【40女の恋愛事情】story2 私は彼の特別になれますか?-45歳・真由子の場合(2)-
冷静に考えれば、20も上の地味な女のことなんて、若い男の人が好きになってくれるはずもない。
でも毎回こうしてVIP待遇してもらえると、うぬぼれの気持ちが頭をもたげてくる。
もしかしたら彼も、私を好いていてくれるのではないだろうかと。
そう、気がついたら、私はすっかり彼にのぼせてしまっていた。
街に出ても、若く見えそうな服を探している。
彼の目に自分の顔が入るから、髪の毛にも気を使うようになった。
公園で二人で並んで座っている男女は、特別な仲に見えるかもしれない。
「誰かに見られたらどうするの?」
と彼に聞いたことがある。
「大丈夫ですよ。駅とは反対方向だし、みんなこっちには来ないから」
彼はそう言って微笑んだ。
その顔を見たら、もう、何もかもがどうでも良くなり、ただただ、もっと彼と一緒にいたい、と思ってしまうのだった。
ある日、彼が私に悩みを打ち明けてきた。
「今度の舞台はノルマが30枚もあるんです。でも、僕にはまだファンも少ないし、上京して2年だから都内に知り合いも少なくて、全部売れるかどうか……」
「ノルマをさばけなかったら、どうなるの?」
「売れなかったぶんは、自分で買い取ることになるんです。でもお金のことはどうでもいいんですよ。ただ、ノルマをさばけないと、その劇団の他の舞台に誘ってもらえなくなるんで、それが悔しくて。結構有名なところなんで、これからも、出たいんですよね」
その言葉を聞いた瞬間、私の頭の中が真っ白になっていた。
「いいわ。私が買うわ、その30枚」
そう口走った自分に、自分でビックリしてしまった。
【私は彼の特別になれますか?-45歳・真由子の場合(3) -につづく/過去のまとめ読みはこちら/毎週火曜17時更新】
この記事は
作家&エッセイスト
内藤みか
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