「気付いたら髪が抜けていた」…「円形脱毛症」本当に知ってる?全身の毛が抜けることも。誤解や偏見の多い病(前編)【専門医監修】

円形脱毛症の原因は? ストレス? 実は「原因不明」

円形脱毛症の原因は、いまだにはっきりとしていません。毛球部に対する「自己免疫疾患」と言われています。本来はからだを守る免疫の働きが異常をきたし、リンパ球が自身の毛包を攻撃してしまうことで毛が抜けてしまうと言われています。

 

円形脱毛症は人口の0.1~0.2%に発生すると言われ、一生のうちに円形脱毛症になる確率は1.7%。男女差はほとんどなく、どの年齢層にも発症します。親子や兄弟姉妹で発症することも。

 

まれに難治化し、頭髪だけでなく、まつげやまゆ毛、その他全身の毛が抜けることもあります。円形脱毛症は橋本病などの甲状腺疾患、尋常性白斑、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患が合併することもあります。また、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎といったアトピー疾患を合併することも知られています。

 

ストレスは「原因」ではなく、「誘因」のひとつと推定されています。肉体的疲労や感染症も一種のストレスですが、誘因のひとつと考えられます。一方、精神的ストレスが円形脱毛症の誘因になるかどうかについては賛否があるところです。「自分が弱いから」と自身を責め、一層つらくなる人もいるようですが、そのような無駄な考えは捨てましょう。

 

 

▶▶円形脱毛症の治療法は? 「頭皮に注射」⁉ 特定の免疫を抑える新薬も!

 

 

※日本皮膚科学会「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」に基づいた診療
※病院によって、治療法が異なることもあります

 

監修:東京医科大学病院皮膚科、ワタナベ皮膚科 入澤亮吉先生

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本性感染症学会認定医。日本皮膚科学会東京支部代議員、日本皮膚悪性腫瘍学会評議員、日本褥瘡学会評議員。1988年東京医科大学卒業。同大学病院皮膚科病棟医長を経て、2021年より東京医科大学病院皮膚科 講師。特定非営利活動法人 円形脱毛症の患者会 監事

 

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