「うつ病」だと思っていたら実は「多重人格」だった…。解離性同一性障害の現実を描く映画「Teamその子」監督インタビュー#2
働く女性の中にも実はちらほらと存在していると言われる「解離性同一性障害」についてご存知でしょうか?本日はこの疾患について描いた「Teamその子」という映画についての記事をお送りします。この記事は【後編】です。
<<この記事の【前編】:「最初に出会ったDIDの人は、同僚だった」と監督。働く女性の中にも実はちらほらと存在していると言われる「解離性同一性障害」とは?
DIDをテーマにした映画を作るにあたり、大切にしたことは
──映画作成にあたり、たくさんの当事者の方の経験を参考にしていると聞きました
実際に意見を聞いたのは、10人くらいで、あとは本ですね。複数の人が経験している代表的な事例を取り入れました。表現も、自分が経験したことをベースにして、なるべく現実に即したものにできるよう心がけました。
──スティグマ(偏見・差別)を軽減するための工夫もありましたか。
映画によって「こういう症状がある」と広く伝えられるんじゃないかと思ったんです。
見る人によって感想は違うとは思いますが、私は当事者の方々を強いと思っていますし、サバイバルのための力を発揮して生き延びてきた人たちだと思うのです。そこへの敬意を込めました。DIDの症状がある方たちに対して「遠い人、自分とは違う人」と思うのではなく、「DIDの症状がある人も、そうでない人も同じ人間なんだから、みんな一緒に頑張っていこうよ」という気持ちを大切にしたいですよね。
分かれてしまった人格を持つ人たちが、内部で(人格同士で)会話して……会話までいかなくても折り合いをつけて前に進む力強さを、そばで見てきました。そして、分かれてしまった各人格さんたちと同じようなことで、実は私達も悩んでいるんだということを描きたかったのです。
──映画の制作過程で苦労したことはありますか?
初めてだったので、一人で映画を作るのは分からないことだらけでした。そうは言っても、スタッフ、キャストのみなさんや、仕事場のみんなにも協力してもらったので、そこまで苦労はなかったですね。作ったあとも色々なところで上映できていますので、本当に恵まれていると思います。
この映画は、映画学校の卒業制作でしたので、まず新宿で上映したのです。そして、そのままにするのはもったいないので自主的に上映会を開きました。そうしたら協力してくれる人たちが出てきたんです。さきほど話したDID当事者の同僚が、各地でDVや性暴力のトラウマに関する講演をしているのですが、そこで行政の方や、さまざまな団体へと繋がっていきました。
「DIDのことを知らなかった」という人たちからも、反響が 次ページ
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