受験に失敗した息子。母が「思わず口走った言葉」で、家で暴れて不登校気味に。子どもを荒れさせたのは、母の発言か?非協力的な父か?
様子を見てばかりの先生に対して、不満を募らせるように
しかし、中学3年生は大事な受験時期でもあるので、芳子さんはできれば「学校に行かせたい」と考えていたそう。ただ、先生からすれば傍観しているのではなく「無理やり動こうとすれば、健司さんの気持ちはますます学校から離れるのでは」という思いがあったそうです。
「先生は、結局他人の子だから何もしてくれない。面倒だから『様子見』として、何もしようとしないのでは?」
そう感じた芳子さんは、再び夫に「どうにかしてほしい」と訴えることにしました。
しかし夫は「今、仕事で大事なポジションについたばかりだというのに、なんでそんなことに関わらなきゃいけないのか」と言い放ったそうです。
夫の発言に対し、芳子さんは「息子の今は一番大事な時なのに、あなたはどうして非協力的なの!」と、怒りをあらわにしました。
そんな芳子さんに対し、夫は「そもそも、お前は息子の気持ちを蔑ろにして、自分の気持ちばかりぶつけているのが問題じゃないのか。俺は健司の気持ちも尊重したいからこそ、あえて何も今は言わないんだよ。別に、何も考えていない訳じゃない」と、これまでの思いを怒りとともにぶつけてきました。
夫の言葉をきっかけに、「家族に自分がしてきたこと」を振り返るように
芳子さんは、夫の言葉を聞いてハッと我に返ったそう。思い起こせば、芳子さんは子ども達の将来が心配なあまり、本人の意思は確認せずに「経験させておくと良い」と感じた習い事を勝手に選んで習わせていました。
子どもに習い事をさせる時、子どもに「何を習いたい?」と確認することは一度もなかったそうです。結局、息子どころか娘も習い事が続かず、今では子ども2人とも、何も習得していない状況でした。
そのことに気づいた芳子さんは、息子に向かって「今まで、お母さんのやりたいように習い事をさせてしまって、ごめんなさいね。あなたの意見を、もう少し聞くべきだった」と、後悔の気持ちを伝えたそうです。
健司さんはそんな母親に対してジーッと無言で表情を眺めたあと、静かにコクッとうなずいたとのこと。それからは、ずる休み癖も次第に減っていき、高校受験も無事終えたそうです。
中学の頃には既に塾に行っておらず、勉強している素振りを見なかった健司さん。それなのになんと、第一志望の高校に無事合格したそうです。この時ばかりは、芳子さんも嬉しくて涙が止まらなかったそうです。
この経験から「もっと家族を信用したり、信頼する必要があった」と芳子さんは後悔しているそう。
家族を信頼することが、絆を深めることに気づいた
これまでの芳子さんは、少しでも家族に対して気に入らないことがあると、夫に対して「家族に非協力的」と捉えたり、息子や娘の習い事が続かないと「せっかく習い事をお母さんが選んであげたし、お金を投資したのに」と、相手の落ち度ばかりを責める節があったそうです。
しかし見方を変えれば、夫はもしかしたら家族のためにあえて「無言」で見守っていたのかもしれないし、息子や娘は別にその習い事がしたい訳ではなかったのかもしれません。
この出来事から、芳子さんは家族のことをじっくり観察するようになったそうです。家族を観察して、相手の気持ちを考えてから発言するようになってからは、家族仲も次第に回復。また、今では「家族の仲を深める」と言う理由で、家族で年に1回旅行に行く機会を設けるようにしたとのこと。
家族の仲は、ちょっとしたことで歪みが生じるものです。「親しきなかにも礼儀あり」と言う言葉があるように、家族の関係を良好にするためには、相手の気持ちを汲んであげることも大切なのかもしれませんね。
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