40歳を過ぎたら乳がん検診を「毎年受けても良いくらいです」と専門医が言うこれだけの理由【医師に聞く】
がん治療に伴うさまざまな負担と、将来への不安
がんが見つかったのなら治療すればいいという漠然としたイメージだけを持っている方もいるかもしれませんが、話はそれほど単純ではなくて、がん治療には身体的、精神的、経済的な負担とか将来への不安が必ずついて回ります。
もちろん早く見つかって早く治療をして たぶん治ったのかな、良かったねと話をすることもできるのかもしれませんが、その方は一生「がん患者のサバイバー」として生きていくことになります。再発に対する不安は決して軽視できるものではありません。
検査をしなかった場合、本人も何も知らないまま、がんも悪さをせずに亡くなっていたかもしれません。しかし、それは誰にも分かりません。難しい話なので、少しでも理解してもらうために、デメリットに関する話を詳しくしましたが、トータルで見たら、乳がん検診をした方が乳がんで亡くなる確率を下がることが分かっていることから、乳がん検診で救うことができる命があることは明らかなので、やらない方がいいという話にはもちろんなりません。
しかし、本当は治療をしなくても命に関わらなかったのではないかという方が、おそらく一定の割合で含まれています。それが過剰診断の概念です。研究が進めば、過剰診断は少なくなっていくことが期待されますが、まだまだ時間がかかることが予想されます。
乳がん検診にメリットがあることは改めて強調したいですが、過剰診断は検診のデメリットの一つと言えます。ただし、過剰診断だったかどうか、ということは、誰にもわからないので、これは自覚することはないデメリットということもあり、少しピンと来ない話だったかもしれません。
このような背景もあり、超音波検査をマンモグラフィと一緒にするべきかどうかを考えた時に、より多く乳がんを発見できることに加えて、乳がんで亡くなる人を減らすことができるかということも重要になります。しかし、このような研究には非常に長い年月がかかります。
現状、超音波を一緒に行うことで、乳がんの発見率があがるところまではわかっていても、乳がんで亡くなる人を減らせるかどうかまでは、まだわかっていないのです。
最低2年に1回のマンモグラフィの検診を
まとめとして、乳がん検診のメリットは分かりやすくて、乳がんで亡くなる可能性が下がるというのが乳がん検診のメリットです。デメリットは、もしかするとプラスアルファの余分な検査を受けることになるかもしれないということと、過剰診断があるのかもしれないということです。
とはいえ、そもそもデメリットのない検査は存在しないので、やはり、40歳以上の女性は、最低2年に1回のマンモグラフィの検診をお勧めします。頻度は、私は1年に一度でもいいと思っています。明確な比較が難しいところもありますが、2年に1回よりも毎年受けた方がいいのではないかというデータもあったりします。どちらでもいいとは思いますが、ぜひ最低2年に1回は受けてください。
そして、乳がん検診を受ける際には、マンモグラフィを第一、次に超音波検査を考えてください。信頼できる検査を受けるということも非常に大切です。
▶▶乳がん体験談:「念のため」と受けた検診で「乳がん」が発覚。両胸を切除することになった私は
【寺田満雄先生プロフィール】
名古屋市立大学大学院 医学研究科 乳腺外科学講座 研究員/UPMC Hillman Cancer Center, Department of medicine, Postdoctoral Associate
2013年名古屋市立大学医学部卒業。関連病院および愛知県がんセンター乳腺科部勤務を経て、2019年 名古屋市立大学乳腺外科への帰局とともに同大学博士課程に入学。同年より名古屋大学分子細胞免疫学にて腫瘍免疫研究に従事。博士号取得後、2023年より、米国UPMC Hillman Cancer Centerに研究留学し、現在に至る。外科専門医、乳腺専門医。一般社団法人BC TUBE理事、乳癌診療ガイドライン委員。一般社団法人BCTUBEの活動として、乳がんという病気を多くの人に知ってもらうため、治療に関わる情報格差を減らすために、YouTubeチャンネル「乳がん大事典」の運営や様々な啓発活動に従事。
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