東大の講義で感動した、日本語の奥深さ。でも、19歳東大生の推論がもっとスゴかった

日本語の発音や連濁を学ぶ言語学の講義

みなさんは言葉を発するとき、口のどの部分で音を出すのか、口の開き方はどうするか、舌の位置や形はどうするかなどと考えることがありますか。

母語においてはおそらくほとんどないのではないでしょうか。それは自然と正しい発音ができるからです。

一方で、外国語を発音するとき、例えばrとlを区別して発音するときなどは、慣れるまで意識が必要です。そもそも日本語ではrとlを区別しません。だから、Rightもlightも「ライト」と発音します。「ライトを守る」と「ライトを点ける」でrとlを意識しません。

この講義ではそういったことから、喉を鳴らすか鳴らさないかなど、日本語における様々な発声を学ぶことができます。

 

 

日本語の五十音

五十音は縦に「アイウエオ」、横に「アカサタナハマヤラワ」の順で並んでいます。

この五十音の基礎を作ったのは日本人ではなく古代インド人だといわれています。

子音であるカ~マは、音の区別を作り出す部位が口の奥から唇へ向かう順序で並べられています。

「カサタナハマ」とゆっくり声に出してみてください。

前から後ろに口の中の何かが動くのを感じませんか。

なお、子どもにとっては、口の奥で発音する方が難しいため、言葉の代用が起こります。ケーキをチェーチ、銀行をじんこうのように発音してしまうのは、その方が簡単だからです。

子どもが発声初期の段階で話す言葉(ママ、マンマ、パパ、ブーブなど)も発声しやすいものが多いようです。

 

講義と講義で使っている教科書からの学びは毎回すさまじくぼくを感動させます。

さらに、日常で湧いた疑問を先生が答えてくれる、あるいは、みんなで考える時間をとってくれる点もすばらしい。

 

 

2文字の人名は必ず1文字目にアクセントがくる

日本語のアクセントには規則があります。規則はあるけれど、その理由がわからないことがあります。

例えば、「まき」や「ゆみ」といった2文字の人名は必ず1文字目にアクセントがきます。

みなさん、思いつく限りで2文字の人名を思い出してください。すべて1文字目にアクセントがきます。

さらに「陸」や「雪」、「花」のようにそもそも2文字目にアクセントを持つ言葉も人名では1文字目に変化します。とても不思議です。

ここでアーティストの「藤井 風(ふじい かぜ)」さんを思い浮かべたあなた。素晴らしい。

「風」という名前は、全く聞いたことがありません。

この話をXで呟いたところ、250万人ほどが読んでくれましたが、藤井 風さんの名前を出す人はいるものの「風」という名前の知り合いがいるというコメントはありませんでした。

「風」という名前の人が日本に増えたとき、アクセントがどうなっているか大変興味深いです。

名前の陸、雪、花のアクセントはいつのまのか変化していましたが、風の変化の様子は今後捉えることができるかもしれません。

 

さて、どうして名前のアクセントが変化するのか。

 

教授に聞いても、理由はわからないと言います。それも面白い。

 

発音などを研究している東大の教授でもわからない。つまり、多くの研究者が解明できていないわけです。

ただ、同じ講義を受けていた学生が秀逸な意見で、ぼくや教授を唸らせてくれました。

 

「自分の苗字は“シカマ“と言い、3文字目にアクセントがあります。でも珍しい苗字なので、名乗っても伝わらないことがあるんです。

そこで名乗るときは1文字目にアクセントをおいて聞き取りやすくしています。

“まき”などの2文字の名前も、固有名詞であるため伝わらないことがあると思います。だから、同様の理由でアクセントが整えられていったのではないでしょうか」

 

ぼくは感動し、先生は「そうかもしれない」と納得していました。

彼女はまだ19歳。

自身の経験から道理的な推論を導くことがとても上手です。

自分が19歳の時、彼女と同じように考えることができたか、甚だ疑問です。

 

 

【前編】では言語学の講義で、まだ解明できていない人名のアクセントについて、19歳が教授をうならせる推論を示したエピソードをお伝えしました。

▶つづきの【後編】では、さんきゅう倉田さんが興味をもった言語学の不思議を、海外旅行先で見かけるナゾの日本語の看板を例に深堀します。__▶▶▶▶▶

 

 

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