真面目だったのに「道ならぬ恋」に堕ち…。恍惚のあとに彼女が見たものとは(後編)

2024.06.07 LOVE

不倫が始まった理由

未希子が付き合っていた既婚男性は、勤務する会社の下請け業者の人間だった。業務でやり取りをするうちに個人的なことまで話題に出て、「いつも励ましてもらっていた」ことが、未希子の油断を誘った。

 

ふたりで週末の夜に飲みに行くほど親しくなり、未希子の過去の恋バナなんかも「酔った拍子に話してしまい」、一方で男性のほうは妻の尻に敷かれる生活の大変さを語り、「あなたのように素敵な女性と過ごせるなんて」と自分の今の幸運をささやいていた。相手が既婚者だと頭ではわかっていても、「ふたりとも飲みすぎたから、少し休んでから帰りましょうよ」と男性に言われるがままホテルに入ったのは、自分を受け入れてくれる男性に甘えたかったのだろうと、私は未希子の心情を考えた。

 

逆に言えば、男性が結婚しているからこそ、「先はない」とわかる関係だからこそ、自立心の強い未希子は身を委ねたのかもしれなかった。終わりが前提のつながりなら、自分のペースを守るのを責められることはないし、相手に期待する理由もない。「結構ラクなのよ」と繰り返していたあの頃の未希子を思い出すと、カラダの満足を得られて疑似恋愛のような甘い感情も味わえる不倫は、案外と陥りやすい落とし穴なのかもれないと感じていた。

 

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