がん検診、受けていますか? 子宮がん・卵巣がんは年々増えています

2023.03.23 WELLNESS  [PR]

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いま、日本でがんの診断を受けた人は2人に1人といわれています。女性特有の乳がん、子宮がん、卵巣がんも例外ではありません。一方で、乳がん、子宮頸がんの検診を受けている女性は約40%と全体の半数以下(下グラフ「女性の子宮頸がん検診受診割合(20-69歳)」「女性の乳がん検診受診割合(50-69歳)」)。みなさんは、がん検診を受けていますか?

今回は、婦人科がんの専門家で医師の温泉川真由(ゆのかわ・まゆ)先生と編集部長・浅見の対談形式で、女性のがん検診について詳しく紹介していきます。

 

日本女性の子宮頸がん、乳がんのがん検診受診割合は、約40%。アメリカは、80%以上。なぜ?

出典:OECD,OECD Health at aGlance 2015,Nov.2015 ※クリックで拡大

浅見:今回の対談に備えて、日本女性の女性特有のがん受診割合を調べました。そしたら、子宮頸がんも乳がんも40%台と半数に満たないと知って驚きました(上グラフ「女性の子宮頸がん検診受診割合(20-69歳)」、下グラフ「女性の乳がん検診受診割合(50-69歳)」)。私自身は30代後半からどちらも毎年受けていますが……。

 

出典:OECD,OECD Health at aGlance 2015,Nov.2015 ※クリックで拡大

 

浅見:世界のがん検診受診割合を見ると、イギリスは70%以上、アメリカは80%以上と高い受診割合になっています。なぜ海外の受診割合はこんなに高いのですか?

 

温泉川:海外では、個人の受診・再受診を勧める「コール・リコール(公的機関による手紙や電話による個別の受診勧奨・再勧奨をすること」が進んでいたり、保険でカバーできる検診をかかりつけ医が勧めたりしている点が、理由の一つだと思います。受診しない人の保険料を上げたり、自己負担を無くしたりする国もあります。アメリカに関しては、国単位の健康保険がなく、がんになると高額な治療費がかかりますから、予防意識が高い点も理由かもしれません。

 

浅見:日本では会社や市町村単位で検診が実施されていますし、もっと多くの人が検診を受けていると思っていました。

 

温泉川:受診したくても、家庭や仕事の都合で受診のタイミングが合わないという人もいそうですよね。特に20~40代は、出産・育児で休職する人もいるので、職域での受診機会がなかったり、検診の実施時間に検診場所へ行けなかったりなどの事情もあるでしょう。

子育て家庭やシングルマザー・ファザー、学生などが受診しやすい検診体制を整えてPRも工夫をするとか、がん検診の「怖い」「恥ずかしい」などネガティブなイメージを減らす取り組みを増やしていくと、受診率が上がるのではないかと思っています。

 

 

子宮がん・卵巣がんは若い世代も増えています

浅見:がんにかかった人の統計を見ると、乳がんや子宮頸がんは若い方から幅広い年齢、子宮体がんは40代以降というイメージで、卵巣がんもなんとなく40代以降なのかなと思っていましたが、10代から30代もいらっしゃるのですね(下グラフ「卵巣がんの年齢別罹患率」より)。

 

 

出典:国立研究開発法人国立がん研究センター「がん種別統計情報/子宮がん 年齢階級別罹患率(2015)」※画像クリックで拡大

 

 

温泉川:子宮のがんには、子宮の袋状になった場所に悪性腫瘍ができる子宮体がんと、子宮下部の筒状の場所にできる子宮頸がんがあります。そのうち、子宮頸がんにかかる人数は、増減を繰り返しながらもほぼ横ばいです。一方の子宮体がんは2000年代に入って増加していて、20~40代にも多くなりました(下グラフ「婦人科がん罹患の年次推移」より)

 

出典:国立がん研究センター「最新がん統計 2-2:部位別のがん罹患率(1年間に人口10万人あたり何例がんと診断されるか) ※画像クリックで拡大

卵巣がんも、近年かかる人が増えています。1900年代は子宮頸がんよりもかかる人が少なく、珍しいがんの部類でした。ですが2000年を境に増加の一途をたどり、2019年には子宮頸がんの人数を超えました*。急増した明らかな原因は分かっていませんが、一つは食生活の欧米化が考えられています。

乳がんの人数は横ばいですが、女性特有のがんでもっとも多い部位は乳房ですので*、安心はできません。

*国立がん研究センター「がんの統計2022」

 

婦人科がん検診は月経の状況がカギに。受診前に周期や痛みなどの情報整理を

 

浅見:あらためて、婦人科のがん検診はどのようなことをするか、教えていただけますか。

 

温泉川:一般的な婦人科のがん検診科目は、主に子宮頸がんと乳がんに分かれます。問診、視診、生殖器を観察する内診、細胞を採取して観察する細胞診、子宮頚部を拡大鏡(コルポスコープ)で拡大して観察するコルポスコピー、超音波、採血などで検診します(対策型検診の内容は各自治体が公表している情報を参照ください)。乳がん検診では、マンモグラフィーや超音波(エコー)検査もお馴染みですね。

 

浅見:マンモグラフィーを受けるたび、乳房がこんなに平らになるんだと驚きます。婦人科のがん検診を受診するとき、前もって準備しておくといいことはありますか?

 

温泉川:婦人科を受診すると、問診で必ず初経と閉経の年齢や最終月経、月経周期、月経痛、不正出血の有無、妊娠・出産数などを聞かれます。あらかじめ、情報を整理しておくといいですよ。また、過去にかかった病気や家族の病歴を知っておくことも、診断の情報になります。受診のとき、すでに何か症状がある場合は、必ず先に伝えてください。

 

浅見:月経中でも受診できますか?

 

温泉川:月経中でも、内診は受けられます。細胞診は病院やクリニックによって違うかもしれません。ただ、気分的な不快感があったり、苦痛に感じたりすることもあると思いますので、無理のない範囲での受診をお勧めします。

 

浅見:現在のがん検診科目に卵巣がんは入っていませんが、卵巣がんを見つけてもらうために伝えることはありますか?

 

温泉川:月経の状況や過去にかかった病気のこと、家族にがん経験者がいるかを伝えると、医師もより卵巣がんを意識した検診ができます。また、検診項目に超音波(エコー)が入っている場合、経膣超音波で卵巣の観察もできますので、合わせて受けてみるといいと思います。

 

初期症状が分かりにくい子宮・卵巣がん。乳がんと合わせて定期的に検診しよう

 

浅見:家族にがん経験者がいると、がんになりやすいですか?

 

温泉川:乳がん、卵巣がんについては、一部の方では遺伝によってかかりやすくなることがわかっています(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)。ですので、乳がん・卵巣がんの患者さんは、家族や親族に乳がん、卵巣がんを経験した人が多い傾向にあります*。

*Meindl A, et al. Dtsch Arztebl Int 2011; 108:323-330

子宮体がんについては、一部の方がリンチ症候群という遺伝性の症候群に関与しているといわれています**。主に子宮体がん、大腸がんが発生しやすい疾患ですが、関連がんとして卵巣がんも含まれます。また、子宮体がんの手術をした際に、卵巣がんも見つかる場合や、その逆もあります。

**Aarnio M, Sankila R, et al. Cancer risk in mutation carriers of DNA-mismatch-repair genes. Int J Cancer 81: 214-8, 1999

 

浅見:家族が子宮内膜症で手術をしたことがあるので、子宮の病気は他人事じゃないんです。そのこともあって、職場のがん検診を定期的に受けています。ただ、なかには男性医師による検診を気になさるかたもいらっしゃいますよね。

 

温泉川:職場や公共の検診だと医師は選べませんよね。市区町村によっては、担当医師や技師を女性に限定している場合もあるようです。どうしても抵抗がある場合は、女性医師のみで検診している民間のクリニックに行く方法もありますよ。

 

浅見:なるほど。民間のクリニックだと、あらかじめ医師の情報が分かりますね。こうして検診の不安を解決できると、受診の抵抗が減ります。

 

温泉川:浅見さんのような発信力がある方に、ぜひ正しい情報を伝えていってもらいたいです。

 

浅見:私も、僭越ながら何かお役に立ちたいと思っています。実は、35歳のときに同じ年齢の同僚が肺がんで亡くなったんです。健康診断をほとんど受けてなかったみたいで、腰を痛めたときに行った整形外科の先生が、レントゲンで肺がんを見つけてくれました。ですが、そのときはもう手術ができない状態まで進んでいて、発見から約1年後に亡くなりました。

考えても仕方ないですが、がん検診を受けていればもしかして……と思ってしまうんです。以来、同僚が「検診を受けなさい」と言っているような気がして、がん検診を定期的に受けるようになりました。

 

温泉川:浅見さんはしっかり検診を受けていらっしゃるんですね。検診は、がんに限らずさまざまな体の異変を見つけるチャンスです。特に、子宮がんや卵巣がんの初期症状は、腹痛や生理痛、肥満などと区別がつきにくいので、積極的な受診をお勧めします。

 

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温泉川 真由(ゆのかわ・まゆ)先生
広島大学医学部卒業。がん研有明病院婦人科副部長。30代で産婦人科から腫瘍内科への転科を決断し、現在は産婦人科と腫瘍内科の専門医として、婦人科がんの薬物治療に関して第一線で取り組んでいる。

 

浅見 悦子(あさみ・えつこ)
主婦の友社ウェルネス事業部部長。「自分らしく自由に自立して生きる」をコンセプトに『OTONA SALONE』を2016年5月に立ち上げ、編集長に就任。2021年4月より現職。自らカラダを張った本音とリアルな記事を執筆することを得意とし「40代編集長の婚活記」がリアルで共感する、と話題に。著書に『恋ができない40代が運命の人を見つける17の方法』(主婦の友社)、『40代ご無沙汰女子のざんねんな婚活』(小学館)がある。美容編集者歴27年、香りと感触にこだわる美容健康マニアで化粧品やアロマテラピーの資格も持つ。

 

取材・文/力武亜矢 撮影/畠山あかり

【提供】アストラゼネカ株式会社