それは植物油の魔法!揚げ物なのに軽快でさわやか vol.2 @元祖天むす めいふつ天むすの千寿【コーン油】
Sponsored by 一般社団法人 日本植物油協会
私たちの日常生活に油の存在は欠かせません。また、世界的なヘルシー志向や食の多様化に伴い、植物由来の油に注目が集まっています。少し大きなスーパーに行けば、初めて聞くものや使ったことのないものを含め、たくさんの種類の油がラインナップしています。つい使い慣れたものに手が伸びがちですが、せっかくなら、用途に応じた、そして、自分に合った油を使いたいですよね。この短期連載では、日々、植物油を使っている飲食店の方に、その油の特徴と使い方のコツを尋ねます。今回は、「天むす」発祥の店、三重県津市の「元祖天むす めいふつ天むすの千寿」で、同店の「天むす」へのこだわりと共に、創業以来、使い続けているコーン油についてお話を伺いました。
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「天むす」の発祥は三重県津市だった!
「なごやめし」のイメージが強い「天むす」は、実は三重県の県庁所在地、津市の「元祖天むす めいふつ天むすの千寿」(以下、「元祖 千寿」)で発祥したものです。同店が「天むす」の登録商標を持っていて、世界で最も有名な飲食店の格付け本「ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版」に掲載されたこともあるほど。
三重県出身のカメラマン・中庭愉生さん曰く、「天むすと一口に言ってもいろいろ ありますが、僕にとっての天むすはやはり津市大門の『元祖 千寿』なんですよ」。これは、ますます気になります! 「子どもの頃、海水浴に行くときは、必ず『元祖 千寿』で天むすを仕入れていました」。そんな話を聞きながら向かった、「元祖 千寿」。JRと近鉄の津駅から車で5分ほどの同店に着く頃には、期待度はマックス状態でした。
お店では、3代目主人の福田尚美さんと2代目主人の仲村磯路さんが「ようこそ、いらっしゃいました」と出迎えてくれました。店内には6席ほどのカウンターが設けられています。「天むす」はお店でもいただけますが、もちろんテイクアウトもOK! むしろ、テイクアウトで買い求められる方がほとんどで、私たちがお邪魔した際も注文の電話がひっきりなしに鳴り続けていました。
「天むす」誕生のきっかけは夫への愛情
メニューは、「天むす」(5個750円)と「味噌汁(三つ葉、あおさ)」(150円)のみという潔さ。「天むす」は1個150円で追加も可能です。天むすに添えられている「きゃらぶき」はお土産として(100g500円)購入することもできます。
「天むす」を考案したのは、初代主人である水谷ヨネさんです。夫と共に天ぷら店を切り盛りしていたヨネさんは、多忙な夫へのまかないとして、少しでも食べやすく、栄養のあるものをと、エビの天ぷらを入れたおむすびを作りました。これが常連客向けの裏メニューとして人気となり、やがて「天むす」の専門店をオープンします。これが昭和30年代のことです。今では「天むす」のお供といえば、きゃらぶきですが、これも、ヨネさんの夫が沢庵を好まなかったため、沢庵の代わりにきゃらぶきを添えたことに端を発します。その後、昭和の終わり頃、お店で働いていた従業員が暖簾分けのかたちで、名古屋大須で「めいふつ 天むす 千寿」を開業しました。
独特の海苔の巻き方は世紀のご成婚にあやかったもの
「天むす」の個性は店によって千差万別です。名古屋をベースとする他店舗の「天むす」はエビの天ぷらがおむすびからはみ出ているのですが、「元祖 千寿」のものは、天ぷらがおむすびの中に納まっています。だから一見しただけでは、「天むす」とはわかりません。「元祖 千寿」の「天むす」は小ぶりで端正。握り立ての「天むす」は磯の香りもまとっていました。その海苔の巻き方にも特徴があります。同店の創業は日本中が上皇ご夫妻のご成婚に沸いていた、昭和34(1959)年頃。この慶事にあやかり、現在の上皇后美智子様がされていた独特のストールの巻き方を模して、初代店主であるヨネさんは海苔を真ん中でよじる巻き方を考案したそうです。
また、「千寿」の天むすは、注文が入ってから、手に付けた塩だけで握ります。「わざわざここまで来ていただくお客さまのご期待に応えたいという思いで創業以来ずっとこのスタイルです」と福田さん。「やはり作り立てが美味しいかな?」と思いきや、「お客様によってお好みはそれぞれです。握り立ての、ほかほかの状態でいただくのも美味しいですが、ごはんが冷めてからのほうが天ぷらの味が引き立つとおっしゃる方もいます」(福田さん)。
お米も海苔も三重県産のものを使用。お米は、約10年前から、三重県が開発したブランド米「結びの神」を使っています。「しっかりした粒で、おむすびにはもってこいです」(福田さん)。岩手県産のふきを使って作る「きゃらぶき」は創業時からの、少し甘めの味付けを守り続けています。
創業以来、同じメーカーのコーン油を使用
「シンプルな料理ですから素材にはこだわっています」と福田さんが言うように、かじるとふっくらとしたお米がはらはらと崩れていく「元祖 千寿」の「天むす」が長く愛されているのは、妥協のない素材選びも大きな要因のひとつです。
エビの天ぷらを揚げるコーン油にも強いこだわりがあります。「うちは初代からずっとコーン油。メーカーも変えていません」。福田さんはそう言いながら、揚げ立ての天ぷらの香りをかがせてくれました。
「いい香りでしょう? これがコーン油です」
芳ばしい香りが漂ってきます。ただ香ばしいだけでなく、やわらかな甘やかさも感じられて、なんだか癒されます。もちろん、食欲も刺激されます!
時間が経ってもごはんに油が移らない!
「コーン油は油っぽくない油なので、天ぷらをからっと揚げることができます。ごはんに油が移りにくいのもいいですね。お客様には、『天ぷらなのにさっぱりといただける』『時間をおいて食べてもべたべたしない』と、ご好評をいただいています。あるスーパーがお惣菜の揚げ物に使う油をコーン油に変えたところ、ほかの素材は同じなのに格段に美味しくなったと評判になったんですよ。初代がコーン油を使い始めたきっかけは聞いていませんが、絶対に変えるなと強く言われています」(福田さん)
初代から使い続けている、コーン油の実力、さすがです。ぜひ自宅でも使ってみようと、日々、油を扱っている福田さんに、家庭で揚げ物をする際のコツを聞いてみると──。
「やはり温度と時間の管理ですね」。参考までに、「元祖 千寿」では、約170℃で揚げているそうです。「『天むす』に入れる天ぷらは、普通の天ぷらとは異なり、少し固めに生地を作っているので、低温でじっくり揚げています。ベストな温度と揚げ時間は素材や衣によっても異なり、一般的には、時間をかけすぎると、生地が油を吸ってしまいます。天ぷらは、プロと素人とでは明確に仕上がりに差が出る料理。揚げている最中は天ぷら鍋から離れず、様子を見ながら進めるのが良いと思います」
コーン油100%の揚げ物、自宅でトライしてみませんか。新しい世界が開けるかもしれませんよ。
■元祖天むす めいふつ天むすの千寿
住所/三重県津市大門9-7
電話番号/059-228-6798
営業時間/9:30~17:30(注文は17:00まで)
定休日/毎週日曜日、第3月曜日
http://www.gansotenmusu.com/
>>様々な植物油の特徴やレシピを知りたい方は、日本植物油協会のH
取材・文/長谷川あや 撮影/中庭愉生
取材協力/一般社団法人 日本植物油協会