本当に大丈夫なの!?【スマホ育児】親の不安と対策、子どもの発達と目に及ぼす影響は?#令和の子#令和の親
いまや生活をしていくうえでなくてはならない「スマホ」や「タブレット」。子育てにおいても、保育園や学校との連絡をはじめ、子どものスケジュール管理、予防接種や授乳・離乳食の回数の記録など、日々の育児のサポートツールとしてフル活用している保護者がほとんどではないだろうか。一方で子どもがグズったときの子守ツールとしてスマホの動画やアプリを利用することについて、「不安がない」と言い切れる親はきっとごくわずかだろう。そこで、小児科専門医や眼科医、当事者の親たちの意見を聞いてみた。
アプリや動画を見せるときには「親も一緒に」が鉄則
家事や仕事でどうしても手が離せないときや、場所柄静かにしていてほしいとき、機嫌を直してほしいとき、さまざまな状況下で、保護者が子どもにスマホやタブレットを与えてしまうことがある。最近はコンテンツが充実しているアプリも多く、動画を見せることが知育につながる、というポジティブなイメージを持っている親も多い。
「0〜2歳程度の乳児に動画やゲームを見せっぱなしにして、頭がよくなるということは絶対にありません。例えば、動画で『これは黄色です』と言っていても世の中にはいろいろな黄色があります。親が一緒になって、家の中や外で『これも黄色だね』とリアルにつなげてあげる。そこで初めて知育は完成します」と成田先生。
さらに、物事が平面でしか表されないタブレットは、脳への刺激が少ないと成田先生は警鐘を鳴らす。
「五感を刺激することで脳は発達します。タブレットで『象さんだよ』と見せても赤ちゃんには意味をなしません。実際に動物園に行くなど、必ずリアルな体験もさせてあげましょう」
一方で、「YouTubeがないと泣きやまないから不安」「スマホやタブレットを全く触らせないと、大きくなったとき周りについていけなくなるのでは」といった保護者の不安の声があるのも事実。
「乳児にとっては、親の笑顔がなによりの安心のもと。反対に、親が心配すると子どもはそのとおりになってしまいます。『この子はYouTubeがなくても大丈夫』と自信を持って、ぐずっても見せない、笑顔でスキンシップをとる、というふうに変えてみて下さい。また、現時点でわざわざ触らせなくても、必要になれば子どもはすぐに覚えます。むしろ小さいうちは、たくさん話しかけてコミュニケーション能力を高めるようにしましょう」(成田先生)
子どもの目に遠近感の機能が育つのは2歳まで
スマホやタブレットの画面が「目に悪そう」というイメージはあるものの、子どもに渡すと夢中になって見るので、医学的に見て子どもが画面を長時間見続けることやブルーライトを浴びることで目に与える影響はないのだろうか、とついつい心配になりますよね。
「スマホが一般に普及してまだ10年程度。目にどんな影響があるのか実はまだわかっていません。全く影響がないとは考えられません。
生まれたばかりの赤ちゃんの目はゆっくりと発達して、3歳になると0.7程度、6歳までに1.2程度まで見えるようになります。これがいわゆる『視力』の発達ですが、もうひとつ『立体視(遠近感)』という機能があります。立体視とは、ものを立体的にとらえる感覚のことで、私たちは『視力』と『立体視』でものを見ているのです」(浜先生)
スマホの画面は当然平面。スマホの画面ばかり見ていると立体視が育たない、と浜先生はさらに指摘する。
「立体視が発達する時期の赤ちゃんに、実際のものではない立体画像を見せ続けると誤差が生じてしまうのです」(浜先生)
子どもとスマホ&タブレットとのつきあい方として、浜先生が推奨するのは以下のとおり。
「動画を見ること自体は視力の発達には影響しませんが、1日15〜30分程度にとどめましょう。また、画面に近づきすぎるのも近視の進行につながりますので、適度な距離を保ちましょう。また、スマホを見たあとはリスク管理をしてあげてください」(浜先生)
家庭によって状況は違う。環境に応じたルール作りを
家族構成や保育に関わることのできる人数など、育児環境は家庭によってさまざま。よりよくスマホやタブレットとつきあうためにしている工夫を保護者に聞いてみた。
「電車でグズったときや外食時に短時間だけ見せるようにしています。1回10分以内、1日3回以内という決まりを作り、それを守るようにしています」(1歳女の子)
「4歳の兄がスイミングをしている間、あちこち歩き回ったり大声で騒いだりするので、見せています。動画を見始めると終わりがないので、スマホに入っている写真を見せるように」(2歳女の子)
「双子なのですが、2人とも働く車が大好き! テレビで働く車のYouTubeをつけると『あっ!』と指差して喜びます。ただ見せっぱなしにするのではなく、一緒に楽しもうと思ってみると、喜ぶ子どもの気持ちがわかってうれしくなります」(2歳男の子)
「家で仕事をしているのですが、私がパソコンの前にいるときは、子どもが横でタブレットの英語アプリを楽しんでいます。『ママ、いっしょね』と言って喜んでくれるし、仕事もはかどります」(3歳男の子)
「私自身、スクリーンタイムを制限しないとずっと見てしまうので、子どもの前ではスマホは出さないようにしています。調べ物など、どうしてもというときは、『電車の時間を調べないと』などと、あえて子どもに聞こえるように言うのがポイント」(3歳女の子)
子どもが小さいうちは時間を決めて必ず親がコントロールを
「動画ありき、YouTubeありきで育ててしまうと、年齢が上がるにつれて夢中になり、家庭内での会話や勉強がおろそかになる例が多いです。」と成田先生。「特に0~2歳の幼い時期は、見たければ見っぱなしになってしまうので、子どもが自律的に操作できるようになるまでは、時間やアクセスできるアプリやウェブサイトなどを必ず親がコントロールするようにしましょう」と強く勧めている。
スマホやタブレットが育児の役に立つことや、保護者の息抜きを確保するための一助とることは否めない。一方で、それらは子育てに必須のものでもない。「スマホに頼らなくても育児はできる」と自信を持って、親子のコミュニケーションを最優先にした子育てをすべきだろう。
【お話を伺った方】
文教大学教育学部特別支援教育専修教授、小児科専門医、子育て科学アクシス代表
成田奈緒子先生
日本橋はま眼科クリニック院長
浜 由起子先生
※この記事はオトナサローネとYahoo!ニュースによる共同連携企画です。
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