「性病にかかったからお金貸して」鬱で不倫中の妹に頼られる、45歳ワーキングマザーの苦悩
妹から「性病にかかった」と電話が
「妹から『真紀子ちゃん、どうしよう。性病にかかったからお金貸して』という連絡が入ったのは、半年前のことでした。妹には3人の子供がおり、長男は成人して独立しています。タイヤ会社の営業所で働いている2度目の夫と、息子2人と4人暮らし。
『保険入ってるんだから、そんなにかからないでしょ。ていうか旦那にもらいなよ』と言ったら、『旦那とはしばらくしていなくて、不倫相手にうつされた。しかもどの不倫相手か分からないし。体がしんどくてパート辞めたいから、10万でいいからお願い』と拝み倒されて、慌てて群馬の実家に帰省しました」
咲子さんは実家のそばの賃貸住宅に住んでおり、普段は居酒屋でパートをしながら、中学生の男の子を2人育てているそうです。2人の上には、東京で美容師をしている26歳の長男がおり、彼のみ前夫の子供に当たるとのこと。
「今の夫の洋次さん(仮名・47)は中学の2歳先輩で、昔からイケメンで目立っていました。ちゃんと中小企業の社員として仕事をしていますし、ご実家も真面目な農家。見た目は元ヤン風ですが、優しいって聞いています。前のDV夫より全然いいです。
妹は、今は太りましたが、若い頃はモテるギャルだったので、2度目の結婚式では『かわいければバツイチ子持ちでもイケメンと結婚できるものなんだなぁ』と少しうらやましく思いました。私も、中学時代は先輩を少しかっこいいと思っていたので」
咲子さんは19歳の頃、バイト先のショッピングモールで自称格闘家の卵だった前夫と出会い、できちゃった結婚。しかし夫の壮絶なDVで顎の骨を折られ、わずか2年で離婚した過去があります。
高校時代はギャルの妹がモテていた
真紀子さんと咲子さんはもともと同じ高校に通っており、成績や運動能力は2人とも「中の中」だったそう。
「咲子は、目が大きくて小柄でかわいらしく活発。茶髪の似合うテニス部員で、田舎の公立高校では一番モテるタイプでした。私の方は『咲子の目を細くして背を伸ばした感じ』とよく言われましたが、英会話クラブの文化系であまりモテませんでした。
私は国際結婚をしているんですが、アメリカ人の夫は『脚がきれいでスタイルがいい』って言ってくれています。ですが高校時代には、脚の長さはあまりアピールポイントにならなかったみたいです」
真紀子さんは上京して短期大学の英文科に進学し、咲子さんは近隣でバイトをしながら県内のネイルスクールに入ってネイリストを目指しました。
「実は、そのことで妹には恩義を感じています。当時はバブル崩壊後で、父親の経営する運送会社が傾いて不景気になった時期でした。『2人とも大学に行くなら家から通える国立大学にしてくれ。短大なら2人分の学費は出せるけど、東京に行くなら家賃もかかるから奨学金は借りて欲しい』と言われたんです」
真紀子さんにも咲子さんにも、地元の国立大学に現役合格するほどの学力はなかったとのこと。
「でも妹は、あっさり『私はもう勉強するのは嫌だ。そのかわり近くのネイルスクールの学費出して。彼氏と遠距離恋愛になるのは困るし、バイトも辞めたくない。真紀子ちゃんは勉強が好きなんだから短大に行きなよ』と言って、私だけ東京に送り出してくれて……。
彼女は結局1年間のネイルスクールも中退しちゃいましたし、我慢したわけではなく本音だったとは思いますが、奨学金の返済をしなくていいのは両親と妹のおかげだなって、ずっと感謝しています」
真紀子さんと咲子さんの人生は、違った意味で波乱万丈。
咲子さんは19歳で妊娠してネイルスクールを退学。出産、離婚、再婚、出産、出産と忙しい日々を送っていました。対する姉の真紀子さんは、アラサーになってキャリアの面で迷走していました。
「私は新卒で航空会社に就職してカウンターのグランドスタッフとして働いていました。仕事にはやりがいもありましたが、30歳で腰のヘルニアの手術をすることになって……。『立ち仕事はキツい』と感じて退職し、ハローワークでWebデザインの勉強をすることに。それからは、しばらく派遣社員としてIT企業で働いていました」
大手ネットバンキングのサイト運用やシステムデバッグ、オペレーションなどの経験を積んだ真紀子さんは、33歳という年齢で唐突にオーストラリアにワーキングホリデーに旅立ちます。
「結婚を前提に付き合っていた彼氏に振られたので、こつこつと貯めた貯金をはたいて『大人の自分探し』をしちゃいました。もともと英文科を卒業して細々と英会話を続けていたので、ここらで半年くらい英語の勉強をしたいなぁと思いまして。
その頃、妹はイケメンと再婚して子供も授かって落ち着いていたので、『真紀子ちゃん大丈夫なの? もう結婚とか出産は諦めたの? こっちでは同級生はみんな小学生ママだよ。帰ってきてお見合いしなよ』と心配してくれていました」
30代のワーホリから帰ってきて運命の出会いが
そんな妹の声に後ろ髪を引かれつつ、ブルーベリー農園やアイスクリームショップなどでバイトをしながら英語力を磨いた真紀子さんは、帰国後に外資系のソフトウェア開発会社に「紹介予定派遣」という形態で就職します。
「そこで今の夫のサム(仮名・43歳)と出会いました。サムは直属の上司だったのですが、2歳年下で、まさにアメリカ人のギークな男性、という雰囲気。コンテンツ企画・開発の責任者で、若くて優秀な男性でした。服装はカジュアルでTシャツとデニムが多く、茶色いくせ毛にたまに寝癖がついているような無頓着なタイプですが、笑顔がかわいくて人懐っこい。さらに、父親の仕事の関係で中学と高校は東京で過ごしたらしく、日本語が上手で、すぐに仲良くなりました」
コミュニケーション能力の高い真紀子さんは半年で正社員に昇格し、Webディレクターとして忙しいシーズンに突入します。仕事はやりがいがありましたが、同僚との学歴格差やプログラミングなどのスキルのなさで悩むことも。
「正直に言うと、4年生大学卒じゃないことや、プログラミングの知識がない、というだけで、まったく同じ仕事をしている同僚と年収が何百万も違うんです。そんな理由で落ち込んだ時、相談に乗ってくれたのが夫のサムでした。
『学歴も知識も大事だけど、案件に食らいついて泥臭く仕事に取り組む君のやり方はかっこいいし、俺は好きだよ』と言われて、キュンとしちゃいました。相談と称して私から2人で飲みに誘って、意気投合。私から食い付いた形ですが付き合うことになって、半年後には結婚式場を探していました」
新婦が36歳、新郎が34歳という年齢もあり、結婚式はイタリアンレストランでのカジュアルなパーティーにしたそう。
「私はできれば子供は欲しかったので、最初から生殖医療に特化したクリニックで体外受精に取り組んで、38歳で女の子を生みました。コロナ禍の子育ては大変でしたが、夫婦2人とも在宅勤務の時間がグンと増えたので、中古の一戸建てを買って3階を仕事場みたいにリノベーションしちゃっています」
妹から借金の依頼が舞い込むように
その頃から、妹の咲子さんからの借金の依頼が舞い込むようになったそう。
「まぁ、普通に迷惑な話ですが、少しずつでも返済はしてくれているので許しています。
お酒に酔ってぼやいていた時の咲子曰く、『真紀子ちゃんはずるい』んだそうです。『こっちが子育てで苦労している時に留学したり東京で遊んだりして、それならもう独身でいいのか、と思ったらちゃっかり滑り込みでセレブ婚して、ハーフの子供まで。私にないものをみんな持っている』って言われたんですが……。
こっちに言わせれば、ずっと男性か実家に甘えて、パート生活をしてきたのは自分じゃない? って思っちゃいます」
そうは言いつつ、実家の近くに妹が住んでくれているのはありがたい面もあり、「妹というよりは甥のため」と割り切り、入学祝い、パソコンのプレゼント、自転車代などの名目で「あんたじゃなくて子供に使ってくれれば、返さなくていいから」と3万、5万、とまとまった金額を渡したこともあるそう。
咲子さんも、シラフの時は拗ねる様子も見せず、心から感謝しているようで、姉妹の仲も概ね良好です。
しかし、咲子さんが不倫で性病に感染したことから、真紀子さんは妹の私生活に危機感を持ち始めます。
▶つづきの【後編】を読む▶「不倫相手に淋病をうつされた」と妹からのラインが……。__▶▶▶▶▶
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