【40女の恋愛事情】story2 私は彼の特別になれますか?-45歳・真由子の場合(2)-
ふとお芝居の感想をSNSに書いたら、その役者さんからレスが。
「この世の中で、誰かが私のことを気にしてくれていた」。
さっきまで舞台の上にいた彼を、20歳も年下の彼を、ドキドキしながらひとり公園で待つ……。
語られることのないアラフォー女性の恋愛事情をクローズアップした小説【40女の恋愛事情】。
1回目に続いて、story2-45歳・真由子の2回目です。
彼は、ベンチに座っていた私の隣に、当たり前のように腰を下ろした。
すごく距離が近い。
それにふたりきりでこんな風に会うなんてことも初めてで、胸がすごく苦しくなる。
間近にある彼の顔を正視できなくて、目線を落とし、胸元のスポーツブランドのロゴばかり、見つめてしまう。
ふたりきりになれた悦びよりも、いたたまれないような、早く帰りたいような気持ちになっていた。
「あのっ、スタンド、本当にありがとうございました!」
彼が頭を下げる。
こげ茶色の柔らかそうな髪が、ふわっと、私の顔の前を通る。
「僕、スタンド花いただいたの、初めてなんです。だから、どうしてもお礼を伝えたくて」
確かに、彼宛のお花が飾られているのを見たことはない。
スタンド花は、安くても2万円くらいはするので、彼にそこまで弾むようなファンは、まだいなかったのかもしれない。
「ほんとうに、ありがとうございました!」
満面の笑みを浮かべながら、彼が私に両手を差し出してくる。
一瞬、抱きしめられるのかと思った。
でも、彼が手のひらを近づけていったのは、私の両手で、ぎゅっ、と握られた。
この記事は
作家&エッセイスト
内藤みか
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