの経済も地を這うレベルまで叩き落されるくらい、両国ダメージを受けるまで止まらないのではと。
なので、世界からの制裁がどう働くかによりけりで、難しいんだけど……いちばん楽観的にみて6か月かな。
――前にも言ったけど、私はこの戦争はロシアの戦争じゃなくてプーチンの戦争だと思ってます。主語はロシアじゃないと。
当事者としてそれは申し訳なくて言えないけれど……こんなロシアでも、少しずつ変わってきています。ソビエト時代の政治家が少しずつ世を去っているし、プーチンの支持基盤である60代70代も一緒に去りつつあります。
いま20代の若い層はごく普通にデモを行って抗議活動をしています。彼らはきっとプーチンを古い時代の悪い夢として洗い流してくれる。ぼくたち30代は、親世代のしがらみに捕らわれない20代たちが、このロシアを洗い流してくれるのを待っている。そんな過渡期の世代です。
ぼくは、プーチンのいないロシアにみんなが訪れてくれる日がくることを願っています。
この記事の前編もご覧ください>>>『ロシア人「テレビはウクライナが悪いと言い続けている」恐るべきロシアの洗脳プロパガンダ』
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