中学で学年トップ→日比谷高校→東大。「やっぱりみんな頭いいんだ」生粋の秀才の胸の内は
英語に強い日比谷高校
日比谷高校では、2年の11月に文系と理系に分かれます。それまではすべての生徒が生物も物理も化学も地学も世界史も日本史も地理も勉強しているため、学び始めが遅い科目では中高一貫校に遅れをとってしまうこともあるようです。しかし、英語では負けていません。
日比谷の英語の授業は、①教科書の読解②プレゼン③英語表現の3つに分けられ、アイデアの発表や質問、グループディスカッションなどの機会があり、英語で話す力が常に求められていて、英語力は私立の上位校に遅れを取っていません。
ぼくが高校の頃は授業中に他の生徒と話す機会などありませんでした。クラスメイトの意見を聞くことはなかったし、知識を共有することもなかったし、授業の予習や復習をすることもなかった。ましてや英語で会話をしたことなんてありません。
日比谷高校特有のカリキュラムが、彼らの英語力を伸ばすのかもしれません。
今回取材に応じてくれた東大の先輩以外にも日比谷高校出身の友人がいます。
彼女の作ったプレゼン資料を見たときに、ぼくは心を揺さぶられました。その資料は外資系コンサルが持つような巧みさとは異なるアプローチで、具体的には20歳前後の学生の内面から滲み出た可愛さによって洗練されていて、「どうしてこんなに上手なの?高校でプレゼン資料を作った経験があるの?」と聞かずにはいられないほどでした。
日比谷の英語の授業が生徒の多様な能力を伸ばしていると感じる資料でした。
私立専願は珍しい
日比谷高校では、学期の始まりや終わり、模試の結果が発表された後に集会が行われます。
「学年集会では頻繁に東大の話をされる」
模試の科目ごとに先生の話を聞き、開成高校などの結果と比較されるそうです。しかし、ここで西や国立など他の都立校の話が出ることはありません。
東大進学率の高い私立校と常に比較され、東大進学を推奨する校風に晒されることで、「東大合格」という気概が醸成され、私立専願で受験勉強をする生徒は少数派になります。
「私立専願と聞くとびっくりする。それくらい珍しい」
放課後の講演会やワークショップ
日比谷高校では、授業以外にも学びがあります。
例えば、医学部専門塾の先生が出入りしていて放課後に数学の授業をしているとか、OB・OGの外交官や野村総研の人が来て話をしたり、オードリー・タンがオンライン講演をしたりするそうです。
あのオードリー・タンが日本の一高校で講演をすることに驚きました。
しかし、そのような素晴らしい行事であっても学校から積極的にアナウンスがあるわけではなく、生徒が自分で掲示板を見て情報を集めます。例え留学制度があっても先生は知らせてくれません。そのため社会に出る前から積極的に情報を集める姿勢や情報が集まってくるネットワークが大切であると学びます。
各教室には前、横、後ろに3つの黒板があり、後ろの黒板はこのようなお知らせの張り紙で埋め尽くさています。横の黒板では休み時間に、生徒が思いついた数学の美しい解法を書くなどの使い方をするそうです。
どうしてもぼくの高校の頃と比較してしまうんですが、黒板を生徒が使うことなんてなかったし、稀にぼくが黒板を使って授業の振り返りをしても関心を持つ生徒はいませんでした。勉強に関心がある仲間がいる環境を羨ましく思います。
▶続きの【後編】を読む▶さんきゅう倉田さんが日比谷高校出身の東大の先輩にお話を伺いました。都内トップ高から東大に入ってみて衝撃を受けたこと、これから日比谷高校を目指す後輩たちへのアドバイスなどをご紹介します。__▶▶▶▶▶
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