「パニック障害?薬ですぐに治るよね」軽く考えていた過去の自分にいま私がたった一つ伝えたいこと
一生のうちでパニック障害になる人は、10人に1人と言われています。「頑張り屋さん」で「真面目な人」が、パニック障害になってしまうのは、他人事ではないのです。
前編では新卒で就職した広告代理店で1日5件のアポイントをこなしてがんばるAさんがある日突然異変に襲われた話をお伝えしました。後編ではその後の対応と「わかったこと」をお伝えします。
前編『【実録】バリバリ働く私がパニック障害を起こして「悲劇のヒーローを気取るな」と言われるまで』に続く後編です。
「パニック障害」で会社に診断書を提出。上司から言われた言葉に衝撃を受ける
アポイントの移動途中に過呼吸を起こしたその週末心療内科にかかり「パニック障害」と判断されました。パニック障害のことを知らなかった私は、しばらく薬を飲めば、すぐに治ると思っていたんです。しかし、その後の外回りでも過呼吸を何度も起こしてしまい、ついに電車に乗ることや外出することに対して、恐怖心を抱くようになりました。
外出に関していわゆるドクターストップがかかり、診断書を上司に提出しました。なんとなく気まずい雰囲気になるかもな、くらいには思っていたのですが、ここで上司が私に投げつけた言葉は想像を絶するものでした。
「悲劇のヒロインを気取ってんじゃねぇよ!!」
私はショックを受けるというよりも、何を言われているのかがよくわからなくて、あっけにとられてしまいました。予想もしなかった言葉すぎて脳が処理できれなかったのでしょう、フリーズしてしまったんです。そんな私のことはおかまいなしに、立て続けに上司の叱責が飛んできます。
「これがどういうことかわかっているのか」
「お前が周りからどう思われているか知っているか」
時間にして30分、いや1時間近く、延々と説教が続きました。放心状態で内容は全然、頭に入ってきませんでした。
キャリアチェンジするも、多忙さは変化なく、病状は悪化
上司はそんな人でしたが、幸いにも会社は診断書に基づいて異動に応じてくれました。内勤営業に職を移してもらい、その後も会社に居続けました。内勤営業になったとはいえ、忙しさは変わりませんでした。むしろずっと社内にいる分、外回りをしていた頃よりも、多くの仕事をしていたような気もします。
働きながら、病気と向き合いましたが、電車に乗ることの恐怖がなかなか克服できずにいました。なかなか治らないと焦る気持ちが日に日に高まり、出勤する電車のなかで過呼吸を起こすようになってしまいました。気が付けば、月に1度くらいの頻度で会社を休まざるを得ないほどに症状は悪化していました。
会社の上司や先輩には、パニック障害の話をしていましたが、理解のある人もそうでない人も半々くらい。上司が四半期ごとに変わるような会社だったのですが、入社して4年目の春の異動で上司になった人には、病気のことを十分に理解してもらえませんでした。
加えて、その上司は私のことをひどく嫌っており、業務連絡を私にだけ回さなかったり、無視されたりといった嫌がらせを受けるようになっていきました。
そんなときに、病気の最大の理解者であった先輩が本社に異動することが決まりました。すごくショックだったのを覚えています。かなり心の支えになっていたので、その先輩がいない職場で、その先も働いている自分が想像できなかったんです。ちょうど上司の嫌がらせにも我慢の限界が来ていたので、「会社を辞めよう」と決意しました。
そのときは会社を辞めれば、病気もよくなるだろうと考えていたんです。でもパニック障害は、そんなに簡単に治るものではなかったのです。私はここからまだまだ病気に苦しみ、どん底を味わうのですが、このお話の続きは、次回にすることにしましょう。
nicot+から、「私ももしかして…」と思うみなさんにお伝えしたいこと
さて、ここからはnicot+鈴木の整理とアドバイスです。Aさん、お話をありがとうございました。
頑張って内定を手にした会社で、自分の夢に向かって頑張ったAさん。上司からびっくりするような言葉を浴びせられても、それでも会社に残ることを決めたのは、もしかしたらどこかで「それでも、頑張らないといけない」と思われたのかもしれません。
なのに、上司の一言……
新しい環境に身を置いて、頑張らない人なんて、ひとりもいません。「早く仕事を覚えなきゃ」とか「周りの人に迷惑かけないように」と誰でも必死になります。
Aさんも多分に漏れず、きっとやる気に満ち溢れていて、ただただ自分にできることを精一杯やっていたんだと思います。
もし、この記事を読んでいるあなたが「頑張り屋さん」なようでしたら、
時々、こころや身体が発する「SOS」の声に、耳を傾けてみてくださいね。
「少し頑張ったからちょっと休憩しようか」
「いつもよりゆっくりお風呂に入ろうか」
「休みはスマホの電源を切っておこうかな」
少しずつ、少しずつ、耳を傾けてあげる。
パニック障害になったAさんのことを他人事だと思わずに、「自分を思いやる気持ち」を忘れないでいていただけたら、うれしく思います。
今日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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