別れた不倫相手と、職場で再会して…。アラフォー女性の取った行動は(後編)
過去の不倫相手が「仕事相手」として現れたが…
「……でもさ、もし会社の人がふたりの過去を知っているなら、その人をメンバーに入れることはしないんじゃない?」
「……」
「そんな問題のある社員をわざわざ加えるとはちょっと思えないけどね」
その取引先は、県内では大手とはいえなくても長い歴史のある会社で知名度は決して低くはなく、たとえば日向子がこの男性の過去の不倫相手とわかった段階でまずメンバーから外すのではないか、という予想はあった。新しい火種を生む可能性を放置することは、まともな会社ならしないだろう。
「そう……だよね」
低い声のまま、ようやく日向子の声に落ち着きが戻った。過去のふたりの記憶に縛られて、特に自分について悪い印象を相手は持っているに違いないと思うと、どうしても視野が狭くなる。
プライベートなことではなく、これは「仕事」なのだ。その正しい割り切りを持たないと、かえって周囲の不審を買う振る舞いに出る。日向子の動揺の激しさを感じていると、気持ちは理解できるが慎重な行動こそ今は肝心なのだと強く思った。
バレる恐怖に我を忘れそうになり… 次ページ